議論に積極的に加わりながらも自己主張が強いわけではなく、しっかり相手の話を聞いて論理的に物事を判断し、常に建設的な意見を述べる。全ての会議参加者がそのようなパーフェクトなタイプの人間であれば、意見の押し合いで会議が泥沼化したり誹謗中傷合戦に陥るといったことはないでしょう。ですが、残念なことに現実は甘くありません。それぞれ個性を持った人間が集まるのですから、意見が割れるのも仕方の無いことです。そういったときに、いかにして皆の不満を最小限に抑えて議事を進行できるか、この対立の解消が会議を成功に導くポイントになります。
参加者の不満を抑え、建設的な方向に議論を誘導するためには、それぞれの参加者が何を喜び何を不満に感じるのかを知る必要がありますが、一人一人を個別に調べて対処法を考えるには時間がかかりすぎます。そこで、会議でありがちな問題発言や行為を行う参加者を整理してみました。
【問題児:コンサバティブ(慎重派)編】
<C-1:追従タイプ>
人との対立や争いを好まない性格が強すぎるため、優柔不断で相手の意見に従って状況をやり過ごそうとするタイプです。コロコロ意見を変えるため、意思決定の立場にある人間がこのタイプだといつまでたっても議論は収束しません。
<C-2:控えめタイプ>
人との対立や争いを好まない性格が強いのは追従タイプと同じですが、追従タイプが自分の意見を持っていないことが問題だったのに対し、このタイプは言いたいことがあるのに自分の意見を言わないため、会議後に議事の不平不満を周囲に漏らすところに問題があります。既に決まった内容について後から不満を述べられると、会議自体の有効性を疑われてしまい、最悪の場合にはもう一度会議を行う羽目に陥ります。
【問題児:エゴイスト(こだわり派)編】
<E-1:知ったかぶりタイプ>
話をするのが非常に好きで、かつ好奇心旺盛という点が災いし、どんな議論にも加わるのがこのタイプです。あやふやな知識をさも当然であるかのように発言するため、誤った情報を他の参加者にインプットしてしまい、その結果、後で議論をやり直す羽目に陥ることもあります。
<E-2:興味本位タイプ>
自分の興味がある領域の話には積極的に議論に加わります。それだけなら良いのですが、好きな話だけに興味の赴くまま喋り続けるため、議論がどんどん脇道に逸れていき、いつのまにか議題とはまったく関係のない世間話になっていることもあります。余談が増えた分だけ本質的な議論をする時間が少なくなるので、時間切れで次回に持ち越しとなり、会議工数を肥大化させる原因の一つと言えるでしょう。
<E-3:頑固者タイプ>
知識や経験が豊富な人の中には、自身の判断を過信して周囲の意見に耳を傾けない人がいます。しかも、このようなタイプの人間は周囲からの目をあまり気にしないため、意見が孤立したとしても本人はまったく意に介さず、議論は最後まで平行線を辿ることでしょう。
<E-4:神経質タイプ>
細かいデータが好きな人の中には、議論の本質とは関係のない表やグラフに興味を示す人がいます。それら全体の数値根拠を質問しているならまだ分かりますが、個別の数値について細かい質問をし始めるのがこのタイプの問題点です。これにより議論の流れが遮られ、貴重な会議時間が浪費されてしまいます。
【問題児:プラグマティスト(実用派)編】
<P-1:独裁者タイプ>
自分に自信を持つ部分が強すぎるとこのタイプになります。自分の意見こそが正しく、他の意見など取るに足らないものであると考える傾向があり、それゆえ、対抗意見が出ると、自分の意見の優位性を強調して相手をねじ伏せようとすることがあります。対立者よりも役職や経験年数が勝る場合、パワーハラスメントになりかねません。
<P-2:仕切り屋タイプ>
単刀直入を好む気質が強くて頭の回転も速い人の中には、相手の話を聞き終わる前に結論を予測して話を切り上げてしまう人がいます。このような人物は、自己判断重視の姿勢も手伝って、気がつくと自分の思考スピードを基準に議事を仕切っています。ですが、他の参加者は彼の思考スピードについていけないため、議論全体が不完全燃焼に陥ってしまうでしょう。
<P-3:無関心タイプ>
プラグマティストの中には、議論に興味が持てなければ考えることすら無駄に感じ、出された結論や与えられた役割だけを確実に遂行すれば、それで十分だと考える人がいます。このタイプの人間は議論への参加が消極的で、会議の結果には従うのだから自分は会議に貢献しなくとも問題ないだろうというスタンスを取っています。しかし、それなら後で議事録を読めば十分であり、当人の会議に参加する工数は無駄そのものです
【問題児:リアリスト(現実派)編】
<R-1:批評家タイプ>
自己主張という面が強すぎるプロモーターの中には、他人の失敗や誤りを見つけるとそれをあげつらって責め立てる人がいます。議論の対象が自分の領域ではない場合は、部外者としての批判に終始するばかりで具体的な対案や解決策の提示もしないため、他の参加者のモチベーションも下がりネガティブな議論に陥りがちです。
彼らへの対策はまた次のエントリーで。
posted by 吉澤準特 at 11:26
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