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2011年10月16日

コンサルから見た、長く働ける環境を用意するCAがミスマッチ制度を導入する矛盾
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アメブロやアメーバピグでおなじみのサイバーエージェント(以下CA)が、「有能な人材が長期に渡って働ける環境を実現」させるため、新しい人事制度を導入したことが話題になっています。

内容は以下の通り。

【退職金制度】
・30代から積立開始、40代から受け取り可能
・業績連動で、営業利益の一定率を配分(利益が増えれば積立が増える)
・営業利益が100億円を切った年は積立ゼロ

【ミスマッチ制度】
・下位5%はD評価
・D評価2回目で部署異動または退職勧奨のいずれかを選択
・仕事のパフォーマンスだけでなく、価値観、文化の合わない人も対象
・評価は、上司/人事/役員も加えて実施
・嫌われたくないや傷つけたくないといった理由でD評価を部下に与えない上司がいれば、上司自身をD評価
・本当にD評価とすべき人がいない場合はゼロでも構わない


ミスマッチ制度と同様の仕組みを採用している企業は日本でも外資系を中心に存在しており、特に投資銀行や一部証券業務、コンサルティングファームでは比較的一般的です。

それら企業が仕組みを導入している理由は、優秀な人材をキープしつつもパフォーマンスに劣る人材を強制排除するカルチャーを社内全体に浸透させて、人材の定期的な入れ替えによる組織の健全化を果たすためです。大半の国内企業のようにパフォーマンスの低い社員をずっと抱えていると、個々の人材の能力に依存するところが大きいこれら企業は、業績効率が悪化して組織が立ち行かなくなります。だから、強制排除(アップ・オア・アウト)の仕組みを根付かせる必要があったのです。

それゆえ、長期間企業に在籍することが一般的ではなく、退職金制度も必要最低限しか整備されていません。むしろ毎年のサラリーとボーナスでそれを補うという発想です。その収入からどうやって老後の資金を捻出するかは各人の自由裁量。

だから、ミスマッチ制度による期待効果と退職金制度によるそれは相反する可能性が高いのです。先に紹介した投資銀行やコンサルは在籍社員の平均年齢が30代前半。一方で、CAが導入する退職金制度は40歳から受け取り可能になるのですから、多くの人が退職金制度の恩恵を受けることができず、その分会社に利益が吸収されるのではないかと邪推したくなります。


もうひとつ考えるべきことがあります。それは、ミスマッチ制度における評価のやり方です。相対評価で下位5%にD評価を突き付けるのですから、その理由は客観的に明確になっていなければなりません。

投資銀行やコンサルティングファームでは、企業に対する貢献度を定量・定性評価して相対順位を決めますが、貢献度を構成するKPIをどう設定するかは企業の業務内容や風土によって変わります。

ある企業では、営業部隊・サービス提供部隊・社内業務部隊ごとに大括りの褒章枠を設定し、それぞれの部隊で個別に評価を下すことで、業務特性に配慮した相対評価を実現していました。

別の企業では、評価指標に「顧客への価値提供」と「人材育成への貢献」を設定し、チーム育成ができない人材は一定以上の評価がもらえません。これによって個人プレーよりもチームプレーを重視するような人材が評価され、組織力の底上げが自発的に行われるように仕組まれています。

他にも、評価グループ単位で管理職以上が一堂に集まり、合議によって一人ひとりの評価を決める手法を採用している企業もあります。
※もちろん事前に予備評価を何度か繰り返した上で最終評価する形です


翻って、CAではどこまでの仕組みを考えているのでしょうか。

現場での働きぶりができるだけ客観的に評価される仕組みをどうやって実現するのか、正解はひとつではありません。複数の上司が話し合って対象社員の評価を下すのか、360度評価のように当人の部下や同僚からも評価させるのか、それは企業カルチャーによりけりでしょう。

はてなブックマークのコメントを見ると、

・私情によるD判定が横行する未来しか見えない
・数字に基づく評価ではないのでズブズブなお友達会社になるのでは?
・D評価の人を辞めさせても第二第三のD評価が・・・
・社員の保身や足の引っ張り合いを生みそう
・YESマン養成制度にならなきゃよかろうがね

などの懸念やネガティブコメントがいくつも見つかりましたが、ミスマッチ制度と同様の仕組みをうまく運用している会社は多数あります。

ただし、評価者全員が制度目的を十分に理解しないと、全体最適とはいえない評価結果になってしまうことは、富士通社が成果主義評価の導入に失敗した事例から明らかです。ミスマッチ制度自体は組織を活性化させる良案だと思いますが、その実現に向けて、前述したいくつもの準備が必要になることを忘れてはなりません。

posted by 吉澤準特 at 03:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話

2011年10月06日

成果主義でボロボロになるマクドナルド、そうならなかった花王
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成果主義という言葉を聞いてあなたは何を思い浮かべますか?

この言葉が世の中で幅をきかせるようになったのは90年代末の頃でした。バブル崩壊によって経済が停滞し、かつての日本式企業経営からグローバル企業の仕組みへ移行しようと企業が動き始めた時期と重なります。IT業界では富士通が成果主義を導入して話題になりました。

成果主義を導入していない会社は閉鎖的でネガティブなイメージで語られるようになり、手柄をいくら立てても大きな評価がされない若手の意識を奮い立たせ、人材の積極的な活用に動き始めた頃だということも出来るでしょう。

しかし、成果主義を導入して成功している企業のカルチャーや従業員の考え方を理解しないまま、形だけの導入で終わってしまった企業は山のようにあり、先日ニュースで報道された日本マクドナルドもその一つになってしまいました。

日本マクドナルドは2006年に同仕組みを導入し、合わせて定年制を廃止しましたが、2012年からは以前の形に戻すことを決定したとのこと。その理由を次のように発表しています。

「若手社員を伸ばしていく企業文化を根づかせていくため、年功序列を廃止するなど、実力主義への意識を高めようとしたなかで、定年制を廃止すべきと考えたが、時期尚早だった」

「ベテランが職務に取り組むうえで、仕事の成果と人材育成のバランスのとり方が難しく、仕事の優先順位が崩れてしまった。(定年制を復活することで)人を育てていく企業文化を再度築き上げる」

もっともらしく聞こえますが、この発言をそのまま額面通りに受け取るのは軽率です。もう一段掘り下げて、その原因を追求してみましょう。


例えば、あるブログでは次のような成果主義の分析をしています。

・日本がお手本とした外資は客観的な成果主義などやっていない
・外資は客観的な情報は参考程度、現場責任者が主観的に成果を評価する
・外資は現場をわかっている現場責任者が人事権も持っている
・日本は現場責任者に人事権が無く、一方人事担当は現場をわかってない

『本当の「成果主義」とは、「成果を出したものが報われる」という評価システムのはずだ。これをやるためには、現場責任者はもちろん、末端の社員レベルにまで、「権限」と「責任」を委譲するということが不可欠だろう。「権限」を与え、自由にふるまって成果を出してもらう。しかし、そこには「責任」もともなう。』

『つまり、個人に「責任がなく、権限もない」という中央集権的・全体主義的な日本方式では、そもそも「成果主義」はできるはずがないのだ。』

これはまったくその通り。評価対象者の直属の上司やその周りの上役からの評価を見ずして、本当のパフォーマンスを知ることはできません。営業成績やクライアントからの満足は重要ですが、社内組織に対する貢献(人材育成やイベント協力など)も評価すべき対象にしなければ、誰も人材を育成しようとはしないでしょう。


成功している成果主義企業が多くないことは確かですが、それは前述の点を企業の人材評価部門が十分な理解をしていないからです。その証拠に、純然たる国内企業の花王は成果主義の導入の成功事例として知られています。

日経ビジネスでは、花王が成功したポイントを次のように紹介していました。

  1. 会社の目標と社員の目標との関連を「見える化」する
  2. 人材育成と一体のものとして運用する
  3. 結果だけで評価せず、報酬にも極端に差をつけない
  4. 自社や部門の実情に合わせてカスタマイズする
  5. 他社の真似をせず、コンサルタントの言いなりにもならない
  6. 経営環境の変化に応じて制度をカイゼンし続ける
  7. 経営理念を社内に浸透させる目的にも利用する

「報酬に極端な差を付けない」という点を意外に思う人がいると思いますが、日本に住む人々のマジョリティは横並びを好むため、あまりにも報酬に差をつけると、逆にモチベーションを極端に下げる原因になるのです。

私が知る外資系企業の多くも、実は報酬にそれほど大きな差はつけていません。上位2割レベルと平均レベルを比較すると、サラリーの差は10%程度です。そのかわり、金銭面ではなく職務権限の拡大などで社員を優遇し、ますます大きな仕事をしてもらおうと仕向けるわけです。

あなたのいる組織は、そういったことを考えた人材育成策を採用しているか、一度調べてみてはどうでしょう。

posted by 吉澤準特 at 00:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然コメント





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