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『外資系企業に住む住人の視点からIT業界の出来事を伝えます。』

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2012年10月09日

結論だけを示されても、人は納得できるものではない
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人と話をするときに気を付けることのうち、目的意識を相手と共有できるかどうかで、その後のコミュニケーションの難易度が大きく変わります。

目的意識を相手と共有できていない場合の例を挙げて考えてみましょう。

A先輩
「先日メールした資料作成の件だけど、もう対応終わった?」
Bさん
「はい、店舗の時間別来店客数を表にまとめておきました。こちらのプリントです。後でファイルも送ります。」
A先輩
「ありがとう、さっそく拝見・・・あれ、これってお客さんの性別と年代が入っていないよ。どうしてこんな形式にしたの?」
Bさん
「来店客数の情報が欲しいと伺ったので時間帯と客数の情報以外を削ったんですが。」
A先輩
「前回一緒に出た会議で性別・世代別分析をやるって課長に言われたろ?その資料を頼んでいたのに、気付かなかったの?」

A先輩が作業依頼の目的が、前回ミーティングの宿題のためであるとBさんはまったく意識していませんでした。もし知っていたら、必要な情報まで削ぎ落とすことはなかったでしょう。

先の例を見て、Bさんに「それくらい気付けよ」と思う人がいるかもしれません。ですが、逆の見方をすると、A先輩はBさんが自分の意図をちゃんと理解しているのか、確かめる努力を怠っていたともいえます。

自分の努力で防げるミスであれば、それは自分が原因のミスだと考えるのがビジネス・プロフェッショナルです。もし、依頼した資料の使用目的を最初に説明していたら、BさんはA先輩の希望通りに資料を作っていたことでしょう。

コミュニケーションミスを減らすコツは、お互いの共通認識を合わせることであり、中でも「最終的な目的」を相手と共有することが最重要になります。

伝えたいことを要素分解すると、前提(Premise)/仮定(Assumption)/結論(Conclusion)に分けることができます。これらの単位で論理構造を確かめるのがPAC思考であり、論理の飛躍を防いでくれるのに役立ちます。

当たり前の話ですが、結論だけを示されても、人は納得できるものではありません。上司から、「次の会議に向けてAさんとBさんに資料作成をお願いしたんだけど、Aさんの資料はレビューしなくていいから、Bさんの資料を細かくチェックしておいて」と指示されたら、どうしてだろうと不思議に思いますよね。

ですが、「Aさんの作った資料はミスがほとんどないけど、Bさんは間違いが多く、会議が資料の修正会で終わってしまうんだよ」と言われたら、最初の指示も理解できます。

示された【前提】と【結論】だけでは論理的に飛躍しており、上司のえこひいきにも思えてしまいます。しかし、その間を埋める理由付けとして、【仮定】に書かれた情報が示されると、結論の納得性が増します。

自分の伝えたいことをこの構造にあてはめたとき、論理的な飛躍を埋めるだけの説得力を持つ事実や推測を、【仮定】に持ってくることができれば、あなたの意見は多くの人に受け入れられることでしょう。

posted by 吉澤準特 at 02:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | プロフェッショナル仕事術

2012年10月01日

コンサルタントの聴く技術:相手の発言をいつまでも待てる忍耐力を持つ
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相手が意図していることを正確に漏れなく聞き取ることができれば、コミュニケーションで誤解が生じることがなくなり、仕事上のトラブルは大きく抑制できます。ですが、「正確に漏れなく聞き取る」ことができずに苦労している人はとても多いです。

たとえば、「相手が腹を割って話してくれない」ことで本音を聞き出すことができず、表面的な建前論ばかり集まってしまい、総論では賛成だが一つ一つの各論では異論が噴出して議論が堂々巡りになっている。そんな経験を私はいくつもしました。

職業柄、クライアントの内部に入り込んで課題を発掘することが多いのですが、会ったばかりの私に「実はこんな課題で困っていて・・・」とオープンに語ってくれる人はそれほど多くありません。なぜなら、“課題が多い=仕事ができない”と周囲からみなされてしまうことを恐れているからです。

これは私が内情を知る数十社での日常的な光景です。「自組織か、他組織か」という帰属意識を人は持っており、“周囲の目”を気にしています。組織の大小を問わずに散見される一般的な傾向だと認識しています。

腹を割って話してくれない理由は、ヒアリング相手とあなたの間の信頼関係が十分なレベルではないからです。自分の評価を貶めるかもしれないことに協力する人はいません。ですから、あなたが最初にすべき「聴く」ための努力は、相手との信頼関係を高めることであり、これがアクティブリスニングの基本姿勢になります。

ヒアリング相手から信頼を得るための基本は、相手の言い分を批判せず無条件ですべて受け入れる姿勢を持つことです。アクティブリスニングでは「承認」と呼ばれるテクニックであり、こちらからは意見を伝えずに相手が伝えたいと思っていることを存分に言わせます。これによって、あなたはヒアリング相手と同じ側に立っていると認識させて、悩みを共有してもらうことができるようになります。

伝えたいことを気兼ねなく言える関係を構築することは、「聴く」ための第一歩だと考えてください。これができることで、後述する様々なテクニックを有効に活用できるようになります。

自分がヒアリング相手の敵ではないと伝えることで相手の意見を聞き出しやすくなることは先に述べましたが、単純に相手の話を聞いているだけでは不十分です。積極的に、「あなたの言っていることを私は理解しています」と伝え、あなたがヒアリング相手寄りの姿勢で話を聞いていること分かりやすくアピールしましょう。

アクティブリスニングでは、“うなづき”、“繰り返し”、“言い換え”を会話に交えることで、ヒアリング相手と自分の距離感を縮めます。

たとえば、次のようなやりとりはアクティブリスニングの典型例です。

Aさん
「取り組みの遅れは正論ばかり重視するXさんのせいですよ。彼とは一緒に仕事をしたくないです。」

「そうでしたか、一緒に仕事をしたくないんですね。」
Aさん
「まあそうなんですけど、Xさんの正論を無視するという話ではなく、もう少し現場の立場も考えてくれ、ということなんです。」

「現場が受け入れられる現実案がほしいですね。」
Aさん
「そう、その通りです!だから・・・」

話の中で相手が強調したい点を見極めることは、実は難しくありません。最初のやりとりを見て下さい。Aさんの「Xさんとは仕事をしたくない」という主張に対して私がうなづきと繰り返しをしたところ、Aさんは「〜という話ではなく・・・」と論点の方向修正をしました。こまめに“繰り返し”を会話に挟むことで、相手の方から認識齟齬を修正してくれます。

相手の気になる発言には積極的に絡んでいきましょう。

ただし、アクティブリスニングの目的は相手から意見を引き出すことですが、くれぐれも自分の意思を前面に押し出してはいけません。次のやりとりを読んでみて下さい。


「報告書では、作業遅延の懸念がある、と書いてありますね。どれくらい可能性のある話なのかを教えてもらえませんか。」
Sさん
「うーん、可能性と言われても、どうなんだろうなぁ。」

「たしかに可能性と言われてもハッキリ判断できないですよね。」
Sさん
「いやまあ、可能性は大きくないという意見が多いんですが・・・」

「そうですか、可能性は大きくないのですね。」
Sさん
「あっ・・・」

「分かりました。それでは進捗は順調だと報告しておきますね。」
Sさん
「えっと・・・いや、大丈夫です、それでいいです。」

これは私の経験談です。実は全然順調ではなかったのにSさんが作業遅延のリスクを過少報告しており、遅れが表面化にした時にはチーム単体で挽回できるレベルではありませんでした。質問者の私が最初の問いかけでSさんの答えを決めつけてしまったことが事態の一因でした。

相手から意見を引き出すことと、自分の思い込みに当てはまる意見を引き出すことは異なるものです。特に、「自分はうまく仕事をやっている」と自負している人に限って、相手に自分の理解を押しつけがちです。結果として、アクティブリスニングの“繰り返し”や“言い換え”で微妙なニュアンスの差があったとしても、それを無視してヒアリング相手の意見をねじ曲げてしまうことがあります。

相手が言い淀んでしまっても、当人が次の言葉を続けるまではじっと我慢して、ありのままの発言を引き出すことを心がけて下さい。会議のように、あまり時間の猶予がない場では発言を待ち続けるよりも、「細かい資料を見ながらご意見を伺いたいので、後で個別に教えて下さい」と告げ、後日確認することを前提として、会議中の質問を切り上げてしまうのも一つの手です。

posted by 吉澤準特 at 23:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | プロフェッショナル仕事術





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