IT業界と一口に言っても、そこにはSI業界、Web業界、SES業界、セキュリティ業界、クラウド業界・・・と様々なサブカテゴリ―に分かれています。もちろん、この中で一番大きなボリュームを占めているのはSI業界に違いなく、その中もクライアントの業界別にさらにカルチャーが異なっています。
そうした巨大な業界の中にいる人たちは、Twitterを使って日々の出来事や不平不満、面白かったことをツイートしており、この5年間くらいでいくつかのハッシュタグに自然集約されてきました。
このエントリーで紹介するハッシュタッグをチェックしておくと、IT業界の愉快で奇妙な世界を覗くことができます。すでにIT業界にどっぷりつかっている人も、これからこの業界を目指してみようと思っている人も、一読すると心の持ちようが変わるに違いないでしょう。
(例)
「プロ意識とは給料分以上の仕事をしないことだ」
→品質を上げても単価が上がらない世界があります。
「HDDはいちばんヤバいときに飛ぶ」
→マーフィーの法則です。障害リカバリーで徹夜が続きます。
「眠いときはトイレで大きいのしてるふりして15分位籠っててもいいよ」
→30分くらい仮眠してもばれません。シエスタみたいなものです。
「帰れるうちに帰ってください、帰れなくなるんだから」
→働き方改革が進んでも、まだこういう現場は残ってます。
(例)
「ファイル名、~$〇〇編集済み最新版_★★★【最重要】■無断編集禁止■旧版ー平成29年度 下半期経費報告書1227更新最終A★★★ - コピー (2) - コピー.xls.xlsx」
→ホントにこういうファイルあるんです。更新するたびに状態を名前に加えるなと。
(例)
「このシステムを刷新して下さい。仕様書はないですが今まで通りにしてください」
→SEはエスパーのような透視能力が使えると思われています。
「今まで壊れてないから冗長構成やめて大丈夫でしょ?」
→たった数千万をけちると、マーフィーの法則がこのあと発動して、損失額が数億円になります。
「仕様凍結時も仕様が全然決まってないけど納期には間に合わせてください」
→やはりSEはエスパーだと思われているようです。
「何もしていないのに壊れました」
→たぶん顧客もエスパーなんだと思います。…何もしていないわけないだろ、と。
(例)
「こいつ…動くぞ…!」
→これは「動いてよかった」ではなく「動かないはずなのになぜ動く?」という想定外の事態で発している言葉です。条件判定間違えたのかな。
「(文系の)僕だって……やればできるんだ!」
→IT業界の半分は文系ですし、プログラミングしている人の1/3くらいも文系です。プログラムはロジックの塊だから、論理的に考えることができれば概ねOK。
「『運用でカバー』ってのはなぁッ! 設計と開発のミスをインフラに押し付ける言葉に過ぎないんだよォッ!!」
→「運用でカバー」が3回以上聞かれるシステムはだいたいが設計不足です。
(例)
「信じるものは救われる。でもIT業界は違うらしい」
→すべてを疑ってかからないと基幹系システムは動きません。
「明けない夜はない。だがIT業界は違うらしい」
→ユーザーから電話がかかってこないからゆっくし仕事できます。
「明日はお休みです。だがIT業界は違うらしい 」
→システムは24/365で止まらないため、運用管理者はみなし日で1日のサイクルを整えます。24時にバッチ実行、30時にバッチ完了とか。
(例)
「男子400人月メドレー」
→基幹系システムの段階リリースかな?
「まるなげ」
→プライムベンダーのPMが競技者かな?
「プロジェクト高跳び」
→SPIかCPIの上振れ度合を競うのかな?
「さじ投げ」
→デスマーチ案件の現場担当者が競技者かな?
「システム障害物競争」
→担当システム別のチーム戦かな?
「男子床寝(団体)」
→いす3つを並べて横になり熟睡度を競うのかな?
「個人メドレー(設計、コーディング、試験、ドキュメント作成)」
→スーパーエンジニアが競技者か、超小規模システムかな?
「残業(男子 140h超級)」
→1日7時間の時短ではなく、160+残業月140時間で系300時間労働かな?
(例)
「一晩寝かせたらバグがなおった 」
→再現性がないたけど、客向けの説明が余計困難になります。
「プロトタイプを作って見せたら、プロトタイプのまま製品に組み込まれた」
→可用性とか災対の設計が全然できてないですけど、いいんでしょうか。
「霞が関系のパスワードがpassword」
→それ以外もデフォルトパスワードをずっと使用とか。最近の管理者権限IDは「使うたびにパスワード変更」を自動化してきてます。
「脆弱性怖いので脆弱性のないソフトを採用してください」
→原発の安全神話と同じことをITに求めるクライアントが時々います。
こんなどうしようもない愚痴が続く業界ですが、少しはいいところもあるんですよ。是非このハッシュタグを見てください。
(例)
「誰もが知っている憧れのあの企業のオフィスで働くことができます!」
「自分でも思いも寄らない語彙力で悪態がつけるようになる」
「家にいない時間が多いので、ガス・水道代が節約出来る。電気代は人による。」
どうですか、いいでしょう? えっ、さっきの愚痴の言い方を変えただけだって?
posted by 吉澤準特 at 16:04
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