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2013年06月24日

インターネット上で言論統制を強化する「明るい北朝鮮」と呼ばれる国
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インターネット上で言論統制を行っている国を挙げてください、と言われたら、きっとあなたが最初に思い浮かべるのは「中国」でしょう。

グレートファイアウォールの名称で揶揄されている中国の内外を検閲するネットワーク機関を筆頭に、政権へ打撃を与えそうなコンテンツを見つければ、即座にアクセス禁止やコンテンツ自体の削除を強行するため、国民は政権批判につながる投稿やコンテンツ発信ができません。

では、これとほぼ同じようなことを2013年6月から開始した東南アジアの国がどこであるかを知っているでしょうか?

北朝鮮?いえいえ、違います。答えはなんと、世界最高峰の金融立国である「シンガポール」なのです。すでに一部のネット上では話題になっていましたが、多くの人はこの衝撃的なニュースに気付いてさえいないと思いますので、ここで紹介します。

『2013年6月1日から、シンガポールに関するニュースを報じている「オンライン上のニュースサイト」はメディア開発庁(MDA)からライセンスを取得する必要があるというものだ。シンガポールでは既に、TV局などの既存メディアは同様のライセンスを取得する必要が有るが、今回それが、ウェブメディアにも適用されることになる。

以下の条件に該当すれば、今回の規制が適用されることとなり、5万シンガポールドル(約375万円)のライセンス料を支払わなければならない。

@ シンガポールに関するニュース、時事について、2ヶ月間で、平均して1週間あたり1本以上の記事を配信していて、A 月ごとの、シンガポールからのアクセスが、5万件以上ある場合である。

また、内容面にも規制が及び、MDAの禁止基準に違反する場合には24時間以内に、当該内容を削除する必要がある。

今回の新たな規制は、ウェブ上のニュースにおいても、公益や秩序、国家的な調和を求め、シンガポールの情報を正しく伝えることを目的としている。しかし、規制対象の文言が不明確であるため、その適用範囲が広汎に及ぶ危険性が指摘されている。「ニュースサイト」の「ニュース」とはどのように定義されるのか。ブログなどを含めて、シンガポールに関する話題を記載しているあらゆるサイトが規制の対象になりかねないため問題となっている。』
(企業法務ナビより引用)
http://www.corporate-legal.jp/houmu_news1270/

まず、多くの人が、「シンガポールのメディアは当局からの要請に応じて報道内容の検閲を受け、指示があれば、24時間以内に従うことが義務付けられている」ということを知らなかったと思います。シンガポールという国は、金融政策に明るく開明的で先進的なイメージを持つ人が多いですが、実は長期政権による国家主導の言論統制を実施しており、「明るい北朝鮮」という異名を持つほどです。

その背景については、slideshare.netにてまとめスライド(2012年以前の話)が掲載されていたので、そちらから内容を一部参照します。

●なぜインターネット検閲が行われているのか?
→国民の安全を脅かす情報を制限するため
→人種差別的発言を制限するため
→宗教的調和を脅かす情報を制限するため
→猥褻なウェブサイトへのアクセスを制限するため

●検閲方法は至ってシンプル
→MDAという政府機関が国内のメディアや媒体の管理を担当
→放送法により、ISP(インターネットサービスプロバイダー)は必ず利用者すべてのhttpトラフィック(port80)についてキャッシュサーバを通過させなければならない。
→シンガポール警察はキャッシュサーバのログを自由に閲覧することが可能
http://www.slideshare.net/tsukubalinux/lt-1914656

今年6月から施行されるのは、放送法のインターネットメディアに関する拡大適用です。シンガポール政府にしてみれば、これまで取り締まりの緩かったインターネットについて、他のメディアと同じ管理レベルにしただけであるとのスタンスですが、先に引用した企業法務ナビで触れられているとおり、規制対象となるコンテンツがどこまで拡大されるか不透明であるために、さすがのシンガポール国民からも懸念の声が上がっている模様です。

裏を返すと、シンガポールのような資源が非常に限られた国では、これほどの国家による統制をしなければ、グローバルをリードするポジションを維持できないということかもしれません。報道の自由を保証している国を考えてみると、第4権力として政府を批判することに躊躇しないメディアは少なくありませんが、こういう状況だと、政府が思い切った政策を推進しづらいです。

もしシンガポールが日本と同じくらいの自由な報道を許していたら、福祉政策をばっさりそぎ落として大胆な低税率を実現することはできなかったのではないかと考えてしまいます。

シンガポールを手本として日本の経済政策を革新していきたいというような話を日本の政治家や有力な経営者から聞くことがありますが、あの経済力を支えるために、シンガポール国民は言論の自由を差し出しているということとセットで意見を聞いてみたいですね。

なお、参考ですが、インターネット上では、国境なき記者団という団体がネット検閲反対のキャンペーンを随時実施しており、その矛先となっているのが以下の国家です。

  • 中国
    ネット検閲が行われ、「防火长城」と呼ばれるファイアーウォールが設けられている。サーチエンジンでも特定の言葉の検索結果に対してフィルタリング実施。
  • ミャンマー
    個人によるウェブ接続やメール送信は認められず、検閲済みサイトで構成されたミャンマー・ワイド・ウェブなるものが設けられている。企業に一部開放しており、メールは政府による検閲を実施。
  • キューバ
    許可のないインターネットの使用は違法。許可を得られる例の大半は医師であり、医師の近隣住民が海外へのメール送信を依頼するケースでは、キューバ政府はこれを制限する。
  • チュニジア
    ポルノサイト、メールサービス、転送サービスなど数千のウェブサイトがブロックされ、FTPやP2Pの利用が禁じられている。
  • シリア
    政治的な理由から幾つかのウェブサイトの閲覧を禁止しそれらにアクセスした市民を逮捕した。
  • オーストラリア
    青少年に有害と判断される情報が発信されている場合は連邦通信・メディア行政局が是正を勧告し、従わない場合は強制的に削除。有害情報を遮断する為のフィルタリングが義務。
  • 韓国
    政府が、北朝鮮・日本の韓国支配・竹島の日本帰属に共感的と看做される様々なサイトへの接続を認めないように命令。2012年8月には親日サイトの削除や接続遮断を実施。
  • イスラム国家
    多くの国でインターネット接続は政府の管理下。「不道徳」とされるサイトのアクセスをブロックしたプロキシを経由して行われる。イスラム教と他宗教を比較するサイトもブロック対象。
  • トルコ
    政治的な理由によってYouTube等のGoogle関連サイトを含む、約3700の外部サイトへのアクセスが政府によってブロック。2013年6月、反政府抗議運動を抑え込むためにTwitterとFacebookを利用制限。
  • アラブ首長国連邦
    国内単一のプロバイダであるエティサラットを通じて強制的に検閲されポルノや政治的に微妙なものなど、UAEの道徳観に反すると思われるものはブロック。
  • シンガポール
    主要プロバイダは治安、国防、人種や宗教間の調和、公衆道徳への脅威となる材料を含むサイトを規制しブロック。警察にはオンラインの通信を傍受する強い権限あり。
  • モロッコ
    2006年3月にLiveJournalなどの多くのブログサイトへのアクセスをブロックした。
  • タイ
    管轄するDNSサーバの管理やプロキシの管理によりポルノ、薬物の使用、ギャンブルが厳禁。王室批判は不敬罪で処断。政府はネット検閲を回避する方法を論じたサイトをもブロックした。
  • ロシア
    裁判所がYouTubeに政治的な動画をアップロードしたプロバイダーからのYouTubeへのすべてのアクセスを遮断するよう命じた。
    (wikipedia ネット検閲より)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E6%A4%9C%E9%96%B2
posted by 吉澤準特 at 02:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話

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