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『外資系企業に住む住人の視点からIT業界の出来事を伝えます。』

資料作成本の最後の秘境『ワード』を対象とした外資系コンサルの資料作成テクニックが1冊の本になりました。2017年3月29日に発売されています。
※購入頂きました皆様、ありがとうございます。
https://www.amazon.co.jp/dp/4492557776

gaishi_word_201703_new.jpg
累計数十万部を数える「外資系〜シリーズ」には「スライド作成術」と「Excel作成術」がありますが、ワード向けの本はありませんでした。パワーポイントとエクセルは一生懸命練習するのに、ワードの作成法を学ぶ人はほとんどいません。見よう見まねの作成が繰り返され、ワード文書はどんどん読みづらい存在になっています。その結果、「ワード文書は扱いにくい」と考えられるようになりました。この本は、最後の秘境、ワード向けの「文書作成術」です。優れたWord文書を効率よく作成する方法を知り、適材適所でビジネス文書を作り分ける術を自分のものにしましょう。


【吉澤準特の本:累計10万部以上】
外資系コンサルが実践する資料作成の基本』はロングセラーで重版多数
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2011年12月26日

本当にどうしようもない就活アワードの過去と、これからへの期待
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企業は自社の未来を背負って立つ有益な人材を探し求め、世の就活生は自分を採用してくれる企業を探し続けるのがこの冬の季節です。一部の人材に内定が集中している昨今の就職活動では、企業側と言えども決して優位にあるわけではなく、買い手市場とも売り手市場とも評することが難しくなっているのがこの数年間の特徴でしょう。

社会人1年目として会社勤めの方々においては、就職活動のときには見えていなかった、「実際に働いてみて分かる会社の一面」が分かってきた頃でしょう。そうなんですよね、内側に入り込んでみなければ分からないことはたくさんあります。

(面接時)
「うちの会社はサービス残業なんてないよ」
【入社後】
「定時後の作業は自己勉強だから、残業代なんて必要ないだろ?」

(面接時)
「アットホームな雰囲気でプライベートも仲が良いよ」
【入社後】
「会社の飲み会は絶対参加、社員運動会やボランティア活動も必須だ!」

(面接時)
「年功序列なんて古い制度は無い、実力主義の会社さ」
【入社後】
「入社1年目から完全歩合、売れなければ給料無しだぞ!」

ここまで極端な豹変ぶりをみせるところは稀でしょうが、世の中の過半数以上の企業は多かれ少なかれ、採用面接時には美辞麗句で自社の業務スタイルを着飾っているもの。だからこそ、客観的な視点で労働環境の良い/悪いを評価してくれる組織があったら、つい参考にしてしまうのがヒトの性。ランキングサイトや評価機関、格付け会社が何を言うのか、結構気にしているものです。

しかし、第三者の評価結果も、それが門外漢のトンチンカンで的外れなモノだったら何の参考にもなりません。もしかすると、特定の結論に不当誘導しているのではないか、とも疑ってしまうこともあるでしょう。

インターネットの「信頼できるサイト」というのも、ベリサインのように国際的に信頼されている企業が発行する証明書があるからこそ。各国の国債だって、ムーディースやS&Pのような世界的に信頼されている組織がトリプルAなどの評価を下すことで、調達金利も変わってくるのです。私が勝手な意見を表明したところで、日本の国債調達の金利が変わることはありません。


ところが、私が就職活動について調べていたところ、聞いたことが無い評価サイトを見つけました。

(就活アワード)
http://shukatsu-award.com/

就活アワードの目的とは以下の通りだそうです。

『就職活動において、「いい企業」の定義とは何でしょうか?一言で「いい企業」と言っても、人によってその定義は異なります。そこで就活アワードでは「成長性の高い企業」「働きがいのある企業」「働きやすい企業」「社員満足度の高い企業」の4部門を設け、就活生一人ひとりが求めている「いい企業」を探せる場所をウェブ上で提供することを目指します。企業情報と経営陣・社員の面談をもとに企業を審査し、合格企業を就活アワード受賞企業として就活アワードウェブサイトに公開します。就活アワードを通じて、各受賞企業独自の強みや良さを発信し、就職活動における大きな判断基準となれるように活動しています。』

就活アワードの大まかな流れは下記URLに書いてありました。
http://shukatsu-award.com/about_us/index.html

(申し込み)→(書類審査)&(社員面談/経営陣面談)
→(評価・選考)→(結果発表)

どうやら企業側の申し込みからスタートするようで、社員面談/経営陣面談もするそうです。その結果、選ばれたのが下記の企業たちとのこと。

(受賞企業一覧)
http://shukatsu-award.com/enterprise/index.php

中小企業がラインアップされています。大手企業は含まれていないのは、このアワードの仕組みを利用しようと考える会社に大企業は含まれず、社長や採用担当の裁量が大きい中小企業だからこそ、こういったサービスを利用しようと考えるのでしょう。

ちなみに、このアワードは2年前からやっているようです。

http://2012.shukatsu-award.com/
http://2012.shukatsu-award.com/2011/

過去2年の方は勝手に大企業を表彰&ちゃっかり運営会社自身の本業も表彰しちゃっているだけの「誰得」評価でした。本当にどうしようもないアワードだなぁと思っていたのですが、2013年版は世の中に埋もれている中小企業の発掘という点で意味があるかもしれません。

posted by 吉澤準特 at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話

2011年12月21日

おまえの仕事は仕事になっていない!と言われないために
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仕事と作業の違いについて、これまでに多くの先人が言及してきました。しかし、仕事の本質を勘違いしている人をこれまでにもしばしば見ており、世間一般では理解している人がそれほど多くないのかもしれません。

そこで今回は「仕事と作業の違いで注意すべきこと」について、私なりの考えを述べ、皆さんにも仕事と作業でそれぞれ意識すべきことは何かを知ってもらいたいと思います。


まず読んでもらいたいのは、数年前に私がエントリーした「仕事と作業の違い」における引用です。

『私たちは普段、仕事という言葉と作業という言葉を同じ意味で使っていると思います。辞書を調べてみると、両者とも似たようなことが書かれているため、なおさら同じ意味で考えてしまいそうです。でも、本当にそうなのでしょうか。

次の2つの例を考えてみましょう。

Aさんは上司から、下期の経営課題を解決するために必要となる社内システムの改修費用算出を命じられました。Bさんは上司から、上期の経営課題のうち、解決しなかったものをリスト化して提出するよう頼まれています。

さて、AさんとBさんに与えられたタスクについて、何か違いが分かりますか?

Aさんのタスクは、所与の条件である下期経営課題を基にして、システムに求められる追加機能やその費用を、”自分で考えながら”まとめていかなければなりません。Bさんのタスクは、所与の条件である上期経営課題に対し、それをまとめるだけ、つまり”自分で考えず、与えられた指示に従って”まとめていけばいいだけです。

私は、Aさんのやっていることを「仕事」、Bさんのやっていることを「作業」だと認識しています。仕事は、その背景にある内容を積極的に理解しながら、新たな価値創出に取り組むものです。それに対し、作業とは、与えられた指示に沿って何かを行うことを意味します。

作業はどんな職場でも必ず発生するものですから、それ自体を否定するつもりはありません。注意しなければならないのは、本来「仕事」であるべきものが「作業」と化していないかということです。

作業と化した仕事は、その成果も薄っぺらで、指示内容を逸脱する状況が発生しても対応することができませんが、本当に仕事をしているなら、指示内容の背景も理解して取り組んでいるはずですから、不測の事態にも臨機応変に対応できるものです。』
http://it-ura.seesaa.net/article/7658672.html


これを読んで、仕事と作業の違いを大括りで分かってもらえたかと思います。ここまでの理解を求めているエントリーはWeb上で散見されますが、それだけを鵜呑みにしてしまうと、他人に迷惑を掛ける仕事をやりかねません。

特に「仕事のやり方」でよく問題になるのは、次の2つのポリシーです。

(1)「やることの背景を隅々まで理解することが仕事をする上で重要だ」
(2)「任された仕事には最善を尽くすべきだ」

1つめの背景理解に関するポリシーはなぜ問題になるのでしょうか。

自分のテリトリーについてキッチリ責任を取ってくれる姿勢が好印象だ、と感じる人もいるかもしれませんが、そのような印象を抱けるのは、対象業務の範囲が限定的な場合に限ります。

IT業界の場合、1ヶ月で数十人以上が参画する大規模なシステム開発プロジェクトはしばしば発生しますが、これくらい大きなプロジェクトになると、プロジェクトマネージャーは末端で行われている内容を細部まで把握できません。1日24時間働き続けても、自分の作業と各チームからの進捗確認、それに重点課題への対応で手一杯です。もし、末端までのすべての内容を把握しようとするプロジェクトマネージャーがいるなら、彼自身が全体のボトルネックになって、プロジェクト全体に多大な迷惑を掛ける事になります。

2つめの最善を尽くすポリシーはどうでしょう。

責任感があって望ましいと考えるのが一般的だと思いますが、これも度を越すと大変な迷惑になってしまいます。

1週間後までに仕上げて欲しい資料があったとして、これを部下に依頼したとしましょう。部下は自分の知識だけでなく、社内の様々なデータを探して、期日キッチリに資料を提出したとします。しかし、提示された資料があなたのイメージしていた内容と大きく異なっていたとしたらどうでしょうか。どうしてもっと早い段階で資料作成の方向性を確認しに来なかったのだ!と思ってしまいますよね。

もちろん、部下の仕事のやり方にアドバイスをするのは上司の務めですから、こういった方向性のすり合わせは率先して上司からも声を掛けるべきではありますが、抱えている仕事量が比較的多い上司が個別に気を回すよりも、個別案件として抱えている部下から問いかける方が効率的ですし、デキる部下というのは、そういうことを誰に言われるでもなくやることができるものです。


ここまでは仕事のやり方における注意点でしたが、続いて作業におけるそれを考えてみたいと思います。

「作業のやり方」でよく問題になるのは、次の2つのポリシーです。

(1)「依頼を受けた内容が適切でないと感じたら、自分なりの改善案を示すべき」
(2)「ルーチン作業といえども、作業前提や手順は毎回精査すべきだ」

これまた一見すると何ら問題のないポリシーに思えますが、それも時と場合によるということを私たちは理解しなければなりません。

1つめの改善に関するポリシーは、作業に対する自主性を持たせるという点で好印象を与える姿勢ですが、それは作業者であるあなたが依頼者の意図を十分に汲み取れているという条件下での話です。

例えば、役職が相当上の人間から依頼される情報収集や資料作成の依頼では、現場の視点からは不合理を感じるような作業を強いられることがしばしばありますが、意外にも経営陣の中で議論するには丁度よい粒度の情報であったりするものです。

一般的に、上司や上役の視点は自分が持っている視点よりも経営側に近く、それゆえ、自分が善かれと思って手を入れた資料が上司の思惑と異なっていた、ということはよくある話です。

2つめのルーチン作業に関するポリシーは、姿勢として好ましいものの、日常的に行われる作業で毎回確認するのは時間の無駄です。

そもそも、なぜルーチンワークになっているかを考えてみれば、これは自明の理。完成されて決まりきった手順で行われているのがルーチン化できている理由であり、むしろどれだけ早く作業を終えることができるのかが求められます。なのに、手順や前提条件の精査に時間を掛けてしまうというのは、確実性と迅速性のバランスの取り方が間違っているとしか言いようがありません。

もちろん、定期的な作業改善の取り組みの中でルーチンワークの改善案を検討することは重要ですが、日々の作業の中でそれを求めてはいけません。


仕事と作業の注意点について、すでに社会人となっている人はもちろん、これから社会人になろうとしている学生や就活中の学生にも是非理解してほしいと思います。

posted by 吉澤準特 at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話

2011年12月15日

システム開発プロジェクト遅延の元凶は業務ユーザー
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最初に断言しておきます。

「業務ユーザーこそがITプロジェクトの進捗を遅延させる最大のリスクです」


企業における経営層の相当の割合が、「システム開発プロジェクトを仕切るのは情報システム部の役割だ」と考えています。それゆえ、ユーザーである業務側と開発作業を委託するベンダーを結びつける重要な役割を期待して、情報システム部を中心としてPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)が組成されることになります。

しかし、認識しておきたいのは、システム開発プロジェクトではユーザー側が担うタスクにこそ重要なものが多い、という事実です。特に旧システムから新システムへの移行が含まれる業務改革では、「データ移行」と「受入準備」の2つはユーザー側にも主要なタスクが割り当てられ、それらが実施完了とならない限り、プロジェクトは終わることができません。

こういった重要タスクにアサインされるユーザー側の担当者は兼任者であることが多いです。

兼任者というくらいですから、現業をこなしつつプロジェクト内の作業を担当するという位置づけです。まず100%の工数でプロジェクト作業に従事することはないため、要員計画では一定割合の工数を計上するに留めますが、実際にはその割合さえも捻出されません。

なぜなら、兼任者の作業優先順位は、現業>プロジェクトになるからです。これは単純な話ですね。兼任者の人事考課を評価するのは現業における上司。現業のタスクを劣後させてプロジェクトタスクを優先させているような部下を高く評価する人はまずいませんから、自己評価を高めるために現業タスクを優先するのは兼任者の自然な心理です。

これに加えて、トラブルに起因する予期しない追加作業が散発的に発生してしまえば、もはや日中にプロジェクトタスクを遂行する余裕なんてないでしょう。その結果、兼任者のタスクはオープンになってからも全然進捗が進まず、気づけばプロジェクトで遅延タスクの常連と化していることでしょう。


この状況を改善するには、現業を抱える兼任者がプロジェクトに参画する際の作業優先順位を明確に定めて、現業の責任者と合意をしておくことが重要になります。これは、兼任者の人事考課にプロジェクトでの活動評価も加えることが必須となることでしょう。

リスク管理こそがPMOの真髄です。バカ正直に各チームの進捗報告を鵜呑みにするだけではプロジェクト管理は成功しません。報告の言外に潜むリスクを顕在化させ、それに向けたアクションへ担当者が取り組める環境を作り上げることに腐心して下さい。それが優れたPMOであり、プロジェクトの遅延を回避する最も有効な方法です。

posted by 吉澤準特 at 22:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話

2011年12月10日

業界搾取の構図でおなじみのNTTデータ会社ロゴが消える!
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NTTデータといえば、日本を代表するSIerであり、売上高は2011年3月期で1兆1600億円を超える大企業です。製品を持たずにこの規模を誇っているのはスゴイことですよ。製品を若干抱えるSI主体の野村総研で売上3300億円、富士通のSI部門が8300億円(製品等含むと国内4兆5000億円)ですから、その巨大さがうかがい知れます。

このNTTデータ、国内SIerの頂点に立ち、抱える子会社も数多いことから、会社のロゴシンボルである月見団子のピラミッドは搾取構造を模しているとも、頂点の飛び抜けた○こそがNTTデータ自身だとも皮肉られていたのはIT業界のお約束でもありましたが、ついに企業ロゴシンボルが一新されることになりました。これは、同社が2012年1月からアメリカ地域のグループ会社(Keane、Intelligroup、MISI、Revere、NTT DATA Agile Net、Vertex)を順次統合・再編するからだとのこと。

以下、CNET Japanから引用です。

『2012年1月に「NTT DATA, Inc.」を発足させ、順次米州地域のグループ各社を同社に統合させていき、米州地域では「NTT DATAブランド」で事業展開していく。統合後は1万6000人規模の体制で、顧客に対してインド、カナダのリソースを活用したアプリケーション開発や運用、ERPパッケージ、インフラサービス、BPOなどのサービスからITコンサルティング、スタッフィング、ウェブ開発までを総合的に提供する。

また、今後2012年以降はEMEA(欧州、中東、アフリカ地域)、APAC(アジア、太平洋地域)、中国地域においても順次グループ会社の統合や再編を進める予定だ。NTTデータグループは、一段の成長に向けてグローバル戦略を推し進めており、現在では5万7200人の社員の半数近くの2万6500人が海外拠点で働いているという。

(中略)

さらに、こうしたグローバルな再編を象徴するように、1988年の設立以来23年以上にわたって使用してきたコーポレートロゴデザインも変更する。』
http://japan.cnet.com/news/business/35011686/

NTTデータは23年前に設立された会社なんですよね。もともとは日本電信電話公社(後のNTT)のデータ通信本部として設立された組織であり、1988年に分離独立しています。NTTデータが手がけていた当初案件はこんなものがありました。

全国地方銀行協会システム(ACS、1968年稼動開始)
全国銀行データ通信システム(全銀システム、1973年稼動開始)
気象庁地域気象観測データ通信システム(アメダス、1974年稼動開始)
郵便貯金システム(1978年稼動開始)
社会保険システム(1980年稼動開始)
共同利用型クレジットオンラインシステム(CAFIS、1984年稼動開始)
都銀キャッシュサービス(BANCS、1984年稼動開始)等

こうした会社が、気づいたら社員の半数が海外にいるというグローバルカンパニーになっていたというのは感慨深いです。

話を戻しますが、現在のNTTデータのロゴシンボルは、ITカースト制度を表したものだとも、少し離れた頂点の○がNTTデータを示し、2段目はNTTデータ子会社、3段目は他社の中堅下請け、4段目はさらに小さなソフトウェア会社の下請けを意味する、なんて解釈がされていたりもして、IT業界の住人にとってはいい酒の肴だったのですけど、それがなくなってしまうのは寂しいですね。

____0 ←元請け:NTTデータ本体(例:1億でカスタム開発受注)

___0 0 ←1次下請け:子会社(元請けから6000万円で受注)
__0 0 0 ←2次下請け:他社(1次下請けから4000万円で受注)
_0 0 0 0 ←3次以降:中小ベンダ(2次下請けから3000万で受注)

IT業界の多重請負は社会的な問題にもなっていますが、これは、官公庁や大手企業のプロジェクトでは月当たりで100人以上を投入するものも珍しくないことと、それだけの大人数を1社で賄うことが難しいという人の調達問題が主な原因です。

例えば、「今月リリースされる人員は100人だが、開発案件受注が好調で来月必要になる人員は150人が必要になる」というケースでは、来月に50人のリソースが純粋に不足しますよね。この50人を手っ取り早く賄うのが、2次請け以降の下請けベンダーなのです。この仕組みが多重請負による不適切な指示系統と仲介ベンダーによる鞘抜き問題を引き起こすのですが、ITバブルまで右肩上がりで急拡大をしてきたプライムベンダー(1次請け)にとって、この構造がなければ、プロジェクトを仕切ることができる人材を確保しつつも大量の案件を捌くことができなかったと思います。

参考として、Tech総研に元請けと下請けの給与格差に触れた表から内容を抜粋します。
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000962

・元請け:(プライムベンダー)
→ 20代後半 年収500万円くらい
→ 30代後半 年収690万円くらい
・1次下請け:
→ 20代後半 年収460万円くらい
→ 30代後半 年収650万円くらい
・2次下請け:
→ 20代後半 年収440万円くらい
→ 30代後半 年収560万円くらい
・3次下請け:
→ 20代後半 年収410万円くらい
→ 30代後半 年収550万円くらい

見ての通り、プライムベンダーと比較すると、1次請け以降は収入面で開きが出ています。特に管理職となった以降の30代後半では、プライムと3次下請けの年収が3割程度も差が開くという状況です。それだけ、プライムベンダーの利益率は高いということなんですよね。

プライムベンダーは、受注するまでの営業力/受注した後の実行力の双方が問われます。特に後者は、プロジェクト全体を俯瞰しながらクライアントの要件をまとめて各種作業の頭出しをしていくことが求められるため、システムそのものを実装する力(プログラム開発やパッケージ製品の設定作業)とは問われる能力が異なり、それゆえ、下請けの仕事ばかりを引き受けてしまうベンダーは、プライムベンダーに必要な能力を確保し続けることが難しいという事情もあり、先に示した給与格差はなかなか埋まりません。

なお、経産省が調査した「特定サービス産業実態調査」からローランド・ベルガーが作成した日本のIT業界の概要が、ITmediaにて次のように紹介されていました。

____0 ←(1)超大手プライムベンダー:5社

___0 0 ←(2)1次下請けorプライムベンダー:6社
__0 0 0 ←(3)1〜2次下請け:150社
_0 0 0 0 ←さらに下請け:13000社

(1)富士通、NEC、日立、IBM、NTTデータ
(2)NRI、UNISYS、ITホールディングス等 売上3000億円以上
(3)大手グループ会社や中堅IT会社 売上100億円以上

分り易すぎる構図です。特に超大手プライムベンダーに位置づけられているのは、いわゆるメインフレーマーというメインフレーム開発運用を手がけるベンダー各社であり、メインフレームを1つ納品すれば、初期投資で100億円、その後の保守メンテナンスで毎年数十億円の売上が見込める世界です。

一方、オープンアーキテクチャによる案件も多数かつ絶対金額も大きいため、全体的に見れば、(1)と(2)で能力の差があるわけではありません。展開しているクライアント企業への面の広さが売上差の違いだと理解しておけばよいでしょう。


NTTデータのような個性的なロゴシンボルが消えてしまうのは残念ですが、新しいステージに向けてどんな動きをするのか、今後の同社の動きに注目したいと思います。

posted by 吉澤準特 at 08:47 | Comment(1) | TrackBack(0) | 業界裏話

2011年12月08日

就活生に知ってほしい、リクナビ・マイナビの額面給与の意味
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12月に入ってから就職活動がスタートしていますね。すでに企業説明会(という名前の一次試験)も申し込みができるところがたくさんあるかと思いますが、就活生の方も、やはり「いくらお金が貰えるのか?」というサラリーの話は気になることでしょう。そこで、雇用コストについてお伝えしたいと思います。

実は、転職エージェントの方が出しているメルマガにて、サラリーの分かりやすい話が載っていたので、そちらを紹介することにします。改めて、金額項目とそれに付随する各種費用を並べると、しみじみ感じるものがありますね。

以下、ケースです。

・仮に年収600万円
※賞与なし月収50万×12ヶ月分
・健康保険あり
・扶養家族は1名
※住民税や介護保険料は今回省略

・給料額面 ......500,000円
(以下控除額)
・健康保険料......39,260円(会社と折半)
・年金保険料......40,145円(会社と折半)
・雇用保険料...... 3,000円(会社は額面の9.5/1000の負担)
・源泉所得税......14,440円(個人負担)

-----------------------------------------------------------
・給料手取額......403,155円

社会保険として自らも控除されていますが、健康保険料、年金保険料は会社も同額を負担しています。雇用保険料は被保険者料率が6/1000に対し、会社は9.5/1000を負担。会社がこの人に払う金額は

・給与手取額......403,155円
・健康保険料......78,520円(うち半分の39,260円は従業員負担)
・年金保険料......80,290円(うち半分の40,145円は従業員負担)
・雇用保険料...... 7,750円(うち3,000円は従業員負担)
・児童手当拠出金... 650円(100%会社負担)※子ども有無関係なく発生
・労災保険料...... 1,500円(100%会社負担)※業種により料率異なる

-----------------------------------------------------------
合計 571,865円 (×12=年額6,862,380円)

年収600万円の人を雇用することにより発生する、会社が直接キャッシュで出費する額は年額686万円強となり、およそ自分の額面給与の倍の金額を会社は払っていると思えば分かりやすいですね。

日本の税率は、1000万円を大きく超えない限り、サラリー額面の20%が持って行かれますから、つまり、私達の手取り収入の1.5倍ほどのお金が企業から支出されるのです。

ちなみに、米国や欧州はさらに税率が高いですから、見た目のサラリーが高くても、実質の手取りは結構目減りしています。隣の芝生は青いということで、あまり羨ましがらなくていいと思います。

話を戻して、就活サイトで示される給料・年俸は、給料額面であって手取額ではないことを認識しておくと、あとでお金の皮算用をミスして財政難に陥るリスクを避けられると思います。加えて、企業側が払っている金額を意識し、その給与に見合った仕事ができるのか、考えながら就職活動を頑張ってみるのも自己成長に役立つかもしれませんよ?

posted by 吉澤準特 at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然コメント

2011年12月06日

ビジネスインテリジェンス」から言葉を変えて「ビジネスアナリティクス」で売り込もうとするIT業界に向けて
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ビジネスアナリティクスというバズワードが2011年を駆け抜けた気がします。かつて騒がれた「ビジネスインテリジェンス」との違いに触れた記事(2年前のもの!)があったので、ちょっと紹介します。

「過去のデータだけを分析する旧来のBI(ビジネスインテリジェンス)はもう古い。今後は将来を見据えた分析が必要だ」。米SAS Instituteのジム・デイビス上級副社長 兼 最高マーケテイング責任者はこう語る。

(中略)

BIで分かることは、「先月何が起こったか」「何が売れなかったのか」「ここ2カ月でどんな顧客が離れていったのか」といった過去のことで、“受身の意思決定”の支援だ。

一方、ビジネスアナリティクスは“先を見据えた意思決定”を支援するためのもの。「今後2カ月でどういった顧客が離反しやすいか」「いま業務のこの点を改善すればいくらの節約になるのか」といったことを分析できる。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20090324/327089/

SASの偉い人が言っていることに素直に納得してしまった人、騙されてはいけません。ビジネスインテリジェンスの時代であっても、先を見据えた意思決定をするためのロジック作りこみはやっていましたよ。そのおかげで、BIツールのコンサルタントや戦略コンサルタントは食い扶持が少なからずあったのですからね。

私が言いたかったことは、ビジネスアナリティクスというバズワードに踊らされず、データ分析に基づく経営判断の効率化が目指す本質を見失わないように、ということです。さもなければ、SOAのように、過剰な期待だけを煽った挙句に、「SOA is dead」とか言われてしまうことになりかねません。

参考:SOAは死んだ
http://it-ura.seesaa.net/article/112829422.html

BIに携わっている方々は、この数年間、来るぞ来るぞと言われ続けてブレイクしなかったこの領域をなんとか盛り上げようと頑張っていると思います。技術(サーバスペック、分散処理)がようやくニーズに追いついてきたこのタイミングをムダにしないよう、頑張ってください。

posted by 吉澤準特 at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然コメント

経産省が支援する「つたわるグラフィックス」が残念なサービスで終わりそうな予感
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インフォグラフィックスという言葉を知っているでしょうか?

インフォグラフィックスとはインフォメーションとグラフィックスをかけあわせた造語で、<見えにくい情報>を<わかりやすい形>にするグラフィックデザインです。言葉では伝わりにくいものも、絵や図で説明されるとかんたんに理解できるという話の類であり、表現形態としては以下の6つに分類されます。

#1. ダイアグラム:
主にイラストを用いて図解説明する
#2. チャート:
図形・線・イラストなどで相互の関係を整理する
#3. 表:
情報をある基準で区分して縦軸・横軸上に整理する
#4. グラフ:
数値で比較や変化を表す
#5. 地図:
一定の地域における位置関係を表示する
#6. ピクトグラム:
文字を使わずに絵で物事を直感的に伝える

これらの表現をうまく利用しながら、コンセプトとデータをハッキリさせた上で、5つの要素を様々な視点から考えていきます。

  1. 見る人の目と心を引きつける [Attractive]
  2. 伝えたい情報を明確にする [Clear]
  3. 必要な情報だけに簡略化する [Simple]
  4. 目の流れに沿う [Flow]
  5. 文字がなくても理解させる [Wordless]

ここまでの話は、経産省が支援する「ツタグラ」というサイトで紹介されているものです。

http://www.tsutagra.go.jp/

WS000004

一見すると良さげなのですが、そのサイトコンセプトがいまいち活かしきれていないのは、政府による広報活動が足りていないからなのでしょうか。サイトを訪れてみれば分かりますが、目指しているゴールに向けてのアプローチと、この活動への参加方法が分かりにくいのです。このサイトを始めてみて、「よし、いっちょオレもチャレンジしてみるか!」と腕まくりできる人はどれくらいいるのでしょうね。

せっかく頑張っているのに、もったいない。官公庁が支援しているサービスには、こういった残念なケースが散見されますね。統計情報をわかりやすくしようというツタグラの試みも、別途総務省が提供している統計学の勉強サイト「なるほど統計学」とうまくコラボさせたら、コンテンツの相乗効果が見込めたのでは?と思ってしまいます。

官公庁の皆様、既存コンテンツの有効利用にも是非チャレンジしてみてください。

posted by 吉澤準特 at 01:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然コメント

2011年12月04日

マイナビ2013の広告を深読みしすぎる人たちへ
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12月に入り、就職サイトを提供する各社は満を持してサービスを開始しました。初日深夜に学生が殺到し、サーバがしばらくダウンしてしまったというほどの活況を呈している訳ですが、何やら毎日コミュニケーションズが提供する「マイナビ」の広告ポスターが議論を巻き起こしています。

image

すでにいくつものブログで取り上げられていますが、代表的な以下の3つを読めば、大筋は分かります。

●マイナビ2013の広告が気持ち悪すぎる
http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-96.html
【ポイント】
一連の問題提起の言いだしっぺ。マイナビの広告ポスターは、100人を超えるであろうリクルートスーツ姿の大学生をバストアップの履歴書用写真風に切り取って並べてあります。これを見て、「この広告のタイトルは「考えるすべての就活生に」というものだけれど、考える就活生はこんな広告を見たらドン引きするに決まっている。」とコメントされており、「広告を作るにあたって一体性というものも考えたのかもしれないけれど、あそこまで多くの人数の就活生に同じような服装、同じようなポーズを取らせる広告を作るのは少々やりすぎな気もする。」と加えて、「就活生は自分が「カモ」であることを自覚して、本当に信頼できる人のメッセージに耳を傾けるべきだと思う。」と結んでいます。

●マイナビ2013の広告がすばらしすぎる件
http://onomiyuki.com/?p=360
【ポイント】
狙っているタイトルですが、「マイナビのターゲットは、あれを見ても「気持ち悪い」と感じない、もしくは感じたとしてもその自身の感覚を無かったことにしてしまえるほどには身体的・生理的感度の低い学生だと思います。」とバッサリ切ってます。最後の方でも「いちっばん最初にとりあえず登録して、知ってる有名企業にかたっぱしからエントリするためのツールです。その中から内定をどうにかこうにかゲットするような学生が使ってくれればよい。自分がどうすべきかをその優れた生理感覚で把握できている学生だったら、ハナッからマイナビなんて登録しません。だから、マイナビの広告はあれで成功なんです。」ということで、カモをたくさん釣る餌として優秀だと結論づけてます。

●採用する側から見た例のマイナビの広告
http://d.hatena.ne.jp/potato_gnocchi/20111203/p1
【ポイント】
上記2つのエントリーを踏まえて、採用担当の立場から「こんな広告を真に受けてマイナビ使う奴とか採りたくねぇぇ。」とコメント。しかし、「でもそんなマイナビでも、数十人〜数百人の採用をしなければいけない立場としては、使わざるを得ない」と現状を吐露した上で、「マイナビなどを使うしかない会社は、自分をつまんない型にはめているという意味において、就活生と変わらないことをやっている」と現状を受け入れています。


以上のエントリーを読んであなたは何を感じるでしょうか。1つめは「マイナビ否定」、2つめは「皮肉型マイナビ肯定」であり、いずれも客観的な視点から。一方、3つめは採用担当側の視点からの「諦め型マイナビ肯定」になるんじゃないかなと捉えています。

みなさん、かなり突っ込んで色々考えているようですね。たしかに共感できる部分もありますが、どうしても疑問を感じてしまうのが、「この広告を見てマイナビを利用しようと思う学生はカモ!」という発想です。

これって本気でそう思っているんですかね?

正直な所、就職活動をしている学生の意識をまったく理解していないのではないかと思えてしまいます。これだけの就職格差が叫ばれている昨今、周囲の活動状況から今年も厳しいということは学生たちもひしひしと感じており、少しでも自分が有利に立ちまわる方法を多くの人が模索しています。そんな彼ら彼女らにとって、マイナビの広告を見て感じることは、「ついに就職活動が本格化してきたか」と思い浮かべる程度であり、それ以上の感情を抱いている精神的な余裕なんて、そもそもないんじゃないですか?

周囲の大人が勝手に「マイナビの広告は学生をバカにしている。これを見てマイナビを使う学生は評価をマイナスにしておこう」なんて思ったところで、企業の採用担当者はそれを自分の活動に反映させることはほぼないでしょう。私自身、採用活動に関与していますが、そんなことよりもっと見るべき項目や注視すべき指標がありますし、話題となっている広告ポスターを見過ごしている学生だってたくさんいるのですから、結局、採用活動には何の影響も無いのです。

あれは、毎日コミュニケーションズの就職活動サイトに対する学生の注意を惹きつける広告ポスターという捉え方よりは、就職活動に対する学生の心持ちを一層本格化させるためのきっかけづくりなんですよ。だって、今の学生はリクナビもマイナビも両方登録する人がほとんどです。リクナビを使う人は、セットでマイナビも登録しちゃうという就活におけるインフラ基盤みたいなものですから、別に企業広告を大々的に出したからといって、利用者が増加するというわけではないんですよね。

なので、「マイナビ2013の広告がすばらしすぎる件」という主張に対しては、特に違和感を感じてしまうのです。「自分がどうすべきかをその優れた生理感覚で把握できている学生だったら、ハナッからマイナビなんて登録しません。」って書かれてますけど、多分そういう人は本当に僅かなんですよ。無責任な感覚値で言えば、0.1%もいないんじゃないですかね。

世の中で優秀と評価されることが多い上位20%をしても、その1%にも満たない。そういう人を指して「優れた生理感覚で把握できている学生」と述べているなら、別によいのですが、そんなレアな人たちを引き合いに出しても意味がないんじゃないかな、と思う次第です。


最後に、こんなまとめURLを紹介しておきます。

●いまの就活を知ってください まとめ
http://togetter.com/li/221650
【ポイント】
Twitterのハッシュタグを使って学生からリタイア層まで幅広いつぶやきを集めています。今の採用試験や企業面接を皮肉ったコメントが多いです。不況期の強者として節度を超えた企業側の態度が問題視されています。

posted by 吉澤準特 at 22:44 | Comment(2) | TrackBack(0) | 業界裏話

ヨーロッパ最大のIT企業は社内メールを廃止できるのか?
このエントリーを含むはてなブックマーク

今の世の中、先進国内で電子メールを使っていない企業がどれほどあるでしょうか。

インターネットの世帯普及率が90%以上に達し、個人でメールアドレスを持つことが当たり前になっている現在、最早社会インフラと呼んでも差し支えないレベルの電子メールを”敢えて使わない”という選択をしようと考える企業がヨーロッパにありました。しかもその企業、ヨーロッパでも最大手と言われるIT企業です。

その企業はAtoS(アトス)。同社のCEOが「今後18ヶ月以内に社内メールをゼロにする」という方針を考えていると、テレグラフおよびスラッシュドットジャパンITのサイトが伝えています。

『世界42カ国にて事業を展開し、総従業員数78,500人以上というヨーロッパ最大のIT企業AtosのThierry Breton CEOが「今後18ヶ月以内に社内メールゼロ」という方針を考えているそうだ。

各従業員は電子メールに週あたり5〜20時間費やしているが、毎日受け取る200通のメールのうち重要なものはほんの1割に過ぎず、「電子メールはもはや(コミュニケーションのための)適切なツールではない」とBreton氏は指摘する。また、大量の情報の処理は今後企業が取り組むべき重要な問題であり、考え方を変えるべき時である」とのこと。

Breton氏は電子メールの代わりとしてFacebookやTwitterから着想を得たチャット式のコミュニケーションサービスを採用したいという。 11〜19歳の若年層において電子メールを利用しているのはたった11%であるとの調査結果もあり、若者がすでに「脱電子メール」していることにも着目しているという。

ちなみにBreton氏自身はここ3年仕事のメールを送ったことが全く無いそうだ。「話したければ会いに来ればよいし、電話やテキストメッセージでだって連絡が取れる。電子メールは話し言葉を置き換えることは出来ない」というのが彼の弁である。』

http://it.slashdot.jp/story/11/12/01/0841231/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%AEIT%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%80%81%E7%A4%BE%E5%86%85%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%92%E5%BB%83%E6%AD%A2%EF%BC%9F


なお、知らない人も多いでしょうから、アトスの企業概要を簡単に記します。以下は同社の2010年12月プレスリリースからの抜粋です。

『アトスオリジンと独シーメンスが世界的戦略パートナーシップを結ぶことを発表しました。アトスオリジンがシーメンスのITサービス部門である SIS(Siemens IT Solutions and Services)を8億5000万ユーロ(約950億円)で買収し、ヨーロッパ最大級のIT企業を設立します。シーメンスは最短でも5年間、アトスの株式の15%を所有することになります。この契約によって2010年のアトス決算をベースに見積もって約87億ユーロの売り上げと世界中で78,500人の社員を抱える有数のITサービス企業が誕生します。

(中略)

市場調査等によれば、契約合意に伴いアトスオリジンはマネージドサービス(運用管理)においてヨーロッパでナンバーワンとなり、規模、専門性、能力を拡大強化することで更に大規模で世界規模の競争力が強化されます。また、この契約合意でアトスは長期的成長が見込まれているクラウドコンピューティングにおいてもメジャーなプレイヤーとなります。』
http://jp.atos.net/jp-jp/newsroom/press_releases/2010/2010_12_21_02.htm

同社は2010年時点で87億ユーロの売上を誇っています。日本円に換算すると、当時のレートで1兆円以上、2011年12月現在のレートでも9000億円を超えます。日本のNTTデータが売上1.2兆円弱ですから、ほぼ同等規模とみなしてよいでしょう。


話をわかりやすくすると、NTTデータが「全社的に社内メールを禁止する」ということと同じレベルの話が欧州で進行しているというわけです。

電子メールというインフラに変わって導入を考えているのが、チャット式コミュニケーションとのこと。記事内ではFacebookやTwitterのようなリアルタイムコミュニケーションインターフェースを想定しているようですね。

ただ、これらの着想は、コミュニケーションツールを提供する大手ベンダーなら既に通ってきた道なのではないでしょうか。例えば、マイクロソフトが提供するコラボレーションツールの一つに「Lync」(リンク)という製品があります。

http://lync.microsoft.com/ja-jp/Pages/default.aspx

使ったことのある方は分かると思いますが、このツールはマイクロソフトのOutlook/Exchange(メール)、SharePoint(コラボレーション)という製品と合わせて利用することで最大の効率性をもたらします。

具体的には、Lyncで検索できる人は全てExchangeに登録されており、メールでコミュニケーションするときにはOutlook連動、チャットでリアルタイムに話すときにはLyncでそのままチャットウインドウを開きます。また、その場で相手にファイルを送ってダウンロードさせたり、資料をストリーミングでリアルタイムに共有しながら、文字チャットや音声チャットでコミュニケーションもできるため、PCを使った遠隔地ミーティングがとてもかんたんに実現できるのです。

 

このマイクロソフトのソリューションを使えば、アトスのCEOが主張する情報処理の効率化は確実に実現可能ですが、ここでちょっと注目したいのは、マイクロソフトがあくまでもOutlookを残し続けているという事実です。

電子メールは、情報を累積して後で検索できるという利便性を備えています。米国エンロン事件の後で成立したサーベンス・オクスリー法によって、今や世界中で内部統制が必要だと叫ばれるようになっています。社内コミュニケーションについても、その証跡を残すことが求められており、これについて電子メールを廃止してしまう企業は対応できるのか、という疑問が残ります。

コミュニケーションツールのログを全てサーバ側で保持するという考え方もありますが、ストレージの効率利用という観点と、そもそも情報検索の効率性という点からも、その実現には課題が多いと言えるのではないでしょうか。

ITmediaのオルタナブログで吉川さんが触れているように、記録性と情報保持機能についての代替性をどう考えているのか、アトスのCEOに聞いてみたいところです。

http://blogs.itmedia.co.jp/knowledge/2011/12/it-98b0.html

先のアトスCEOは「紙で報告しろ」と言っていますが、それら紙の資料を保存することで当局の検査に対応するというのは、大変な工数を余計に発生させるだけではないか、と思う次第です。

posted by 吉澤準特 at 12:19 | Comment(0) | 業界裏話





【IT業界の裏話】過去コラム(No.1-337)
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