インターネットで海外のサイトを閲覧することを思い浮かべて下さい。
あなたのPCから出て行った電気信号がLANケーブルを伝わりルータ(モデム)を経由して電話回線に入り込みます。電話回線をぐるぐる回って、海辺の通信施設へたどり着き、そこから海に潜って海底ケーブルをずーーーーっと伝わって海外サーバへようやく到達する。
あなたがPCの前でマウスをクリックしてから、画面が切り替わるまで、そんな壮大なスケールで通信が行われていることを意識したことはありますか?
前振りが長かったですね。今回は海底ケーブルの話です。
海底ケーブルといえば、国同士をつなげる国際通信網。太平洋には、アメリカまで伸びるケーブルが敷かれています。これを管理しているのはKDDI、NTTコミュニケーションズ、グローバルアクセスの3社だけなので、あまり外には話は漏れてこないのですが、人づてに面白い話を聞いたので、なぜなに形式で書きます。
▼海底ケーブルって何
光ファイバを十数本まとめたものを特殊ゴムで覆ったケーブルです。1秒間にハリウッド映画4本分を同時に送ることができるくらい、非常に太い回線になります。2012年9月にパイプラインネットワーク社が発表したところでは、シドニーとグアム間に8Tb(テラビット)/sのケーブルを敷いたとのこと。1秒間に1TBのデータを送信できるなんて、すさまじいです。
海底ケーブルは水圧や接触衝撃にも耐えるように作られており、なんと、50t以上の圧力にも耐えます。自動車なら、10台以上を同時に吊るすこともできるんですよ。
▼太平洋を横断する海底ケーブルはどうやって敷いているの?
船底からケーブルを垂れ流しながら施設しているそうです。通常は海底に横たわる形で敷設していますが、マリアナ海溝(水深1万m以上)を渡るときは、流石に深海までケーブルを敷くことはできないので、海底ケーブルがプカプカ海中を漂っています。大型の魚に体当たりを喰らって、千切れてしまうケーブルもあるため、常に予備ケーブルを張り巡らせているということ。
最近では、地球温暖化の影響で北極海の氷が溶けて、ロンドンと東京を直接結ぶ海底ケーブルが敷設可能になったそうです。1.6Tb/sの回線を6本敷く予定で、2012年下半期に工事は着工することになっています。
ちなみに、太平洋の海底ケーブルを維持するには、年間1000億円以上のコストがかかっているって知ってました?
▼海底ケーブルに天敵がいるってホント?
ズバリ、最大の敵は、「漁船の地引網」だそうです。地引網は、海底にあるものを根こそぎかっさらっていくため、海底ケーブルも掬われてしまいます。このため、深海部のケーブルより沿岸部のケーブルの方が、強い強度が求められるそうです。
▼誰がケーブルを敷くの? 専門の職業があるの?
普通の社員が、ある日突然辞令を言い渡されて、銚子や伊勢志摩の通信拠点に勤めることがスタートラインです。そのうちケーブル敷設船に乗せてくれるようになり、気がつけば、ケーブル敷設の担当になってたりします。もちろん、出向扱いだった待遇も転籍になっちゃいます。
なお、世界の海底ケーブル敷設状況は下記の通りになっています。実物はリンク先のサイトで販売しているので、興味のある方はどうぞ。だいたい1万ドル(80万円)くらいです。個人で買うにはちょっと高いですね。
http://www.telegeography.com/telecom-maps/custom-map-design/index.html
(当エントリーは2005年9月6日エントリーの加筆版です)
http://it-ura.seesaa.net/article/6642881.html
posted by 吉澤準特 at 22:38
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