新社会人がデビューしてから2週間が過ぎ、もう新しい職場に慣れ始めた人もいるものと思います。そんな皆さんに、私から仕事への接し方についてお伝えしたいことがあります。
私は外資系コンサル会社に長らく勤めていますが、同世代の中で頭角を現す人たちの働き方にはいくつかのパターンがありました。その中でも、比較的万人が実践しやすいパターンなのが、「仕事を小さく分けて取り組む」というスタイルです。
私たちがやってしまいがちな過ちの中に、「一気に取り組む」というものがあります。一見すると、一息で仕事を終わらせてしまうのだからいいじゃないか、と思える言葉ですが、一気にやるということは、失敗した際のやり直しリスクを高めることになります。特に、他人の意見を聞きながら仕事を進めるケースでは、相手と自分の認識乖離が大きくなるほど、やり直しによって生じる作業量が増えます。
こうしたリスクを感覚的に理解している人は、仕事の中身・段取りを切りの良い作業単位で「小分け」にして、作業の切れ目で上司や部下とのレビューを行っています。
たとえば、こういう例があります。
私
「昨日、先輩に頼まれた資料は・・・よし、このファイルを印刷して一通り揃ったぞ。あとはクリップで束ねて、と」
先輩
「おーい、Xさん。頼んでおいた資料、見つかった?」
私
「はい、これでいいんですよね。ファイルサーバ内に点在していたので、集めるのに苦労しましたよ」
先輩
「そうか、それは手間をかけたね。わざわざ全部プリントアウトしてくれたんだ。見やすくて助かるよ。」
私
「お役にたてて何よりです」
先輩
「じゃあ、電子ファイルのありかを教えてくれるかな。報告書用に加工したいんだけど、大量にあるから、メールじゃ受け取れないしな」
私
「そうです、かなりのファイル量です。だから印刷して渡したんですよ。でも手元に保存してないので・・・」
先輩
「あ、そう・・・仕方ないな、もう一度集めてね」
先輩からの指示を忠実に守って頼まれた大量の資料を集めておいたこと、読みやすいように資料を印刷してクリップで束ねておいたことは、私にとって頑張ってやった成果です。
一方で、先輩が期待していたのはそんなことではありません。加工するためのインプット情報として電子ファイルを受け取りたかったのです。しかし、それが達成されていない以上、先輩にとって私がやったことは成果につながっていません。
私は先輩から言われた通りに資料を集めたのに、それをどうやって使うのかを確認していませんでした。その結果、先輩の期待する成果が出せなかったのです。こうした失敗を繰り返していると、「彼/彼女は仕事ができない」というレッテルを貼られて、何をやってもネガティブな目線で見られるという状況に陥る可能性が高まります。
このような状況にならないために私たちが実行できる初歩が、「仕事を小さく分けて取り組む」ことです。特に、次の3ステップを踏んでから、仕事に取り組むことが重要です。

(1) 目的を見据える
(2) 中身に知る
(3) 順序を考える
どんな仕事でも、目的を確認せず、いきなり細かい作業から入ることはありません。仕事の目的を見据えることで、仕事の全体像も掴むことができます。そして、ひとつひとつの作業について前後関係を踏まえ、取り組んでいく順序を考えてから段階的に作業に取り組むことで、もし手戻りが生じても、ほんの少しのやり直しで済むのです。
同世代で頭角を現す人たちは、具体的に次のコツを実践しています。
<分類:MECE>
・体系的に要素をならべる
・要素を重要度で比較する
(類書にも書かれていた関連するコツ)
→大事でないものは切り捨てる
<分類:ロジックツリー>
・一貫性を持って考える
→流れるような説明をする:森、木、枝葉の順で話をする
→塊とつながりをはっきりさせる
→全体像を見てつなげる
・個別の意見と論理全体のルールをはっきりさせる
・ルールを疑う
<分類:インプット・プロセス・アウトプット(IPO)>
・あらゆる要素のインプット・アウトプット(関係性)とその強さをはっきりさせる
→つながりの向きと太さを明確にする
・アウトプットの形を意識してインプット情報を集める
→情報を収集したらアウトプットする:自分に当てはめたらどうなるかを考える
この7点を気にしながら仕事をするだけで、周囲への報告・連絡・相談がうまくできるようになり、「この人は仕事のやり方がうまい」と思われるようになります。
私が皆さんと一緒に仕事をする立場であれば、是非意識的にこうした仕事のスタイルを実践してもらいたいです。1年間このやり方を続けていけば、あなたの中に自然と溶け込んでいくでしょう。そうして、2年目からは、次の新入社員の方々に向けて、今度は皆さん自身がこのスタイルを説いてあげてください。その継続によって、あなたの周りに同じ考えを持つ人が集まり、より大きな仕事をうまくこなすことができるようになると思います。
他にも「これだけは実践しておきたい」という仕事のスタイルが3レベルに分かれて整理することができます。成長したいと気持ちが強い人は一読してみてください。
『外資系コンサルの厳選仕事術: 仕事を効率化する60の技術』
http://matome.naver.jp/odai/2137933320198877401