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日経情報ストラテジーのメールマガジンで、イーイーティ社長の熊澤さんが興味深いことを書いていました。 日米のIT投資に関する取り組み方の違いなのですが、どうやらネット上には出ていない文章のようなので、 誤解が起きないように要所を引用します
『日米の認識格差については、こんな話もあります。日本企業はITに投資して減価償却の法定耐用年数(サーバーは5年)を経過した段階で、
「やっと償却が終わった、ようやくこれから利益を享受できる」と考える傾向があります。よって、10年、20年と古いシステムを使い続け、
時代の流れに対応できなくなった機能だけを追加していく方法を非常に好みます。ただ、
後付けの機能追加の繰り返しはシステム全体としてのバランスを欠き、
結果的には抜本的なシステム開発と比して開発期間もコストも割高になってしまうケースがあります。
一方、米国では5年を経過し、 償却が終了すれば当り前のようにバージョンアップやシステムのリプレースを行います。システム構築に1〜2年を要するために、 彼らは新システムを導入してからわずか3〜4年で、さらに利益性の高い有効なITソリューションを模索し続けているのです。 私の知る国内企業で“次世代ITシステム検討プロジェクト”を5年以上にわたって続けておられる企業があります。 10年以上使用したシステムを刷新するのに、検討するだけでさらに5年もかけるという話を米国企業のIT部門の責任者や役員にすれば、 彼らは爆笑するでしょう。
(中略)
一言で総括すれば、「必要最低限のIT投資」の認識が日米の企業で、 まるで異なるのです。日本企業は、「忙しくなった」「新しい法律ができた」「会計制度が変わった」「買収を行った」 「子会社を統廃合することにった」「ハードウエアが老朽化した」「システムサポートが無くなった」などなどと、 困った問題が表面化してからITに投資する「泥縄式スタイル」に陥っています。
15年前に海外とのビジネスなど皆無だった企業が現在は進出しているケースは多いと思います。15年前に戦略的IT投資として多言語・ 多通貨・コンソリデーション(統合)・コンプライアンス(法令順守) 対策に対応できるERP(統合基幹業務)などのシステムの導入を進めていた企業がどれくらいあるのでしょうか?
自分たちの会社は将来どの方向に向かって行くのか?という大方針があり、 そのためにどのようなITシステムを構築すべきかを考える――。このような習慣を持たない限り、日米の10年のIT格差は埋まりません。 IT戦略はそのまま企業の経営戦略です。』
製造業などモノを作っている企業では、サポート対象期間が終わってもサーバを使い続けているところが比較的多いと私も感じます。
けっして問題が発生していないわけではないのですが、現場の担当者がちょっとした工夫で凌いでしまっているのです。
でも、これって実は凄いことなんです。通常、6年目以降の保守は割増費用が掛かるのですが、 なぜ欧米企業の多くがその時点で新たな投資に動くかといえば、その方が人件費を含めたトータルコストが安くなるからです。 古い機能を使い続けていても競争力が劣っていくだけだから、新規投資をせざるを得ない。
逆に、割増保守費用を支払ってでも使い続けた方がトータルコストに優れるというのは、 古い機能を創意工夫でうまく活用しているからに他なりません。これって現場レベルのスタッフが優秀でなければできないことですよ。
後手後手のIT投資に回っているという状況も、見方を変えれば、 ギリギリまで追加投資をしなくても済むような資源効率の高い運用を実現していると言うことだってできます。 資源効率性が悪化するから新規投資を行う、それが典型的な日本企業の発想です。
この話、もう少し大きな視点で捉えると、父性社会と母性社会における考え方の違いであると言えるのですが、それはまた別の機会に。
ともあれ、ITというのはあくまでも企業戦略の一手段に過ぎないわけで、 手段を新しくしなければ目標を達成できないというのは視点が違うように思えます。目的を達成する上で、 まずは既存のリソースの有効活用を検討し、それでは不十分だと分かったときに新規投資を行うというのが正道でしょう。
欧米と日本のIT投資に対する姿勢の違いというのは、既存リソースの有効活用余地の違いだと私は認識しています。
【追記6/26】 ガートナーが各国のICT投資マインドを調査した結果があります。経団連のサイトの以下のレポートに引用されているので紹介しておきます。 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/018/honbun.pdf 該当箇所を抜粋するとつぎのとおり。 順位国総合得点 1 インド100 2 シンガポール82 3 スペイン・ポルトガル74 4 マレーシア71 5 オーストラリア68 6 中国67 7 フランス64 8 韓国60 8 米国60 10 北欧4カ国(デンマーク・フィンランド・スウェーデン・ノルウェー) 58 11 ドイツ51 12 英国49 13 カナダ47 14 オランダ・ベルギー45 15 イタリア43 16 日本13 1位のインドに比べると米国や北欧勢は6割程度ですが、日本はそれら国々の2割強に過ぎません。※詳細はリンク先へ
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四半期で評価される制度である以上、短期計画を回していかざるをえないのが米国だとして、
今いるCEOが、2年後の次期CEOを指名することすらできなかったりすればなおさら、自らの任期以降の収益や株式時価総額や労働生産性に頓着するはずもなく、結果として定常化したIT費用がP/Lだけのコントロールで維持されているだけなのではないでしょうか?
欧州は、どちらかというと日本的なイメージを持っているのですが、違うのでしょうか?
失礼。
企業を取り巻く労働環境が異なるというのは、なるほど、大きな要因だと思います。米国の場合、前任者と同じことをやっても大した評価はもらえませんから、皆、新しいことにチャレンジしますね。IT投資は取り上げやすいテーマでしょう。
売上に対する一定割合を常に割り当て続けるというのは国内企業もやっていますよね。論点なのは、定常化したIT費用の、特に攻めの投資(戦略的投資)の使い方についてですよね。既存機能のリプレースを含めたシステム刷新に使う、もしくは既存機能を拡張して使い勝手を良くするなどアプローチは色々あると思いますが、どれを選択するかが米国と日本では傾向が異なるという話だと理解しています。
この件についてはガートナーが各国のICT投資マインドを調査した結果があります。経団連のサイトの以下のレポートに引用されているので紹介しておきます。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/018/honbun.pdf
該当箇所を抜粋するとつぎのとおり。
順位国総合得点
1 インド100
2 シンガポール82
3 スペイン・ポルトガル74
4 マレーシア71
5 オーストラリア68
6 中国67
7 フランス64
8 韓国60
8 米国60
10 北欧4カ国(デンマーク・フィンランド・スウェーデン・ノルウェー) 58
11 ドイツ51
12 英国49
13 カナダ47
14 オランダ・ベルギー45
15 イタリア43
16 日本13
1位のインドに比べると米国や北欧勢は6割程度ですが、日本はそれら国々の2割強です。
オープン系の技術が主流になってからはリプレースサイクルは5年が一般的になりましたね。減価償却が5年以内に終わることとリンクしています。
参考になりました。