以前にもお伝えしましたが、ついに中国がジャイアニズム全開で理不尽な情報公開制度を実施することを決定しました。
『中国政府がデジタル家電などの中核情報をメーカーに強制開示させる制度を5月に発足させることが23日、明らかになった。
(中略)
制度は、中国で生産・販売する外国製の情報技術(IT)製品について、製品を制御するソフトウエアの設計図である「ソースコード」の開示をメーカーに強制するものだ。中国当局の職員が日本を訪れ製品をチェックする手続きも含まれる。拒否すれば、その製品の現地生産・販売や対中輸出ができなくなる。
どの先進国も採用していない異例の制度で、非接触ICカードやデジタル複写機、金融機関向けの現金自動預け払い機(ATM)システムなど、日本企業が得意な製品も幅広く開示対象になる可能性がある。』
(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090424-OYT1T00053.htmこれによって、中国国内で生産もしくは販売する製品の暗号化技術や設計情報を全て中国政府に開示しなければなりません。
企業だけの問題ではなく、国家機密漏洩にもつながるため、日米欧の政府は強固に反対し続けていましたが、その甲斐も無く中国政府は強制開示を強行するようです。
いくら中国の市場が大きいと言っても、ここまでのリスクを負ってまで生産・販売をしようというのは汎用製品に限られることでしょう。ITで言えば、オープンソースの組み合わせで提供するソリューションに限られます。
将来、デジタル家電はホームサーバを中心とするIT化が一層進むことでしょう。そうなるとWebサーバやデータベース、OSに関するソースコードの提供も求められるようになる可能性が十分あります。
特許情報に過敏なマイクロソフト、Oracle製品やその他北米ベンダー製品がこれを嫌って中国市場から撤退するならば、今後はそれらの製品抜きでビジネスを行わなければなくなります。
一方で観点を変えると、オープンソースなどの活動は中国を中心に行われるようになるかもしれません。今後の対応が注目されます。
なお、追記ですが、2chには次のような意見が書き込まれていました。
『いまのところ、以下13品目が対象。
・ファイヤーウォール
・LANカードおよびスイッチングハブ
・VPN
・ルータ
・インテリジェントカードおよびICチップ用OS
・データバックアップおよびリストア用ソフトウエア
・OS
・データベースシステム
・迷惑メール防止製品
・不正アクセス侵入探知システム
・ネットワーク監視システム
・操作履歴やログの収集分析ツール
・ファイル改ざん検知システム』
『何が起こるか予想−−−
・MS、IBM、Appleなど代表的なIT企業が軒並み中国から撤退する
・Windowsが使えないので、IT系以外の外資企業も撤退していく
・自動車の車体制御プログラムなども対象なら、トヨタなども撤退
・撤退した企業は、ロシア、南ア、南米、東南アジアなどへ移動
・中国人が大量に失業する。経済特区周辺都市の治安が一気に悪化
・中国のGDPが2桁台のマイナス成長
・家電メーカーなども撤退へ
・金融システムへのリスク懸念も。外資系ファンドが撤退
・中国に投資されていた資金がすべて引き上げられ、未曾有の不況へ
基本的にLinuxやUNIXを導入している企業は少ない。MS撤退なら、OS移行による設備投資の肥大化、社員教育による利益を生まない工数の大幅な増大。インターフェースの激変による端末入力のミスなどを考慮したリスク管理の再考など、企業にとって面倒な事案が山積みになる。それなら、わざわざ人件費の安い中国に進出した意味がなくなるので、IT系以外も撤退と考えるのが自然。』
また、はてなダイアリーで本質的な指摘がありました。つまり、そういうことなんですよね。
『さて、中国への対応として日本が求めているのは品質保証レベルの緩和に加えて、日本の適合性評価機関の承認である。現状、中国は日本の適合性評価機関を認めていないため、中国に輸出しようとする製造者は中国国内の適合性評価機関において評価を受ける必要がある。そこに中国への情報漏洩のリスクがあるわけだが、これを日本国内の適合性評価機関の評価で代えることができれば、情報漏洩のリスクは大きく減少する。運用の透明性が向上する上、適合性評価の迅速化、負担コストの低減も期待できる。こうした相互承認は既に米国、EU、タイ、シンガポール、フィリピンとの間で成立しており、同様の相互承認を中国との間でも確立できればよい。』
http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20090425/1240674818この問題、米国が強行した渡米者の指紋採取問題に似ている気がします。
posted by 吉澤準特 at 09:42
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