先日IDC Japanが発表した国内IT市場の主要トレンド2010年版が発表されました。ニューノーマルと言われるこの時代の潮流、果たしてどこまで予想が的中するでしょうか。
- 国内IT市場は2009年に大幅縮小し、2010年はきわめて低い成長率に留まる
- 仮想化の対象がストレージやネットワーク機器にも拡大し、ITインフラの統合管理ツールへの需要が本格化する
- クラウド上でのシステム/アプリケーション開発環境が整い、クラウドへ の流れが加速する
- 新政権による政策の追い風を受け、地球温暖化防止に向けたITの利活用が本格化する
- スマートグリッドへの取り組みなど、社会インフラ向け大規模システム開発が新たなテーマとして浮上する
- 高速無線データ通信サービスの開始によって、消費活動に連携したアプリケーションの多様化が進む
- パンデミックへの対応を契機に、ユニファイドコミュニケーションの本格導入が始まる
- クラウドへの対応が新たなハイブリッドセキュリティ対策需要を喚起する
- システム開発のグローバル化と、国内SI事業の再編が加速する
- 市場分析/経営分析ツールが注目を集め、BI/BA市場が急拡大する
私の感覚では、2番「統合管理ツール本格化」、3番「クラウド加速」、5番「スマートグリッド」、8番「クラウドセキュリティ」あたりは実現しそうですが、残りはちょっと違うんじゃないかなと思っています。
2010年のIT投資成長率はかなり旺盛になる(名前を変えてお金の使い方が変わる)でしょうし、地球温暖化防止のIT活用はまだ市場が十分ではないです。
高速無線によるアプリの多様化は、むしろ携帯側のさらなるスマートフォン化(例えば独自グーグルフォン)によっる変化の方がインパクトがあるかと思います。データ通信がそれほど高速化しなくとも、すでに多様なサービスがiPhone上で実現されつつありますし、Android携帯プラットフォームでも同様の変化が期待できます。
国内SI事業の再編は昨年に続いてあがっているのですけど、果たしてどこまで本気で立ち向かうベンダーがいるかは疑問ですね。投資意欲が減退しているとはいえ、まだまだ日本国内のクライアント相手に商売しても利益が出る状況ですから。事業仕分けによる政府のIT投資削減がどこまで影響を及ぼすか、でしょう。
ちなみに昨年のIDCの予測は以下の通り。
- 国内IT市場は、これまでの拡大傾向から一変してマイナス成長となる
- 仮想化サーバーとシステム管理ソフトウェアの拡大がSIerの選別を促進する
- PCの急速な価格下落によって、主要ベンダーの事業撤退が起こる
- バーチャルクライアント化が進展し、サーバーとストレージによる処理集中化への回帰が起こる
- モバイルPCの利用拡大と、携帯電話向けアプリケーションの増加によって、クラウドコンピューティングへの流れが加速する
- 部門単位のSaaS利用拡大はIT統制見直しの契機となる
- セキュリティ市場に新技術が投入され、システムインフラ整備の重要な要素となる
- データセンターのグリーン化への取り組みが本格化する
- 日本のITベンダーによる海外進出が加速する
- ITベンダーのコンプライアンスへの対応力が試される
昨年の予測を顧みると、概ね当たっていましたね。違っていたのは、5番「携帯向けアプリとクラウドの流れの関係」、7番「セキリュティ新技術」、9番「国内ベンダーの海外進出」というところでしょうか。
そういえば、先日ITRから国内IT投資動向調査2010の結果が届いていました。投資意欲が旺盛な領域は、「クラウド」、「セキュアPC端末」、「SaaS」、「経営管理」、「BI分析」となっており、逆に意欲減退となっているのは、「大型メインフレーム」、「LAN/WAN」あたりです。
クラウドとセキュリティ、それにビジネスインテリジェンス(BI)が2010年のキーワードになるのは間違いなさそうです。
posted by 吉澤準特 at 10:25
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