私が寄稿しているFPNで、次のようなエントリーが寄せられていました。
『内定が決まらない学生が学業の上で不利になるのは仕方のないこと。
出来の悪い奴が損をするのは必然だ。あまりここには拘らなくても良
いよ(Fランや大学就職課は拘るだろうけれども)。』
『就職が決まらず卒業すればいくらでも長期的に就職活動が行えるが、
新卒扱いとはならずに不利となってしまう。新卒扱いをしてくれる
現役大学生の最中に長期的な就職活動ができることは、この点でも
有利となる。
つまり、「不出来な学生はどうせ就職活動が長期化するのだから、無
職のレッテルよりも学生のレッテルを貼られていた方がマシ!」と。』
→ http://it-ura.seesaa.net/article/102995893.html
こんなことを本気で考えている人がいるのかと愕然としてしまいます。
大学で学業を優先させている人の割合はそれほど多いとは思いませんけ
れども、学生の良し悪しとは第1に学業の結果であるという認識は多く
の人がもっていると思います。
しかし、上記エントリーでは、学生の良し悪しは就職活動に成功するか
どうかにかかっていると述べていますよね。
仮に「良い学生は採用面接で使えると判断された人間である」と考えた
としても、この発言には例外が多すぎます。
就職活動で一番重要なのは、「自分の持ち味・強み」をいかにして面接
官に上手に伝えるかというポイントです。
業界にもよりますが、現場の社員が面接官を務める企業では、自分が一
緒に働きたいと思う候補者を選定する傾向が強く、そのためコミュニ
ケーション能力に劣る人は不採用になりやすいですね。
つまり、面接官への伝え方が下手な学生は、面接を潜り抜けることが難
しく、就職活動が長期化しやすいと言えます。
でも、そういった学生は本当にすべて出来が悪いのでしょうか?
例えば口数は少ないが着実に前に進むスタイルを持ち味としている人も
いるでしょう。そういうタイプは逆境に強く、研究職や分析関連の仕事
で素晴らしい成果を挙げることもよくある話です。
逆に、早々に内定を獲得して就職活動を終わらせた学生には、口のうま
さだけで面接を切り抜けた人も少なくないのではないかと思うのです。
※これは私の経験に基づく主観です。
そういった学生には表面的な要領の良さだけで中身を取り繕っている人
もいるわけで、果たしてこのような学生を「出来が良い」とみなしてよ
いのでしょうか?
元のエントリーでは、大学3年の早い段階から就職活動が始まることにつ
いて肯定論を展開していますが、この点も私はおかしいと感じています。
そんなに早くから就職活動するのが良いのなら、極論で、大学1年生から
就職活動すれば良いという発想になりませんか?
もっと言えば、大学合格が決まった段階から就職活動すればいいんじゃ
ないですか?という結論にまで成りかねない。
さすがにこれは誤った意見だと考える人は多いと思いますが、それなら
ば、「誤っている」と判断した理由はなんでしょうか?
社会経験が未熟だから?
だったら、大学3年生になったばかりの時期だって十分に未熟だと私は思
いますよ。ならば大学4年生のできるだけ遅い時期までずらしたらどうで
すか?
それだと企業側の受け入れ態勢が間に合わないかもしれない、という問
題もあるでしょうし、大学側も学生の進路を把握しづらいという事情も
あるかもしれません。
こういった事情を踏まえて、とりあえずの落としどころが以前まで有効
だった就職協定(特定月以降から学生と接触できる)だったのではあり
ませんでしたか?
FPNのようにより多くの人目に触れるようなところでのエントリーは、
脊髄反射的なものではなく、もう少し熟考してから書いたほうが良いの
ではないかと久しぶりに考えさせられた記事でした。
posted by 吉澤準特 at 16:29
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