最近、グーグルがサンフランシスコで建造中のある巨大構造物が噂になっています。
その構造物は、なんと海の上に浮かんでおり、現地ではMystery Barge(謎のはしけ)と呼ばれています。コネチカット州ニューロンドンにある米海軍の基地跡地を利用して建造されていたこの構造物は、2013年10月13日、船に曳航されてメイン州ポートランド沖へプカプカと運ばれていきました。
グーグルは2007年に洋上データセンターというアイデアを特許申請していたことがありますが、それとこの構造物を紐づけて、「グーグルは洋上データセンターをついに作った」という噂が一気に広まったのがこの1ヵ月の出来事です。
(参考:洋上データセンター)
『自家発電するデータセンターで、3〜7マイル(約5〜11km)の沖合に置かれ、電力網に依存せずに稼働が可能。ラックマウントされたコンピュータは標準の運送用コンテナに収納され、トラックによる運送が可能、クレーンで船上に積まれる。電力は波力発電。さらに風力タービンを使って送水ポンプを動かしたり、河川では潮力発電を利用したりする。』
http://gigazine.net/news/20131031-google-build-mystery-barge-building/
私自身も洋上データセンター説が有力かと思っていたのですが、ここにきてグーグル幹部が以下のコメントを発表しました。
『Although it's still early days and things may change, we're exploring using the barge as an interactive space where people can learn about new technology.』
http://edition.cnn.com/2013/11/06/tech/innovation/google-barge-statement/
要するに、確定はしていないが、『新技術のショールーム』として活用する予定だということです。下記リンクにあるGIGAZINEには内部の写真がリークされていたので、そちらを見てみるとイメージが湧きます。
『この施設に入ったとする情報筋によると、建物の1階から3階までは照明に飾られたショールームになっており、また屋上にはバーのようなパーティー用デッキも完備されており招待客を楽しませることができるということ』
(海上巨大建物は「豪華ショールーム」という説が急浮上)
http://gigazine.net/news/20131102-google-barge-new-showroom/
グーグルの発表会に関係者を呼ぶのではなく、関係者が多く集まるところへグーグルが発表会場ごと移動するという逆転の発想ですね。
リアルとバーチャルの境目が曖昧になってきたと言われつつも、やはり実際に目の前で新しいものを魅せつけられるインパクトと感動はリアルが優ります。それを理解している経営者は多いですが、だからと言って、実現するために移動式の洋上ショールームを作ろうだなんて思わないでしょう。
「どうしてグーグルはショールームを洋上に建設したのか」という疑問の声をあるかと思いますが、リアルの場における感動の提供がビジネスを動かすことを痛感していたからではないか、と私は推察します。採算性という観点が強いとは思いますが、むしろ、「どうしてAmazonやOracle、ましてやAppleなどが実行に移さなかったのか」と疑問に感じるくらいのニュースだなと感じられました。
ちなみに、この洋上ショールームは大都市の港湾に寄港して利用することを想定しているのだと思いますが、もし公海上での運用が可能であるなら、VISAを気にせずに世界各国の優秀な人材を集めたプロジェクトルームを作ることもできそうですね。
posted by 吉澤準特 at 13:12
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