本件に関して、TB先の方から利用者側には非がないことを示すべきというご指摘を頂きましたので、ここで整理してみたいと思います。
楽天は何を根拠にイベントで取得したポイントの一方的取り消しとポイント利用者への別途支払い請求を行ったのでしょうか。
(楽天の主張)
キャンペーンの趣旨とは異なった利用が多数散見されましたため、
今回のキャンペーンは誠に勝手ながら中止とさせていただくこととなりました。
キャンペーンの趣旨とは何だったのでしょう。楽天は新規入会者の促進およびショッピングの楽しみをユーザに知ってもらい、
販売促進にもつなげる目的であったとステークホルダーに説明しています。
しかし、その”目的だけ”を見れば達成できているではないですか。
例えば、当メルマガでキャンペーンを知って、楽天でアカウントを作成したとしましょう。これで新規入会者が一人増えました。
さらに、イベントで貰ったポイントを使って楽天で買い物をしましょう。おや、ちゃんと販売促進も果たせていますよね。
利用者には何も非がないではありませんか。
(楽天の主張)〜朝日新聞ほか複数マスコミ社の報道〜
楽天は今月9日、無料ポイントをいったん全部取り消した。そのうえで調査を進め、「不正取得」と判断したポイントによる買い物は、
そのポイント分の代金を請求することを決めた。一方、取り消したポイントのうち、正規取得と判断した分は会員に返すという。
楽天の主張のもう一つの根拠がポイントの”不正取得”が行われたということです。
ですが、1月上旬まで、楽天は複数アカウント保持を規約で禁止していませんでした。つまり、
複数のアカウントを作成しても規約では問題なかったのです。
※禁止していなかった理由は、少しでも多くの利用者がいるように楽天が見せたかったからという話もありますが、
ここでは置いておきましょう。
楽天としては一人で数十、数百のアカウントを取得したユーザを指して”不正取得”といっていますが、
これは楽天が想定していた利用の範囲外であったというだけで、強いて言うなら”不当取得”でしょう。
【不当】
違法ではないが、法規定の趣旨・目的に照らして妥当でない。
不正ならポイント取り消しもアリですが、不当であるからといって「いきなり」ポイント無効&あまつさえ支払請求を行うというのは、
これこそ不法行為です。
京都第一法律事務所で、「契約の一部が消費者にとって不当な場合、その条項が無効になる項目」
をいくつか挙げているのでご紹介しましょう。まさに今回の楽天が追加した規約は、法的に無効であることが分かります。
→ http://www.daiichi.gr.jp/seminar/03/okumura.html
(以下抜粋)
契約条項に以下の内容が書かれており、
契約書を作成してしまっていても無効です。
・
事業者に債務不履行があり消費者に損害が生じた場合でも事業者が全部または一部の責任を取らないでいいとする契約内容
・事業者に事業遂行の途上、
不法行為により消費者に損害が生じた場合でも事業者が全部または一部の責任を取らないでいいとする契約内容
ここまでの整理で、単一アカウントを新規で作成した場合はまったく問題はないことが分かりました。
また、万一、複数アカウントを新規で作成した場合でも、楽天側の落ち度によるところが大きく、
楽天の指示に一方的に従う必要がないことが分かります。
これで利用者側には非がなく、楽天の支払請求にも応じる必要がないということを分かって頂けたでしょうか。
posted by 吉澤準特 at 01:59
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徒然コメント
イイコトイウネ
もちろん、90条は網羅的規定なので法的判断が必要ですが、その可能性も十分に留意する必要があります。
公序良俗に、法人だから個人だから、ということはありませんので。
コメントありがとうございます。今回の整理が事件ポイントの整理につながれば幸いです。
-通りすがりさん-
おっしゃるとおり、住所や氏名が真実と「まったく」違っているような虚偽内容を登録した方は、当初の楽天規約にあるとおり、ポイント失効も仕方ないですね。
ただし、楽天が事態を把握してからトラブル公表までに発生したポイント取引の金額を現金請求するというのは、ちょっと無理があるように思えます。(公表を故意に延期した疑いがある&その目的によっては、楽天が想定外の利用を行った人々を陥れようとしたことになる)
残念ながら私は法律の専門家ではないので、このあたりは個人的な推量でしかありませんが、もし楽天が本格的に請求をしてくるようなら、弁護士の方に話を聞いてみようと思います。(初回無料の方が望ましいなぁ)