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『外資系企業に住む住人の視点からIT業界の出来事を伝えます。』

以前好評いただいた『資料作成の基本』から図解作成だけにテーマを絞って抽出した本が2018年6月23日に発売となります。 https://www.amazon.co.jp/dp/4799106511

図解作成の基本
本書は「資料」ではなく「図解」の作成に特化しています。図解は、論理的にわかりやすい内容、感覚的に心地よい見た目が好まれます。図形のカタチ(フォーム)と配置(ポジション)で生み出される「要素のバランス」、色の使い分け(カラー)によって醸し出される「コンテンツの強弱」です。それらを「図解キューブ」というモデルで表し、その実践例をチャートとグラフの「図解パターン」として体系的・網羅的に整理しました。これらを「エグゼクティブ図解術」と私は呼んでいます。本書を図解作成のハンドブックとして、ぜひ使ってみてください。


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2011年01月19日

新幹線トラブルに見る、開発部門と運用部門の情報格差
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1/17(月)午前8時23分、JR東日本の運行管理システム「COSMOS(コスモス)」の運用でトラブルが生じ、JR東日本新幹線が全線不通になる事件がありました。

そのトラブルは、列車のダイヤを管理する画面の表示が部分的に消えてしまったというもので、駅側に正しくデータが届いているかを確認するために、全ての新幹線の運行停止判断を下したそうです。

1時間15分後に自然復旧したため、運行は再開されましたが、逆に「障害が起きたのにどうして自然復旧したのか?」という、システムエンジニアなら一番困るパターンに陥ってしまい、しばらくの間はJR東日本のデータセンターにベンダー担当が貼りつく予定になっていたことがプレスリリースされたのは18日の朝のこと。

しかし、その後の調査により、実は運用担当部門がシステムの仕様を知らされていなかったことで、規定の動作を「障害」と誤判定してしまったことが判明しました。

『都内にある新幹線運行本部のダイヤ管理用モニター22台すべてで、各列車の駅への到着予定時刻を示す線が消え、運行指令はシステムの不具合が起きたと考えて全列車を止めた。

JR東によると、この日朝、雪で福島県内の東北新幹線のポイントが故障し、24本の列車ダイヤを変更することになった。この際、修正必要箇所がシステム上限の600件を超えて線が一時的に消えたという。

システム部門はこうした表示の仕組みや修正上限数を把握していたが、運行指令は知らされていなかった。』
http://www.asahi.com/travel/rail/news/TKY201101180470.html

なんだかよく見たことのある光景です。システムの開発側は要件を定義して構築する側ですから、細部に渡る仕様も熟知しているものですが、その情報がどこまで運用部門に伝えられるかは、その開発プロジェクトの多忙度合と開発側の献身性に委ねられているといって過言ではありません。

私が関わったことのある銀行のシステム運用部門では、ある日突然サーバ機器がマシンルームに搬入され、後から開発部門の人が「2週間後にシステムが稼働するから運用よろしく」という事態が日常的に発生しています。

これらの問題が生じる組織というのは、開発側と運用側の交流が限定的であり、少なくないケースで、むしろ敵対関係にあったりします。そして、多くの組織では、開発側よりも運用側の方が立場が弱いのです。

運用側の立場が弱い最大の理由は、開発側の方がハイスキルな人材が揃っており、スキル的にすでに負けているからです。システム開発ベンダーの単価(平均100万円/月以上)と運用ベンダーの単価(平均80万円/月以下)を見比べるだけでも明らかですね。スキル的に負けているからこそ、開発側が運用側に資料を授ける、という構図がこれまで当たり前だったと思います。

でも、今回の件でJR東日本は、運用標準を見直して改善活動を行うプロジェクトを、運用部門主体で立ち上げるでしょう。開発文書の読み直しから入って、必要な運用文書を作成することもきっとやると思います。このような事件がなければ、運用側優位の立場でここまでの取り組みはされないと思われます。

今回、JR東日本の運行部門の方々は、自身の立場の向上につながるだろうという意味で、不幸中の幸いになるやもしれません。

実はここまでのJR東日本の話は、その他多くの企業についても当てはまる話です。新聞沙汰になるようなシステムトラブルを経験しない限り、コストを払って劇的な改善を行うなんて、普通の経営者はしません。なぜなら、運用組織は一般的にコストセンターだからです。

でも、常日頃から運用業務の重要性を経営者にアピールする活動を続けていれば、だんだん雰囲気が醸成されて、「うちの組織ももうちょっと運用を高度化しないと駄目だ」と思わせることができるようになります。その段階で、IT部門のトップから「ITIL準拠プロセスの整備」といった号令を下すことになれば、きっとその組織の運用を取り巻く環境は改善します。

いざというときのため、日頃から地道な運用啓蒙活動を続け、運用現場のプレゼンス向上させていきましょう。

posted by 吉澤準特 at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話

2011年01月08日

ITサービス業界のグローバルTOP100:2010年時点
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以下は上位25社。順位、社名、ITサービス業における収益US$、成長率、総収益(他部門含む)、ITサービス業の収益が会社売上に占める割合の順で書いてあります。

100社分はリンク先を参照。
http://www.servicestop100.org/it-services-companies-top-100-of-2010.php

1

IBM

37,347
-5%
95,758
39%

2

HP

34,678
25%
116,245
30%

3

Fujitsu

26,935
-1%
50,662
53%

4

CSC

16,281
-2%
16,281
100%

5

Accenture

15,555
-3%
21,908
71%

6

Capgemini

11,255
1%
12,059
93%

7

Hitachi

11,050
-10%
99,818
11%

8

Ericsson

11,031
23%
29,014
38%

9

NTT Data Corporation

10,425
-1%
12,355
84%

10

NEC

9,555
5%
40,475
24%

11

BT Global Services

9,237
10%
34,172
27%

12

T-Systems

8,744
14%
12,674
69%

13

Lockheed Martin

8,087
10%
45,189
18%

14

SAIC

7,547
8%
10,781
70%

15

Atos Origin

7,386
-6%
7,386
100%

16

Huawei

7,277
19%
21,834
33%

17

Siemens

6,949
-8%
102,411
7%

18

ACS

6,700
6%
6,700
100%

19

Microsoft

6,265
-3%
61,159
10%

20

Digital China

6,218
19%
6,218
100%

21

Tata Consultancy Services

6,126
17%
6,334
97%

22

Nokia Siemens Networks

6,038
-15%
18,114
33%

23

Logica

6,004
15%
6,004
100%

24

Dell

5,599
5%
53,585
10%

25

General Dynamics

5,401
8%
31,981
17%

posted by 吉澤準特 at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | リンク紹介

2011年01月04日

恐るべき条件を掲げるIT求人広告
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IT業界はいつでも人手不足です。特に手を動かす側の仕事は介護業界並の売り手市場なのですが、待遇が劣悪なためにすぐに人が辞めてしまい、また求人を繰り返すという悪循環に陥っています。

そんなIT業界の求人情報の中で、近年稀に見るスゴイものを発見しました。その求人はシステム運用および運用文書作成の仕事なのですが、求められるスキル・応募資格に特筆すべき条件が挙げられています。

-----------------------------------
1. Word(文書作成スキル)
2. システムの基本知識
3. Accessクエリ作成
4. Excel操作・マクロ作成・修正など。
-----------------------------------

ここまでは普通ですよね。一般的に求められる水準であり、取り立てて特別さを感じさせるものは何もありません。しかし、この後に挙げられている条件から何かが漂い始めます。

-----------------------------------
5. 毎日の残業にも耐えれる人
6. お客様、PJメンバーと調整ができるコミュニケーション力のある人
-----------------------------------

たしかに、IT業界は残業が多い世界です。システムリリースや定期メンテナンスの日程は何ヶ月も前から決まっているので、進捗が多少遅れたくらいで期限の延期はありえず、結果として残業が多く発生することになります。でも、この求人の条件に挙げられているような書き方からすると、多分1日4時間以上の残業(つまり12時間労働)が続く日も珍しくなさそうです。

コミュニケーション能力を求めるのも分かるのですが、”プロジェクトメンバー”と調整する程度のコミュニケーション力を明記しているということは、よほどプロジェクト内の情報連携が取りにくい職場なのでしょうね。

それでも5つ目と6つ目はまだ理解できる条件です。ここまでの条件しか記載されていなかったら、わざわざ取り上げはしませんでした。この求人、極めつけの条件が最後に1つ挙げられていたのです。それがこちらです。

-----------------------------------
7. お客様からの無謀な要求にも耐えられる精神力
-----------------------------------

・・・なんですかね、これ。どれだけクライアントから虐げられている職場なんでしょうか。いつだってクライアントの要求は、システム運用の現場を理解していないものが含まれているものですが、それでも話せば分かるというのが普通のシステム運用現場です。それが期待できない職場だから、このような条件を備える人材を求めているんでしょうか。

それでいて笑ってしまうのは、これだけ無茶な条件を掲げている恐るべき運用現場にも関わらず、仕事の内容は、『ITILに準拠したシステム運用および文書作成・管理業務』なんです。ITILに準拠という言葉を耳にすると、運用に対する一定以上の理解があるクライアントなんだろうと思ってしまいますが、それなのに”無謀な要求”をしてくるというのですから、これを矛盾と言わずしてなんと言いましょう。

クライアントが悪いのか、ベンダーの質が悪いのかを判断するには情報が足りませんが、いずれにせよ、劣悪なIT運用環境がそこにあることだけは確かであり、システム運用が単なるコストセンターとして見られている限り、このような現場は今後も存在し続けるでしょう。

posted by 吉澤準特 at 23:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話





【IT業界の裏話】過去コラム(No.1-337)
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SEの品格
コンサルの品格
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お口の恋人
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エアエッジが必要になる理由
ハイプ曲線+キャズム理論
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デビルズ・アドボケイト
落とし所を見定める
クライアントの良き友人たれ
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比較で暴利をごまかす
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ポンチ絵
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人の考えを利用すべし
「見える」化
仕事の範囲
ワークシートのススメ
フローチャートの基本
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もんたメソッド
高橋メソッド
作業時間の見積り方
仁義を切る
アクションプラン
ミーティングと議事録
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