私は複数のIT系メルマガに登録しており、その中でも日経情報ストラテジーやキーマンズネットなどはなかなか面白く読ませてもらっています。ITproのメルマガもそのうちの一つだったのですが、昨日配信された記事についてはどうにも違和感を拭えず、勢い余ってエントリーを書いています。
まず、ITproのメルマガに示された内容を示しておきます。
『「手持ちの商材を押し売りせず、お客様が喜ぶソリューション(解決策)を提案しなければならない」
提案型のSEやソリューション営業が必要だとITの世界で言われて久しい。「提案型」や「ソリューション」という言葉はハードウエアをひたすら売る「ボックスセリング(箱売り)」を反省して生まれたものだ。ボックスセリングはいまや死語である。しかし提案型もソリューションも実態が伴わない死んだ言葉になっているのではないか。
そう懸念するのはユーザー企業のCIOやシステム責任者から次のような不満をしばしば聞くからである。
「ソリューションにつながる提案を持ってきてくれれば必ず聞く時間をとる。ベンダーさんに常々こう言っているのですが、こちらの立場を理解して提案してくれる人はなかなか出てきませんね」。
(中略)
「ITのトレンドは今後こうなっていき、御社のビジネスにかようなインパクトを与えます」。こうした説明ができる人は案外少ない。そこまで大きな話でなくても、たとえば「パブリッククラウドとプライベートクラウドの違い」や「HTML5の定義」などごく基本的と思われることであっても、いざ人前で説明するとなるとかなり苦労するのではないだろうか。実際、ITトレンドを語っているつもりでも、顧客から見ると特定の製品や事例の説明に過ぎなかったりする。
(中略)
以上の問題意識から日経コンピュータは『ソリューションビジネス道場 提案力を高める 戦略・最新知識・活動プロセス編』という研修を企画した。』
ここで述べられていることを本当に単純化して示すと、次のやり取りに帰結します。
お客「ソリューションにつながる提案を持ってこい」
SE「ITのトレンドは御社のビジネスにこうインパクトします!」
・・・・・駄目だ、ダメだよ、それじゃ!
これじゃお客さんの答えに全然なってしないよ!!
お客さんが欲しいのは自社のビジネスを理解した上での提案なのですから、どんなテクノロジーを使うかは手段の問題であって、最終的な目的ではないのです。穴が欲しいお客さんに高性能ドリルを売りたくなる気持ちは分かりますが、実はクギとトンカチで十分な場合もあるのです。
それを理解していないベンダーが多いから、前述のようなやり取りが発生するんじゃないですかね。さもなければ、理解した上で、敢えて売上を上げるために自社(ベンダー)の都合をゴリ押ししてくる、質の悪い営業ですよ。
もう少し違った宣伝文句で研修を企画しないといけないんじゃないかな、と私なんかが心配になってしまうほどですから、ユーザサイドでビジネスをしている人間にとっては尚更なのではないかと思ってしまいます。
いいんですよ、ソリューションは死後なんかになっていません。ちゃんとお客さんのビジネスの仕組みを理解した上で、仮説検証的に技術を提案をしてくるベンダーさんのソリューションなら、きっと話を聞いてくれることでしょう。でも、提案する技術自体に固執してしまうのはダメですよ。
posted by 吉澤準特 at 23:41
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