
飼い主の皆さんは当然知っていることだと思っとりますが、僕ら犬にとって何よりも大切なライフワークは”散歩”なんです。いやいや、ライフワークなんて横文字言葉じゃ生ぬるいですね、もはや”生きがい”です。
雨が降ろうが雪が降ろうが、台風や雷に見舞われようとも関係ありません。どうして散歩をするのかと聞かれたら、「そこに道があるから」と答えてしまうほどの情熱を持っているのが、僕ら犬の宿命(さだめ)なんです。
多くの犬がしのぎを削る散歩というものは、僕ら犬にとって戦場でもあります。毎日刻々と変わるナワバリの状況を頭に叩き込みつつ、自分のナワバリをいかに効率的に広げていくかを考えながら尻尾をフリフリ歩むその姿は、まさに”マーキング戦士”であります。
しかし、僕ら犬のように立派なマーキング戦士としての自覚を、飼い主の皆さんは持っていないように思えるんですよね。だって、僕らが練りに練った戦略に基づく本日の散歩コースを、飼い主の皆さんはまったく無視するじゃないですか。
僕だって、それが飼い主さんなりのマーキング戦士としての考え抜いた末の作戦であれば文句は言いません。でも、絶対そんなことないでしょ。だって、「いつもと同じコースをまわって早く帰ろう」ってよく言っているじゃないですか。僕ら、ちゃんと聞いとりますから。
でもね、そうやって僕ら犬の意見を真っ向から退けちゃうというのはどーなんでしょうか。飼い主さんラブの我々としては、言われたことに従うのはやぶさかではないんですけど、それでも毎回意見を却下されちゃうと、だんだんイライラも募ってくるもんですよ。
僕ら犬が相手なら、せいぜい部屋の隅っこでオシッコされちゃうくらいで済みますけど、これが”会社”にいる人たちだったらどうなりますか? 本人が一生懸命やったことに対して、「その内容じゃなくて、こっちの内容に決めたから」だなんて真っ向否定をしてしまったら、その人は気持ちがげんなりしちゃいますよ。こういうことが積み重なったら、飼い主さんに対して本気で考えた提案をしてこなくなるかもしれません。
こんな困ったことにならないためには、飼い主の皆さんは何をやったらエエのでしょうか。答えは手元の本(外資系コンサルの仕事を片づける技術)にありました。169ページを覗いてみるのです。
『より良い案にするためには、真っ向から相手の意見を否定するのではなく、相手の主張を最初に認めた上で、改善点を絞り込んで示す』
(外資系コンサルの仕事を片づける技術:169ページ)
自分の意見を押し通すだけじゃ、相手を納得させることはできないんですよ。僕ら犬だって、自分の考えと逆のことを毎回強いられてたら、ストレスが溜まって脱毛しちゃいますけど、これが”会社”の中のやりとりになれば、それこそ人間関係でウツとかになっちゃう人もいるんじゃないかなぁと思うんです。
散歩の話で言うなら、せめて、最初の数分くらいは僕の考えたマーキングコースを採用してもらえるなら、途中で「いつものコースに戻ろう」と言われても、それなりの達成感を感じることはできたんです。最初からマーキングコースを拒否されるのとは全然違うんですよ。
だから、”会社”の中でのやりとりも、「あなたの提案のこの部分はすごく良いからそのまま使って、でもこっちの部分は違うやり方にした方が良くなると思う」くらいの感じでやってみたらどーでしょう。
相手に譲歩しつつも自分の意見を盛り込む。そんなクレバーなやり方を飼い主の皆さんには身につけてほしいなぁと思う次第です。なんていうか、「散歩進んで二歩下がる」的な感じですかね。えっ、意味も違うし字も違う?
ならば・・・
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