ドラマ化されたブラッディマンデイと漫画を比較すると、改めて進行の早さを感じます。第2話では折原先生の部屋を訪れるシーンが描かれていますが、漫画ではそこに到達するまで相当の話数を費やしています。最初に2時間スペシャルを放映したとしても早い。それだけスピード感が作品の良し悪しに影響するということの証左でもあるともいえます。
以下、ネタバレを含みます。
今回、クリスマスの虐殺動画に映りこんでいた不審人物を特定するために、動画編集ソフトとレタッチソフトを使って不鮮明な画像をトリミングするという処理が行われていましたね。動画の解像度はYouTubeよりも多少鮮明なぐらいであったために少々ご都合主義な部分もありましたが、あれくらいの作業はフリーウェアの動画編集ソフトとペイントショップレベル(※フォトショップがあればなお良し)で十分可能であり、このあたりは理解できました。ノートPCにしては処理速度が通常の3倍以上だと思いましたけど。
ちょっと理解に苦しんだのは、レンタルビデオ店の管理システムに外部侵入して監視映像を盗み見していたシーンです。CNET 読者ブロガーのisidaiさんが『
「ブラッディ・マンデイ」を考察する(02)』で解説しているように無線LANに侵入する方法は、無線の強さにつっこみをいれつつ技術的には問題ない範疇です。一般的な53Mbpsの速度を保てれば、あれくらいの解像度の動画を再生するのは苦じゃないでしょう。
それよりも無駄に高機能なレンタルビデオ店の管理システムが気になって仕方ありませんでした。あのビデオ店、どう考えてもツタヤには及ばない地域展開レベルの店舗に見えるのですけど、会員の貸出タイミングごとに動画を編集保存して紐付けておくなんて、どれだけ履歴管理に手間を費やしているのかと(笑)
近年のハードディスク価格下落に伴い、監視カメラの映像をハードディスクに保存することは徐々に一般的になってきましたが、その管理方法はおおざっぱであり、普通は時間単位で自動的にファイルを新規作成して日毎にフォルダを区切って保存する程度でしょう。
セキュリティ上高い監視レベルを要求されるケースでは、監視カメラの映像内容をリアルタイムで分析&画面上の特定変化(例えば特定人物が映った)に応じて動画を切り分けてアラート発する仕組みもあります。ただしそういったシステムの構築には機器と設計導入費用を含めて億は下らないでしょうね。
手動でやるにしても、監視カメラを丸1日眺めて利用者毎に動画ファイルを分割することになるため、ある程度PCスキルを持つバイトを常時3人×16時間は雇わないと運用できませんね。仮に時給1000円として、3人×16時間×30日×1000円=144万円。1年続けたら1700万円を超えます。
折原先生の部屋でのパスワードクラックはisidaiさんの指摘通り、USB bootで直接HDDからぶっこ抜きでしょう。こういった行為を懸念して、最近の企業ではPointSecという製品に代表されるHDD暗号化ツールが大ヒットしています。
(PointSec)
→
http://it-ura.seesaa.net/article/108398759.htmlPointSecの場合、管理者ライセンスが50万円、1クライアントあたり2万円弱、定価で購入したら1000台で2000万円も掛かるのですが、機密漏洩の方がよっぽど被害額が高くなるため、意識の高い企業や個人は既に導入していますね。
今後、THIRD-iの内部システムも徐々に描かれていくことでしょう。24のように現在技術の延長線上に若干の誇張を交えるくらいでカッコイイ場面を描いてもらいたいです。世の中の技術というのは、そういったイメージの産物を実現するために革新が進むものですからね。
(余談)
THIRD-iの元ネタになっていそうな24-twenty four-に出てくるジャックバウアーが所属するCTUの内部システムは、実は現実の技術でほぼ再現が可能だったりします。
複数のオペレータが同じ作業を別々のPCで分担したり引き継いだりするのは、Citrixのメタフレーム(現Citrix XenApp)を使って結構簡単に作れるのですが、これはまた別の機会に書くことにします。
posted by 吉澤準特 at 13:38
|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
業界裏話