「会社でWindows XPを使っている人、手を挙げてください」
企業のIT部門が100人以上参加するIT系セミナーでこのような問いかけをしたところ、参加者の1/3が手を挙げていました。まだまだ現役で使われ続けているWindows XPですが、企業ユースのProfessional Editionの延長サポートが2014年4月で終わってしまうのは、クライアントPCの管理に関わったことのある方なら周知の事実です。
延長サポートが切れると何が問題なのかといえば、「セキュリティパッチのリリースが停止される」という一言に尽きます。
あなたの目の前にクリーンインストールされた初期型のWindows XPマシンがあったとして、インターネットに接続して丸1日も放っておけば、トロイの木馬をはじめとする数々のウイルスに見事に感染することができ、ネットワーク内の情報(機密情報含む)を垂れ流すゾンビPCが出来上がります。これと同じ状況に将来陥ると考えれば、事の重大さが分かって頂けるでしょうか。
2011年9月現在から計算すると、あと2年半も時間が残されているように思えますが、2011年3月にIE9(Internet Explorer9)がリリースされており、これとWindowsの移行を同時に実行しようとすると、かなりシビアな検証スケジュールを考えなければなりません。
これについて先日、Gartnerから、WindowsOSとブラウザのマイグレーション(移行)に関する使えるレポートが発表されました。クライアントPCのバージョンアップ計画に携わっている人にはとても参考になるレポートなので、紹介します。
以下、抜粋。
http://www.gartner.co.jp/b3i/research/110920_inf/
『IE9は、Microsoftのブラウザにおいて大幅な更新に相当する。しかし、Windows 7の導入を計画中の企業は、Windows 7の初期イメージにIE9を含めるために、ブラウザの再テストと再修正を理由として、Windows 7の導入を先送りすべきではない。2012年にWindows 7を導入予定の企業は、SP1とIE9の両方を含めるべきである。IE9は旧バージョンから大きく改善されているが、企業は複数のブラウザを採用する戦略を取るべきである。』
【IE9はアップグレードに値するか】
IE9にはアップグレードする価値がある。IE9は、これまでMicrosoftがリリースしてきたブラウザの中で、標準に対する準拠性が最も高くなっている。IE9は、Google Chrome、Apple Safari、Mozilla Firefox、Operaに肩を並べる優れたブラウザである。ただし、企業は「単一ブラウザによる標準化は避けるべきである。
【社内開発したアプリケーションをIE9でテスト/修正する必要があるか】
基幹アプリケーションの場合、アプリケーションが実際にIE9で動作するか否かよりも、ベンダーがサポートするかどうかの方が重要になり得る。アップグレードを進める前に、ベンダーへの照会を行い、少なくとも汎用性と重要性が最も高いブラウザ・アプリケーションはテストすべきである。
【Windows 7ではIE8とIE9のどちらを導入すべきか】
・Windows 7/IE8のテストが進捗している企業には、IE9を組み込むために導入を遅らせることを推奨しない。
・2012年までWindows 7の導入計画を立てていない企業は、Windows 7の導入プロジェクトにIE9の追加を検討する価値がある。
・Windows Vistaを使用している企業がWindows 7への移行を計画する場合は、その移行時にIE9の導入を検討するとよい。
【IE9はWindows 8に含まれるか、IE9へのアップグレードの検討を先送りすべきか】
多くの企業がWindows 7の導入で疲弊することを考慮すると、企業の採用に関しては疑問視せざるを得ない。大半の企業は、IE9の導入をWindows 8の導入まで待つべきではない。
IE9は名実ともにマイクロソフトがリリースした最高品質の標準準拠ブラウザであり、これを採用しない理由はない、ということが述べられていますが、同時に、Windows7対応で多くの企業が疲弊することが予測されるため、次のWindows8がリリースされるまで待ち続けたとしても、企業にとっては苦労の割に実が少ないかもしれないとも言っています。
結論を先送りしがちな組織の方、このレポートで組織のマネジメントへ一考を促すのもよいのではないでしょうか。
posted by 吉澤準特 at 12:51
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