TVドラマの節々でITシステムが登場するようになって久しいですが、IT部署を扱ったドラマというのはあまりなかったように思います。
以前、英国ドラマでIT部署をテーマにしたものを紹介しましたが、ヒューマンドラマに比重が置かれすぎていて、ITのお仕事はそれほど多く出てきていませんでした。
ところが先日、インテルのサイトでIT部門をテーマにした面白いWebドラマを見つけたので、ここで紹介しましょう。
『ROAD TO CIO(ロード トゥ シー・アイ・オー)』
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http://it-ura.seesaa.net/article/123657185.htmlこのショートムービーを作った脚本家、いい腕してますね。1話あたりおよそ3分程度の中に起承転結をきっちり収め、話が盛り上げるところでは効果的なテーマソングを流すあたり、狙い通りに仕上げていることが伝わってきます。
話の発端は、社内IT部門に加藤という人物が転属させられたことです。営業部でセキュリティインシデントを起こした彼は、最初はIT部門の仕事に偏見を持って取り組んでいましたが、そのうち、自分も苦しめられたシステムセキュリティの新しいあり方について思いを巡らせるようになります。同僚や上司との対決を潜り抜けて、ついには役員プレゼンに到達するというサクセスストーリー。
このドラマが秀逸なのは、話のテンポが良いだけではなく、1話ごとにその後日談として主人公の加藤自身が振り返りの文章を残しているところ。
たとえば第1話「不満」ではドラマ内でセキュリティインシデントに関する報告と同僚からの嫌味のやり取りがありましたが、それに対する主人公の後日のつぶやきはこの通り。
『何が「勝手に」だ。
何が「情報漏洩を引き起こした挙げ句」だ。
「部署を変えられちゃった」だと。
オレは別に、会社に迷惑をかけたかったわけじゃない。
8年目の営業として初めて任されたプロジェクト。
その資料づくりのために画像処理のフリーウェアが
どうしても必要だっただけだ。
だからといって、ファイル交換で手に入れようとしたのは
確かにマチガイだった。
会社の機密のデータに影響が及ばないようにしたつもり
だったが、まさか、プロジェクトの企画書自体が
流出してしまうとは。
だが、それだけだったからこそ、島流しで済んだのかもしれない。
もし、会社の顧客情報が流出していたら。。。
しかし、よりによってシステム開発部に
異動するなんて。
誰からも期待されていないなかで、
自分のスキルを上げていかなければならない。
だが、この部署はなんだか閉鎖的で
立ち入れない領域が多いように思う。
あのときだって、当然、正式にソフトウェアの購入を
申請する手はあった。
だが、プロジェクトを進める上で時間がなかった。
会社、特にシステム開発部の対応は遅い。
さらに IT 資産管理の問題とかで、
個別のソフトウェア購入が通る可能性はゼロに近い。
確かにリスティングとラベリングで資産管理を
している現状では、その管理は面倒だろう。
そのせいで手間が増えることを恐れて
保守的にならざるを得ないのはわかるが、
これでは IT がビジネスの武器になる日は
いつ来るというのだろう?
他の会社の IT 部門もそうなのだろうか?』
この後ろでさらに各回のポイントを解説する技術的なコラムが掲載されているのは構成の妙ですね。インテル、さすがです。
http://it-ura.seesaa.net/article/123657185.html全六話。面白いです。ハマった人は、その2もあります。
このショートムービーで主人公の加藤がつぶやくこんなセリフがあります。
「こんなのITのプロらしい仕事じゃない」
他の社員が帰った深夜から始める全社PCクライアントのセキュリティアップデートの作業に立ち会った際に口にした言葉ですが、私たちはこの言葉をどれほど意識して普段の仕事に臨んでいるでしょうか?
ITという名前を冠した部門でありながら、やっていることはかなりアナログな現場を私はいくつも知っています。
何かをチェックする、集計する、特定の視点で分析する。そういった何かのルールに沿って行うアクションは概して自動化することで省力化が期待できるのですが、漫然と与えられた仕事をこなしているだけではこういった発想はでてこないでしょう。
第2話の石田が「ウイルスチェックは深夜作業をともなうから残業代が出てラッキー」だと言っていましたが、そもそもの発想として、深夜作業にならないための効率的な方法を考えるべきではないか、ということです。
今の状況から一歩踏み出して考えることができる人は、変化の激しいITの世界でも生き残っていけると思います。
でも、そうでない場合は・・・職種転換を考えた方がいいかもしれません。
posted by 吉澤準特 at 14:16
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