4月前になるといろいろなところで新人への心得が語られていますね。正攻法のエントリーが多いので、ここでは裏話的なワークハック(要領よく仕事をしちゃう術)をスティーブン・R・コビーの『7つの習慣』になぞらえて書いてみようと思います。
その前に、前提としてビジネスマンもエンジニアも社会人であれば必読書と言われている『7つの習慣』が何かを知ってますか? 知らない方がいたら、この機会に覚えておいて下さい。もはや社会常識になりつつある概念です。
第1の習慣:主体性を発揮する(Be Proactive)
第2の習慣:目的を持って始める(Begin with the End in Mind)
第3の習慣:重要事項を優先する(Put First Things first)
第4の習慣:Win-Winを考える(Think Win/Win)
第5の習慣:理解してから理解される(Seek First to Understand, Then to Be Understood)
第6の習慣:相乗効果を発揮する(Synergize)
第7の習慣:刃を研ぐ(Sharpen the Saw)
長くなるので、各習慣の意味を知りたい方は以下リンクを参照ください。
→ http://it-ura.seesaa.net/article/117318575.html
7つの習慣は正攻法として素晴らしいものの、これだけ渡り歩けるほど優しくないのがIT業界です。私の過去の経験を踏まえ、新たに7つのワークハックとして紹介したいと思います。
【第1のワークハック:できる奴の主体性を発揮させる】
⇔第1の習慣:主体性を発揮する(Be Proactive)
日本の企業は出る杭を容赦なく打ち付けます。自分から声を挙げて「やります」なんて言った日には、アナタの元に余計なトラブルまで舞い込んでくることでしょう。そういうときは周りも積極的に巻き込んでしまいましょう。有識者をうまく持ち上げれば、きっとあなたに協力してくれますよ。これで波風立てずに成功を勝ち取って下さい。
「私がやりたいのですけど、きっと力不足ですよ。ああ、Aさんほどの能力があればなぁ・・・え、手伝ってくれるのですか?」
【第2のワークハック:目的がなくても始めてみる】
⇔第2の習慣:目的を持って始める(Begin with the End in Mind)
目的を持って行動するのって疲れませんか? 何か行動を起こすときには常にプランニングが必要だなんて、そんなことじゃ楽しく仕事なんてできませんよ。あなたは物事を楽しむのに目的が必要なほど石頭なのですか? 目の前でアプリケーションが動くのを見るのを楽しんでいるうちにコーディングなんて終わらせることができますから。
「なぜコーディングをするのかって? そこにコードがあるからだよ!」
【第3のワークハック:重要ではない事項を優先してみる】
⇔第3の習慣:重要事項を優先する(Put First Things first)
緊急ではないが重要な事項について効率的に着手することが大切だなんて言われてますが、重要な仕事というのは例外なく多大な労力を伴うワケです。こういうのを上手くこなせるようになると、ますます仕事がたくさん振られてワークライフで人生が終わりますよ。そういう事態を避けるには、重要性の低い仕事を優先させてみましょう。あなたが人並みのパフォーマンスを発揮しているように見えるので、周囲が過度な期待をしなくなります。仕事がとても楽になりますよ。
「あれ、その仕事って昨日で終わったんじゃなかったの?早く終わったようだから仕事を分けようと思ったのに残念。」
【第4のワークハック:Win-Loseをアピールする】
⇔第4の習慣:Win-Winを考える(Think Win/Win)
「お互いがWin-Winになるよう協力していきましょう」というのもいいですが、もっと効果的なのは「あなたがコレをやらないとLoseになりますよ」という具合にリスクを煽りまくって相手を焚きつける方法です。自分の努力はそこそこに、相手の多大な努力を引き出してやりましょう。
「俺はどうなってもいいんだけどさ、それをやらずに困るのはお前の方だぜ?」
【第5のワークハック:主張してから譲歩させる】
⇔第5の習慣:理解してから理解される(Seek First to Understand, Then to Be Understood)
相手の言い分に理解を示してから自分の言い分を聞いてもらうだけではうまく行かない場面があります。ずけずけと自分の主張を押し通す相手には自分も同じスタイルで望まなければ太刀打ちできません。最初に高い要求を繰り返し主張し、相手が辟易したところで妥協ポイントをハッキリ提示することで交渉を終結に向かわせることができます。いわゆるハイボールという技ですね。
「あなたの立場を考えて今回だけは特別にこの点で妥協しよう。良かったな、この交渉上手め。」
【第6のワークハック:相殺効果を回避する】
⇔第6の習慣:相乗効果を発揮する(Synergize)
犬猿の仲という言葉がある通り、どうしても相性が悪い相手というのもいるものです。少しずつ仕事を進めていくのが好きなのに、巨人の原監督のように「ぐわっとやろうぜ」とか言われても意味が分かりません。もう少し私のやり方を尊重してもらえませんか? などという不毛なやり取りが起きるシチュエーションは極力回避していきましょう。そのためには、自分の得手不得手を知った上で、苦手なタイプの人には近づかないように。それが長く仕事を続ける秘訣です。
「ねえねえ、ちょっと頼みたい資料があるんだけどさ・・・あれ、いなくなった?」
【第7のワークハック:人知れず刃を研ぐ】
⇔第7の習慣:刃を研ぐ(Sharpen the Saw)
学生時代からいましたよね、こういうタイプ。全然勉強していないと言いながら徹夜で勉強しちゃうなんて卑怯ですよ。でも、社会に出て評価されるのはそういうタイプなんですよ。突然仕事を振られても、実は事前にちょこちょこ調べていたからうまくできました、という部下が私も欲しいです。
「悪いのだけどコレについて調べてもらえないかな? えっ、もう当たりが付いている? ほぉ、なかなか優秀じゃないか。」
あなたが共感できるワークハックはありましたか?
ちなみに、7つの習慣にヒントを得た考え方は他にもたくさんあります。たとえば、「脳に悪い7つの習慣」という本では、次の7つのことを避けるようにアドバイスしています。
- 「興味がない」と物事を避けることが多い
- 「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
- 言われたことをコツコツやる
- 常に効率を考えている
- やりたくないのに、我慢して勉強する
- スポーツや絵などの趣味がない
- めったに人をほめない
海外のサイトでは、「7 Habits of Highly Ineffective People」という7つの悪影響を与える習慣が紹介されています。
- Not showing up.
(遅刻する) - Procrastinating half the day.
(半日をだらだら過ごす) - When actually doing something, doing something that isn’t the most important thing right now.
(重要ではないことばかりに着手する) - Thinking too much.
(考えすぎる) - Seeing the negative and downsides in just about anything.
(マイナス思考に陥る) - Clinging to your own thoughts and being closed to outside influences.
(自分の意見に拘泥する) - Constantly on information overload.
(あれもこれもと情報を集めすぎる)
また、「7つの悪習慣」として、7つの習慣の裏側をなぞって反面教師にするというものを紹介しているエントリーもあります。
http://blog.livedoor.jp/habuakihiro/archives/65204690.html
・第1の悪習慣 人のせいにする
・第2の悪習慣 目的を持たないで始める
・第3の悪習慣 1番大切なことは後まわし
・第4の悪習慣 勝ち負けという考え方
・第5の悪習慣 まず自分が話し、それから聞くふりをする
・第6の悪習慣 頼れるのは自分だけ
・第7の悪習慣 自分をすり減らす