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2017年02月22日

1300以上あるオープンソースソフトウェアの主要SWを一覧化:OSS鳥瞰図
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IT業界は助け合いの精神で成り立ってきました。「こんな機能がほしかった」をボランティア精神で作り続けてきた人たちは数多く、中でも世界規模での助け合いを実現しているのがOSS(オープンソースソフトウェア)です。

OSSのお世話になったことがないITエンジニアはまずいないと断言できるくらい、OSSは広く一般的に使われています。しかし、世界中で様々な活動が立ち上がり、OSSの数も一気に急増しました。私が触り始めた頃はJakarta Projectが扱っていたApacheやTomcatのお世話になっていましたが、今ではあまりにも数が多く、OSSで提供されている機能にどんなものがあるのか端的に把握することが難しい状況です。

この状況を改善するため、日本OSS推進フォーラムとインプレス社が協力して『OSS鳥瞰図』という全体マップを公開しています。2017年2月時点の最新版は『2017α版』です。

20170221_OSSmap
http://it.impressbm.co.jp/mwimgs/a/7/-/img_a721eb66cc8331bf3e5bac9e264a2a70311958.jpg
『IT Leaders OSS鳥瞰図2017年版』より

(1)クラウド関連
(2)運用管理関連
(3)アプリケーション関連
(4)WebAP/DBおよび開発支援
(5)セキュリティ
(6)ビッグデータ関連
(7)ディジタルトランスフォーメーション

という7つの領域に分けて一覧化されているので、感覚的に把握しやすいのが助かります。

ちなみに、上記で整理されたOSS以外にもまだまだたくさんのプロダクトが存在します。私が知る限り、2016年12月時点で1343のソフトウェアが各プロジェクトに分かれて開発されています。以下のサイトですべて紹介されているのですが、数が膨大なので、分類されているカテゴリーだけを引用します。

『Open Source Software List: The Ultimate List』
http://www.datamation.com/open-source/open-source-software-list-ultimate-list-1.html

Accessibility
Accounting
App Collection
Anti-Spam/Email Filtering
Anti-Virus/Anti-Malware
Artificial Intelligence
Astronomy
Audio Tools
Backup
Big Data Tools
Billing
Bitcoin
Blogging
Browsers
Bugtrackers
Business Intelligence (BI)
Business Process Management (BPM)
CAD
Charts
Chemistry
Cinema Camera
Classroom Management
Cloud Infrastructure
Cloud Storage
Collaboration/Groupware
Compression
Containerization
Content Management and Wikis
Customer Relationship Management (CRM)
Databases
Data Destruction
Data Integration
Data Loss Prevention
Data Mining
Data Visualization
De-duplication
Desktop Enhancements
Desktop Publishing
Developer Tools
Diet/Exercise/Fitness
Disaster Preparedness
Document Management Systems (DMS)
Ecommerce
Educational Testing
Electronic Health Records (EHR)
Elementary Education
E-mail
E-mail Marketing
Encryption
Enterprise Resource Planning (ERP)
Family Tracing and Reunification
Feed Reader
File Managers
File Sharing
File Transfer
Flashcards
Foreign Language Instruction
Forensics
Games
Gateway Security Appliance
Genealogy
Geography/Mapping
GPU
Graphics Editors/Animation Tools
Healthcare Integration Engine
Hospital Information System
Human Resource Management (HRM)
Humanitarian Efforts
Internet of Things (IoT)
Interior Design
IT Inventory Management
Jewelry
Job Scheduler
Laboratory Information Management System (LIMS)
Library
Log File Monitoring and Analysis
Logic/Debate
Machine Learning
Mail Servers
Marketing
Math
Medical Imaging
Microfinance
Middleware
Mind Mapper
Mobility Tools
Modeling
Multimedia Tools
Multiple Function Security Solutions
Music Education
Network/System Firewalls
Network Management
Network Monitoring/Scanning/Intrusion Detection
Office Productivity
Online education/eLearning
OpenCourseWare
Operating Systems and Kernel Modifications
Password Crackers
Password Management
PDF Tools
Personal Financial Management
Photo Albums and Tools
Physics
Poetry
Point-of-Sale (POS)
Privacy Protection
Programming Languages
Project Management
RAID Controllers
Religion
Remote Access/VPN
Recipe Management
Report Authoring
Robotics
School Administration
Science
Screenplay Writing
Small Business Server
Social Networking
Software-Defined Networking (SDN)
Speech
Storage
Systems Administration Tools
Text Editors
Time Tracking
To-Do Lists/Schedulers/Calendars
Transit
Typeface
Typing
Utilities
User Authentication
Version Control
Video Tools
Virtualization
Vulnerability Assessment
Web Filtering
Website Editors
Web Servers

すごい数ですよね。たとえば、Apacheなら「Web Servers」のカテゴリに、MySQLは「Databases」にちゃんと含まれています。

変わりどころだと、「Jewelry」というカテゴリーで”iNecklace”というオープンソースハードウェアも扱っているんですよね。GitHubでソースコードが公開されていますし、それを使った製品が実際にAmazonでも購入できました。

『ソースコード』
https://github.com/adafruit/iNecklace
『販売サイト』
https://www.amazon.co.jp/dp/B00M17Z410

OSSの一覧はじっくり眺めるといろいろと発見があります。ITエンジニアの方はすべてのソフトウェアをチェックしてみることをお勧めします。

posted by 吉澤準特 at 05:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2014年09月21日

書評「戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!」
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先日、100円コーラの著者である永井さんが執筆された『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』を手にする機会があったのですが、面白くてこの週末に一気に読み終えてしまいました。このブログを見ている方々にも参考になると思いますので紹介します。

この本の魅力は2つあります。1つは「コーヒー業界の縮図をこれ1冊でだいたい把握できる」こと、もう1つは「価値提供(バリュープロポジション)の作り方を知る」ことです。

コーヒーをとりまくビジネスはセブンカフェのヒットで最近よく目にするようになりましたが、遡れば1980年のドトールコーヒーに至ることをこの本で知りました。当時は1杯400円が当たり前の喫茶店コーヒーをなんとか安く提供したいという想いから生まれた200円以下のリーズナブルなコーヒー。これが日本にコーヒー文化を大きく広める一因だったというのは興味深い話です。

いつでもどこでも飲めるコーヒーを作りたいという強い気持ちから世界で初めて缶コーヒーを作った1960年代の上島珈琲の話も面白いですね。このころの日本は、高度経済成長を背景に、色々な新しいものが生まれた頃でもありました。こういう発想の転換と地道な努力に関するエピソードはこの時期に多いですね。

時代は流れて、スターバックスの台頭から新しいカフェ文化が一般的に広まってきました。一時低迷を何度か経験した同社が復活を遂げた背景もこの本では述べられており、スターバックスがほとんどCMを流していないのに売上を拡大している仕組みにも改めて感心しました。

その他、コーヒー業界のアップルと呼ばれるブルーボトルの大元が日本の喫茶店文化であったことやマクドナルドのプレミアムローストに対する考え方など、今までに見逃していた面白い話も含まれており、コーヒー業界の今を知る良書になっています。

価値提供の組み立て方については、中核・実体・付随機能の3要素で提案を考える方法が解説されており、顧客が本当に欲しがっているものとそれを実現するために必要なものを整理することが重要であることが分かります。各要素が実際に組みあがっていく様子をドリームコーヒーというストーリーから読み取れるこの本の構成も素晴らしいですね。

100円コーラが面白かったと思った人はもちろん、コーヒー業界の様子を大まかにつかみたい方や面白いビジネス小説を読みたい人にもオススメです。

posted by 吉澤準特 at 13:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2014年02月10日

世界の6人に1人が8時間利用するFacebookの驚異
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Facebook(フェイスブック)といえば、今や世界最大のソーシャルネットワーキングサービスであり、アクセス数はGoogleをも凌ぐという超巨大サイトです。そのフェイスブック、2014年の2月に開設10年目を迎えました。これを記念して、CNNでその足跡と数々のワールドレコードを公開していたので、それを紹介します。

(By the numbers: 10 years of Facebook)
http://edition.cnn.com/2014/02/03/tech/social-media/facebook-graphic/index.html
※統計情報は2013年6月あたりのものだと思われます
14年2月時点であれば、以下に示す数字を1.2倍くらいした方がいいかも


【ユーザ数】
知っていましたか? いまやフェイスブックは世界の6人に1人が利用しているのです。月間アクティブユーザー数(一ヶ月あたりに1度以上アクセスしたユーザー数)は、なんと12.3億人。日本の総人口のおよそ10倍です。

内訳は次の通り。

・北米 :2.0億人
・欧州 :2.8億人
・アジア:3.7億人
・その他:3.8億人

そして、国別で見るとベスト10はこのようになります。

1位:1.58億人 アメリカ (人口:3.1億人)
2位:0.72億人 ブラジル (人口:1.9億人)
3位:0.64億人 インド (人口:12.4億人)
4位:0.48億人 インドネシア (人口:2.5億人)
5位:0.43億人 メキシコ (人口:1.2億人)
6位:0.33億人 トルコ (人口:0.7億人)
7位:0.32億人 イギリス (人口:0.6億人)
8位:0.30億人 フィリピン (人口:1.0億人)
9位:0.25億人 フランス (人口:0.7億人)
10位:0.25億人 ドイツ (人口:0.8億人)
----------------------------------------------
14位:0.21億人 日本 (人口:1.2億人)

もちろん利用者数が最大だったのはアメリカ合衆国ですが、驚きだったのは、ブラジルでのフェイスブックの利用者が多いことでした。そして、同じくらい驚いたのは、人口7000万人前後のトルコでフェイスブックの利用者が3300万人を超えていたことです。利用率は47%であり、米国の51%に次いでいます。

※利用率だけなら、1位はブルネイ(70%)、2位は台湾(64%)

なお、日本は利用者数が昨年8月時点で2200万人を超えましたが、世界ランキングでは14位の位置にあります。フェイスブック後発国と言われていますが、思ったより利用者が多いですね。


【利用時間】
これらのユーザーがいったいどれだけの時間をフェイスブックに費やしているのでしょうか。実は月当たり7.75時間です。1日あたり15分ということで、これは実感できるレベルですね。

アクティブユーザー数に関連しますが、毎日フェイスブックにアクセスしている人は、なんと全体の6割にも及ぶそうですよ。これは7億人以上にのぼると思われます。これだけの人が1日15分フェイスブックにアクセスしていると考えると、フェイスブックというのは大変な広告価値を秘めた媒体だということが分かります。

実際、フェイスブックは広告宣伝モデルをベースとしたマネタイズを図っており、1ユーザーから平均2.1ドルの収益を得ている計算になるそうです。北米ユーザーに限れば、平均6ドルにまで跳ね上がります。


【いいね!数】
フェイスブックがこれほど人気を博したのは、各人のエントリーに対して友達が「いいね!」(英語圏だとLike!)と簡単に意思表示できるところにあったのではないでしょうか。この点についても実に興味深い数字がCNNで示されています。

まず、1日あたりの総いいね!数。

フェイスブック全体で1日あたり押されているいいね!数をカウントしたところ、平均で60億回のいいね!が押されていたそうです。さきほど、月当たりのアクティブユーザーが約12億人、このうち毎日アクセスする人は6割いるとの情報を示しましたが、この数字を使って総いいね!数を割ってみるとどうなるでしょう。

答えは、1ユーザーあたり毎日8回のいいね!押下となります。

60億回という数字を見た時にはその膨大さに驚きましたが、これも肌感覚として「近い」と感じることができるレベルではないでしょうか。

ちなみに今までで最も多くのいいね!を集めたのは、オバマ大統領が2012年に再選した際、妻と抱き合っているシーンを写した写真でした。その数、なんと440万いいね!


他にもフェイスブック10年の足跡やトリビアがCNNの元記事には掲載されています。気になった人はぜひ参照してみてください。全編英語ですが、非常に単純な記事なので一目でわかります。

posted by 吉澤準特 at 02:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2014年01月13日

日本語で言ってくれればわかるのに・・・と思うカタカナ語ランキング
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先週、gooランキングで「日本語で言ってくれればわかるのに・・・と思うカタカナ語ランキング」というものが公開されました。有効回答数はおよそ1000名。本家サイトからサマリ(これもカタカナですね、17位にランクイン)しておきます。

1位 アジェンダ :実施すべき計画、協議事項、議事日程
2位 オーソライズ :公認
3位 オルタナティブ :代替、二者択一
4位 エビデンス :証拠
5位 バジェット :予算
6位 パラダイム :考え方、規範
7位 マイルストーン :各作業工程の節目、里程標、画期的な出来事
8位 スキーム :枠組みを伴った計画
9位 バッファ :余裕、緩衝材
10位 コンテクスト :文脈
11位 ガバナンス :統治
12位 インセンティブ :〔人の行動を〕駆り立てるもの、やる気を起こさせるもの
13位 コンセンサス :合意
14位 ペンディング :保留、未解決の
15位 イニシアチブ :主導権
16位 ドラスティック :過激、徹底的
17位 サマリー :要約
18位 ギミック :仕掛け、特殊効果
19位 アグリー :同意、賛同
20位 コミット/コミットメント :約束する、関与、委任、公約
21位 ベネフィット :利益、便益
22位 カンファレンス :会議
23位 プライオリティー :優先度、優先順位
24位 マジョリティー :多数派
25位 ブラッシュアップ :磨き上げる
26位 ファクト :事実
26位 フィーチャー :特集、特徴づける
28位 クリティカル :重大な、危機的/批判的
29位 リソース :資源、財源、供給源
30位 セクター :部門
30位 レジュメ :要旨、要約資料/履歴書
32位 コンプライアンス :法令遵守
33位 ウォレット :財布
34位 デフォルト :債務不履行、初期設定
35位 アラート :警告、警告する、警報
36位 ロジック :論理
37位 ルーチン/ルーチンワーク :日常業務、決まりきった手順
38位 マイノリティー :少数派
39位 ネグレクト :無視、育児放棄
40位 レスポンス :反応
41位 アグレッシブ :積極的、攻撃的
42位 コンスタント :一定
43位 バイタリティー :活力
44位 ポテンシャル :潜在能力
45位 マニフェスト :公約、政策宣言

日本語で言ってくれれば意味がわかるのに・・・と思うカタカナ語ランキング抜粋
(http://ranking.goo.ne.jp/ranking/014/qruwAN7dYrde/)

posted by 吉澤準特 at 14:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2013年06月10日

自分では頑張っているつもりなのに、周りからの評価が低い新人/ベテラン社員
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自分では頑張っているつもりなのに、周りからの評価が低い人がいます。

よくあるケースなのは、当人が「良かれ」と思ってやっていることが、相手にとっては「ピントのずれた」期待と異なる行動であったというもの。この場合の「期待と異なる」という表現は、相手が抱いていた期待を下回っているという意味です。当然ながら、相手からはネガティブな評価をもらってしまいます

こうした残念な行動は、新人社員であるほど傾向が高まりますが、社会人歴10年を超えるベテラン社員であっても少なからずいるものです。たとえば、以下はその典型例です。

新人社員:Xさん
「昨日、先輩に頼まれた資料は・・・よし、このファイルを印刷して一通り揃ったぞ。あとはクリップで束ねて、と」

先輩
「おーい、Xさん。頼んでおいた資料、見つかった?」

新人社員:Xさん
「はい、これでいいんですよね。ファイルサーバ内に点在していたので、集めるのに苦労しましたよ」

先輩
「そうか、それは手間をかけたね。わざわざ全部プリントアウトしてくれたんだ。見やすくて助かるよ。」

新人社員:Xさん
「お役にたてて何よりです」

先輩
「じゃあ、電子ファイルのありかを教えてくれるかな。報告書用に加工したいんだけど、大量にあるから、メールじゃ受け取れないしな」

新人社員:Xさん
「そうです、かなりのファイル量です。だから印刷して渡したんですよ。でも手元に保存してないので・・・」

先輩
「あ、そう・・・仕方ないな、もう一度集めてね」

新人社員のXさんは先輩からの指示を忠実に守り、頼まれた大量の資料を集めました。それに、読みやすいように、電子ファイルの資料を印刷して、クリップで束ねておくという気配りもみせたつもりでした。

ですが、先輩は、報告用に加工するためのインプットとして電子ファイルを受け取りたかったのです。ボリュームが多いなら、ファイルサーバに受け渡し用のフォルダを作成して、そこにファイルを格納しておく、くらいのことはしてほしかったと考えていました。

これでは先輩からXさんへの評価が高くなるわけがありません。Xさんの努力は報われないというわけです。

一方で、社会人歴10年を超えるベテラン社員にもこうした類の話はあります。

ベテラン社員のZさん
「昨日お願いした課題分析の報告書、どんな感じかな」

部下
「ええっと、まだ作業に入って間もないので、課題の分類をしているところです」

ベテラン社員のZさん
「そうか、それで課題はどうやって分類するつもりなの?」

部下
「業務単位で区切った方がわかりやすいと考え、その単位で分類を進めています」

ベテラン社員のZさん
「ふーん、私ならシステム単位に整理するけどな」

部下
「えっ、その方がいいですか?じゃあ、そうします」

ベテラン社員のZさん
「それがいいよ。それから報告書の構成は、業務フローに沿って順番に説明する形の方がいいと思うよ」

部下
「わかりました、そのようにします」

ベテラン社員のZさん
「そうだ、システムの概要説明も用意したほうがいいね。あと、課題の書き方は・・・」

部下
「・・・・・・(任された仕事のはずなのに、細かく指図されたら萎えるよ。だったら最初から自分でやればいいのに!)」

ベテラン社員のZさんは部下の報告書作成状況を早めに確認し、部下のやり方に対する改善点を指摘しました。経験ある自分の立場から見て、やった方が良いと思われることは全てフィードバックしたので、部下の仕事に貢献できたと自信満々です。

しかし、部下にとっては、自分のやり方をことごとく遮ってくる、小うるさい上司に映ります。もう少し自分で考えて作業を進めてから、レビューしてほしかったと思っていますし、細部にまでやり方を指示するのではなく、自身のやり方を尊重したアドバイスがほしかったと不満を抱きます。

こうした「頑張っているけど評価されない、報われない人」の存在を許す懐の広い企業は日本国内にたくさんあります。しかし、組織の本音は、「報われない人材ではなく、成長して人財となってほしい」です。

私の所属する外資系のコンサルティングファームでは、報われない人であり続けることは許されません。だからこそ、報われるための仕事のやり方を、研修・OJTを通して、徹底して教え込まれます。

この環境で得られた仕事術のノウハウは、世間一般のビジネスパーソンにとってもきっと有益であると思っています。それは、「外資系コンサルの仕事を片づける技術」(ダイヤモンド社:全256ページ)でまとめています。さらに詳しい内容は、特別抜粋版レポート(全30ページ)として、下記リンク先にて無料配布中です。

▽「外資系コンサルの仕事を片づける技術」特別抜粋版
https://it-ura.up.seesaa.net/item/report_request_it-ura-011.htm

報われない人材から脱するためのスキルとはどのようなものなのか、実際にその目で確かめてみてください。きっと得るものがあると思います。

書籍は2013年6月14日に発売されます。購入してくださる方は、是非私のTwitterアカウント(@juntoku_y)をフォローしてみて下さい。購入者への期間限定プレゼントとして、ページ数の都合で掲載できなかった20ページ超の未公開原稿を特別編集したものを提供致します。

posted by 吉澤準特 at 13:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2013年06月01日

2ch名無しさんアレンジ、ベスト100 (「しいたけお」(きのこ板)も入っているよ)
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2chの598板にある「名無しさん」の称号を比較したまとめサイトのエントリーが資料価値が高かったので、ランキングだけ抜粋。このランキングが、個人の主観に基づく「うまい名づけ方したな」という評価とのこと。
http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3803456.html

個人的には、第20位の『名刺は切らしておりまして』(ビジネスnews+)というのが秀逸。 特別賞の『しいたけお』(きのこ板)は、もはや語呂だけで、名無しの要素がどこにも残っていないのが、逆に面白いです。

第100位
ななし製作委員会(アニメ新作情報)
第99位
名無しさんが転んだ!(公園スポーツ)
第98位
(名前は掃除されました)(掃除全般)
第97位
192.168.0.774(インターネット)
第96位
クリックで救われる名無しさんがいる(Web収入)
第95位
名無しさんに接続中…(プロバイダー)
第94位
DNS未登録さん(自宅サーバ)
第93位
●~*(旧・mac)
第92位
なんてったって名無しさん(懐かし芸能人)
第91位
作者の都合により名無しです(少年漫画)

------------(ここから90位)---------------
第90位
重要無名文化財(伝統芸能)
第89位
なまえないよぉ〜(萌えニュース+)
第88位
名無しさんといっしょ(NHK)
第87位
人間七七四年(戦国時代)
第86位
名無しでGO!(鉄道総合)
第85位
名無しさん@京都板じゃないよ(神社・仏閣)
第84位
農NAME(農学)
第83位
バカは氏んでも名乗らない(バカニュース)
第82位
傍聴席@名無しさんでいっぱい(裁判・司法)
第81位
困った時の名無しさん(レシピ)

------------(ここから80位)---------------
第80位
一般に公正妥当と認められた名無しさん(会計全般試験)
第79位
通常の名無しさんの3倍(旧シャア専用/新シャア専用)
第78位
_ねん_くみ なまえ_____(文房具)
第77位
備えあれば憂い名無し(防犯・詐欺対策)
第76位
日本昔名無し(昔)
第75位
一名でお待ちの名無し様(ファミレス)
第74位
足元見られる名無しさん(靴)
第73位
名無し→しりとり(しりとり)
第72位
名無しさんダーバード(自然災害)
第71位
やめられない名無しさん(B級グルメ)

------------(ここから70位)---------------
第70位
見ろ!名無しがゴミのようだ!(アニメ映画)
第69位
〒□□□-□□□□(郵便・郵政)
第68位
当方名無し、全パート募集中(バンド)
第67位
名無しさんの次レスにご期待下さい(週刊少年漫画)
第66位
無名武将@お腹せっぷく(三国志・戦国)
第65位
法の下の名無し(法学)
第64位
名前書いたら負けかなと思っている。(ニー速)
第63位
地震雷火事名無し(緊急自然災害)
第62位
すてきななまえをつけてね。(マスコットキャラ)
第61位
ななしの珍味(珍味)

------------(ここから60位)---------------
第60位
名前は開発中のものです。(ゲ制作技術)
第59位
既にその名前は使われています(ネトゲ実況)
第58位
ジョン・スミス(文芸キャラ)
第57位
俺より強い名無しに会いにいく(格闘ゲーム)
第56位
まちがって名前消しちゃいました。(PCサロン)
第55位
NAME BOY(携帯ゲーレトロ)
第54位
名前は誰も知らない(孤独な男性)
第53位
川の名無しのように(河川・ダム等)
第52位
うさぎ追いし名無しさん(ふるさと納税)
第51位
名無しQ(・∀・)ノ゜サァン!!(卓球)

------------(ここから50位)---------------
第50位
スペースNo.な-74(同人ノウハウ)
第49位
なまえをいれてください(家庭用ゲーム)
第48位
名無しの車窓から(鉄道(海外))
第47位
さあ名無しさん、ここは守りたい(サッカーch)
第46位
maji(dejima)
第45位
□7×7=4□□(パズル)
第44位
名無しの与一(的スポーツ)
第43位
nanasissimo(音楽系学校)
第42位
つまらないものですが名無しです(土産物・特産物)
第41位
名乗リマセン勝ツマデハ(戦時)

------------(ここから40位)---------------
第40位
名無氏物語(古文・漢文)
第39位
天之御名無主(民族・神話学)
第38位
無銘菓さん(お菓子)
第37位
3枚セットで774円(下着)
第36位
pH7.74(アクアリウム)
第35位
すぐ名無し、すごく名無し(インスタント麺)
第34位
今、天王星のwiki見てきたら軌道傾斜角(i) が0.774°だった(なんでも実況U)
第33位
名無しさん 〜君の性差〜(男性論・女性論)
第32位
もしもし、わたし名無しよ(お人形)
第31位
Now_loading...774KB(FLASH)

------------(ここから30位)---------------
第30位
名無しさん脚(カメラ)
第29位
名前書くのももったいない(ドケチ)
第28位
今日のところは名無しで(その日暮らし)
第27位
日出づる処の名無し(ニュース極東)
第26位
いやあ名無しってほんとにいいもんですね(シベリア超速報)
第25位
FROM名無しさan(アルバイト)
第24位
三連単7−4−3(ギャンブル)
第23位
名無しなのに合格(大学受験サロン)
第22位
名無し獣@リアルに歩行(ゾイド)
第21位
ナイコンさん(昔のPC)

------------(ここから20位)---------------
第20位
名刺は切らしておりまして(ビジネスnews+)
第19位
名前アレルギー(アレルギー)
第18位
詠み人知らず(五七五・短歌)
第17位
名無しが急に来たので(ワールドカップ)
第16位
不明なデバイスさん(ハードウェア)
第15位
十二人の怒れる名無しさん(裁判員制度)
第14位
名前はいらない(詩・ポエム)
第13位
さく・え/ななし(絵本)
第12位
名乗る程の者ではござらん(時代劇)
第11位
鏡の向こうの名無しさん(左利き)

--------(ここからベスト10)---------------
第10位
名前がふっとんだ(駄洒落)
第9位
男です女です名無しです(演歌)
第8位
少年法により名無し(少年犯罪)
第7位
無記無記名(ウエイトトレ)
第6位
せがた七四郎(レトロ32bit以上)
第5位
132人目の素数さん(数学)
第4位
|男|名無し湯|女|(お風呂・銭湯)

--------(ここからベスト3)---------------
第3位
本当にあった怖い名無し(オカルト)

第2位
「□□□□(ネーム無し)」(4コマ漫画)

第1位
名無す(方言)

【特別賞】
--------------------
●可愛いで賞
はふはふ名無しさん(たこ焼き等)
名前なカッター(ノ∀`)(刃物)
--------------------
●無理矢理すぎるで賞
NASAしさん(航空・船舶)
--------------------
●ミステリアスで賞
しいたけお(きのこ)

posted by 吉澤準特 at 16:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2012年09月19日

独当局「IEは使わないでください」MS「セキュリティパッチ作りました」独当局「だが断る!」
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マイクロソフト社のブラウザ「Internet Explorer」にセキュリティ上の重大な欠陥が見つかったとして、独当局はIEの使用停止、他社ブラウザの利用を推奨する声明を2012年9月18日に発表しました。

『米マイクロソフト(MS)の閲覧ソフト「インターネット・エクスプローラー(IE)」について、ドイツ連邦情報技術安全局は(2012年9月)18日までに、個人情報を盗む新種のウイルスへの対策に重大な欠陥があるとして、利用者に対し、他社のソフトを当面使用するよう求める声明を発表した。

ロイター通信によると、IEは世界で数億人が使用しており、セキュリティー上の欠陥は先週末にかけて表面化した。MSは対策ソフトの無料配布を始めたが、抜本的な解決策はまだ見つかっていないという。

MSによると、IEを使って悪意のあるウェブサイトに接続した場合、強力なウイルスに感染、ハッカーに侵入される恐れがあるという。(後略)』
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK19005_Z10C12A9000000/

MSの対応が不十分だとするドイツ当局の強気な対応は頼もしくもありますが、実は同じようなやりとりが2年半前にもあったのを覚えているでしょうか。

『Microsoftは米国時間(2010年)1月14日、IEの脆弱性が、Googleのインフラに対するサイバー攻撃に利用されたことを認めた。この攻撃は、中国の人権活動家の「Gmail」アカウントにアクセスを試みたもので、ほかにも同じ脆弱性が複数の米国企業への攻撃に用いられたという。

(中略)

ドイツ連邦電子情報保安局(BSI)は現地時間15日、「緊急」レベルのこの問題にMicrosoftが対処するまで、ユーザーは他のブラウザに切り替えるべきだとの見解を示した。また、Microsoftが提示している回避策を当てにしないよう勧告している。

(中略)

一方、フランスの政府機関CERTAも現地時間15日、Microsoftが修正プログラムを公開するまでIEの使用を控えるよう、国民に警告を発した。』
http://japan.cnet.com/news/sec/20406902/

このときはドイツだけではなく、フランスの当局もIEの使用停止を推奨する声明を出しており、基本的にヨーロッパの中でこの2国はセキュリティを厳しくチェックする人たちが目を光らせていることが分かるかと思います。「マイクロソフトが提示している回避策をあてにしないように」だなんてすごい発言ですよね。

一昔前は、企業内に設置されたクライアントPCにはIEしか入っていないことがよくありました。

社内アプリケーションが複数ブラウザ対応を面倒臭がって、デフォルトブラウザであるIEしかターゲットとしていなかったというアホな理由が大部分だったりもしましたが、ユーザが情シス担当者の言うことを聞かずにFireFoxを勝手にインストールしたり、iPhoneを筆頭とするスマホ勢力が経営者層にも浸透し始め、「俺のiPhoneでこのアプリ使えるようにしろよ」みたいな半ば脅迫に近い形でBYOD(Bring Your Own Device)の考え方が広がったこともあって、徐々に複数のブラウザ環境を許容するような雰囲気になりつつあります。

IEが狙われやすいのはずいぶん前から分かっている話です。費用を抑制するために、未だにIEしか認めていないという情報システム部門もありますが、ここらで社内標準ブラウザはIEとFireFoxの2枚看板とか、Chromeにも対応しちゃうとか、多様性を持った環境を標準とする考え方をクライアント端末環境のベースラインとしたですね。

まあ、標準的な挙動を示してくれるブラウザなら、何でもいいというのがユーザの本音なんですけど。

posted by 吉澤準特 at 08:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2012年09月16日

データ送信の速度の差は「1千分の数秒」遅れて罰金4億円
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世界の証券市場で千分の一秒以下という高速なアルゴリズム取引が主流であることは、以前のエントリーでも触れてきました。

「たった45分間で340億円の損失、高速自動売買システムの恐怖 」
http://it-ura.seesaa.net/article/285534033.html

グレーゾーンの多い証券業界ですが、以下は、同じ契約でありながら秘密裏に一部顧客を優遇したために受けたペナルティのようです。

『米証券取引委員会(SEC)は14日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)が市場の売買情報を一部顧客に優先的に送信した問題で、同証取を運営するNYSEユーロネクストが500万ドル(約3億9千万円)の罰金を支払うことで和解したと発表した。SECによるとデータ送信の速度の差は「1千分の数秒」のレベルだったという。

SECの発表では、米国の証券取引所がSECに罰金を支払うのは初めて。2008〜10年にかけて、注文情報などの売買にかんする情報が、一般向けシステムよりも速く特定の顧客だけにNYSE側から伝えられていた。

米国ではコンピューターによる高速取引が急速に普及。1千分の1秒の単位で売買され、少しでも売買情報を速く得られれば、より高い投資効果が得られるとも言われる。NYSE側は、罰金の支払いに応じたが、「技術的な問題で、意図的な犯罪行為ではなかった」との声明を出した。』
http://www.asahi.com/business/update/0915/TKY201209150153.html

簡単に説明すると、これはアービトラージ(裁定取引)というサヤ取りのことです。Wikipediaにはこのように説明されています。

『日本などの水資源が豊富な地域では水は希少性が乏しいため、極めて安価である。しかし、この水を砂漠のような水の希少性が高い地域に運んでいけば、高値で売ることができる。金融の世界でも同様な取引があり、金利の低いところで金を借り、金利の高いところで貸し出せば、元手が少なくても多額の利益を手にすることが出来る(レバレッジ)。』

先の記事の最後にあった「技術的な問題」という発言は、ネットワーク接続の相性でどうしてもスペック通りの性能がでないということだと思いますが、SECがそんなアホなところを問題視するかといわれると、疑問に思えるので、やはり意図的に差が出るようなシステム構成にしたのではないかと思われます。

もし、本当に意図しないところで速度差が出ていたとして、それにこのようなペナルティが課されてしあうのであれば、東証を含む、金融先進国の証券取引所は皆訴えられてしまうのではないでしょうか。

続報が気になります。

posted by 吉澤準特 at 08:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2011年09月21日

Windows 7移行で考えなければいけないブラウザ問題
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「会社でWindows XPを使っている人、手を挙げてください」

企業のIT部門が100人以上参加するIT系セミナーでこのような問いかけをしたところ、参加者の1/3が手を挙げていました。まだまだ現役で使われ続けているWindows XPですが、企業ユースのProfessional Editionの延長サポートが2014年4月で終わってしまうのは、クライアントPCの管理に関わったことのある方なら周知の事実です。

延長サポートが切れると何が問題なのかといえば、「セキュリティパッチのリリースが停止される」という一言に尽きます。

あなたの目の前にクリーンインストールされた初期型のWindows XPマシンがあったとして、インターネットに接続して丸1日も放っておけば、トロイの木馬をはじめとする数々のウイルスに見事に感染することができ、ネットワーク内の情報(機密情報含む)を垂れ流すゾンビPCが出来上がります。これと同じ状況に将来陥ると考えれば、事の重大さが分かって頂けるでしょうか。

2011年9月現在から計算すると、あと2年半も時間が残されているように思えますが、2011年3月にIE9(Internet Explorer9)がリリースされており、これとWindowsの移行を同時に実行しようとすると、かなりシビアな検証スケジュールを考えなければなりません。

これについて先日、Gartnerから、WindowsOSとブラウザのマイグレーション(移行)に関する使えるレポートが発表されました。クライアントPCのバージョンアップ計画に携わっている人にはとても参考になるレポートなので、紹介します。


以下、抜粋。
http://www.gartner.co.jp/b3i/research/110920_inf/

『IE9は、Microsoftのブラウザにおいて大幅な更新に相当する。しかし、Windows 7の導入を計画中の企業は、Windows 7の初期イメージにIE9を含めるために、ブラウザの再テストと再修正を理由として、Windows 7の導入を先送りすべきではない。2012年にWindows 7を導入予定の企業は、SP1とIE9の両方を含めるべきである。IE9は旧バージョンから大きく改善されているが、企業は複数のブラウザを採用する戦略を取るべきである。』

【IE9はアップグレードに値するか】
IE9にはアップグレードする価値がある。IE9は、これまでMicrosoftがリリースしてきたブラウザの中で、標準に対する準拠性が最も高くなっている。IE9は、Google Chrome、Apple Safari、Mozilla Firefox、Operaに肩を並べる優れたブラウザである。ただし、企業は「単一ブラウザによる標準化は避けるべきである。

【社内開発したアプリケーションをIE9でテスト/修正する必要があるか】
基幹アプリケーションの場合、アプリケーションが実際にIE9で動作するか否かよりも、ベンダーがサポートするかどうかの方が重要になり得る。アップグレードを進める前に、ベンダーへの照会を行い、少なくとも汎用性と重要性が最も高いブラウザ・アプリケーションはテストすべきである。

【Windows 7ではIE8とIE9のどちらを導入すべきか】
・Windows 7/IE8のテストが進捗している企業には、IE9を組み込むために導入を遅らせることを推奨しない。
・2012年までWindows 7の導入計画を立てていない企業は、Windows 7の導入プロジェクトにIE9の追加を検討する価値がある。
・Windows Vistaを使用している企業がWindows 7への移行を計画する場合は、その移行時にIE9の導入を検討するとよい。

【IE9はWindows 8に含まれるか、IE9へのアップグレードの検討を先送りすべきか】
多くの企業がWindows 7の導入で疲弊することを考慮すると、企業の採用に関しては疑問視せざるを得ない。大半の企業は、IE9の導入をWindows 8の導入まで待つべきではない。


IE9は名実ともにマイクロソフトがリリースした最高品質の標準準拠ブラウザであり、これを採用しない理由はない、ということが述べられていますが、同時に、Windows7対応で多くの企業が疲弊することが予測されるため、次のWindows8がリリースされるまで待ち続けたとしても、企業にとっては苦労の割に実が少ないかもしれないとも言っています。

結論を先送りしがちな組織の方、このレポートで組織のマネジメントへ一考を促すのもよいのではないでしょうか。

posted by 吉澤準特 at 12:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2011年08月28日

誰でも分かるRFPの基本:18項目で網羅的に作成
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情報システム部の存在意義は、ITサービスを通したユーザ利便性の向上にあります。ITサービスとは単一、もしくは複数のシステムによって提供されるものですから、新しいシステムを企画立案して運用に漕ぎつけるまでの流れは、情報システム部の主たる業務と言えるでしょう。

新しいシステムを構築するためには、企画段階で得た構想を要件レベルに具体化し、システム設計者に引き渡します。企画をした人間が設計・構築・テスト・リリースまで担当できるにこしたことはないのですが、上流工程を担当する人間はスキルセット上、高コスト(月単価150万円以上)であることがほとんどですし、そもそも社内でシステム実装スキルを有する人間を必要数確保できないという根本的な課題もあって、要件定義フェーズ以前と設計フェーズ以降では担当者が異なることが多いのが実情です。

そこで要件定義フェーズで整理したことを正確に設計フェーズにつなげるために用いられるのが RFP(Request For Proposal 提案要求書)です。RFPをうまく作成できるかどうかで、そのシステムの命運が決まると言っても過言ではありません。なぜなら、システムの実装内容だけでなく、自社とベンダーの責任関係を決めるインプットになる文書であり、RFPで書かれた内容に従ってベンダーは提案書と契約書を作成するからです。曖昧な表現や適切性に欠ける責任関係を記してしまえば、そのまま契約内容に跳ね返ってきます。

今回は「適切なRFPの作り方」というテーマで、「委託内容」と「契約スキーム」の2つに分けてRFPに必要とされる項目の記入方法を紹介します。あなたの会社にもRFPのひな形があるかもしれませんが、その内容が本当に妥当であるか、一度検証してみることをおすすめします。もし、足りない項目や考慮不足があるようでしたら、次の RFP作成までに修正しておきましょう。

ちなみに、RFPで示す各項目の内容は要件定義フェーズで全て決めている必要があります。RFPの項目をしっかり定義できていれば、それを記入するために必要な情報も明らかになります。つまり、要件定義フェーズで決めるべきことも自ずと決まってくるということです。

RFPで最初に定義する必要があるのは、委託内容に関する次の6点です。

委託範囲に関して定義すべき項目

  • 委託範囲
  • 納品成果物
  • 体制・役割分担
  • スケジュール
  • 前提条件
  • 応札要件

委託内容を確実に遂行するために、契約スキームに関する次の6点を定義します。

  • 契約形態
  • 契約変更/解除ルール
  • 契約有効期間
  • 想定外事象発生時の対応
  • 業務委託料、諸費用、支払方法
  • 成果物権利

最後に、RFPに対する提案の手続きを指定します。RFPを受領した後、ベンダーが提案書を提出するまでに行われる以下の点を明記します。

  • 提案書を提出する窓口
  • 納品方法
  • 納品期限
  • RFPに関する問い合わせ窓口
  • 提案受領後の審査プロセス
  • 審査結果の告知

特に納品方法では、紙媒体/電子媒体の数を指定します。容量を勘案し、提案書の一部(エグゼクティブサマリー/見積り明細など)を別途電子メールで受け取る方法もあります。受け取り側の都合に合わせて、納品期限は日にちだけでなく、時間まで厳密に指定しましょう。

ここまでに挙げた18点は、以下のリンク先で詳細説明をしています。はてブ500超の記事ですので、おそらく参考になるかと思います。興味のある方は御覧ください。

http://enterprisezine.jp/article/detail/3414

posted by 吉澤準特 at 23:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2011年07月03日

IT業界ナンバーズトリビア:データ容量の世界
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日々爆発的に増加しているデジタルデータについて、知っておくと「へぇ」と言われるトリビアです。実は、ITリーダーズ誌でこのネタを先に書かれてしまったのですが、分かりやすかったので、そちらの数字をベースに紹介します。

【世界のデータ容量:2020年予想】
35.2 ZBゼッタバイト)

IDC社とEMC社の調査によれば、2009年は0.8ゼッタバイト、2011年は1.8ゼッタバイトになるそうです。ゼッタバイトはエクサバイトの1000倍。エクサバイトはペタバイトの1000倍。ペタバイトはテラバイトの1000倍です。つまり、1ZB=1,000,000,000TB。キロバイトとテラバイトの関係と思えば、少しはイメージ湧きます?

ちなみに2011年の1.8ZBというデータ量は、以下に相当するんですよ。
http://japan.emc.com/about/news/press/japan/2011/20110629-1.htm

・米国のすべての国民が、26,976年間休むことなく毎分3ツイートつぶやく
・世界中のすべての人が、毎日2億1,500万高解像度MRIスキャンを実行する
・2,000億を超えるHDムービー(1本のムービーの長さは2時間)。
※1人が24時間365日見続けたとして、約4,700万年かかる。
・すべての情報を保存するには32 GBの Apple iPadが575億台必要。

【1ヶ月のモバイルトラフィック:2015年予想】
6.3EB (エクサバイト)

シスコシステムズの発表情報では、2010年から5年間で26倍に増える見込み。年間75EB(エクサバイト)になり、これはDVD190億枚に相当するとのこと。固定通信網からの移行よりも、最初からモバイル網でのネットワーク構築案件が激増するのが理由です。

余談ですが、同社レポートではインターネット総トラフィックについて、2015年には966エクサバイト(2010年の4倍)に達すると予想してます。
http://www.cisco.com/en/US/netsol/ns827/networking_solutions_sub_solution.html

【メモリ容量:2024年予想】
64GB

ITRSの調査では、2011年はDRAM1枚で4GBだったものが、2024年には64GBにまで集積させることができるようになるそうです。企業のオンラインシステムは全てRAM上で稼働しているかもしれません。オンライントランザクションはますます高速化し、証券業界の反応速度はものすごいことになりそう。(今でさえ、1件注文あたり平均2ミリ秒)

posted by 吉澤準特 at 23:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2011年03月14日

ITシステムの災害復旧を前にしてやらなければならないこと
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東北関東大震災が3月11日に発生してから、初めての週明け。被災地では想像以上の悲しみや疲れが広がっているものと察し、心からお見舞い申し上げます。

一方で、被災地から離れてはいるものの、関東地方に住んでいる人々のなかには、ITシステムのBCP対応に追われている人もいることでしょう。今回のエントリーでは、そんな方に向けて、Public Keyの新野編集長、ユニアデックス高橋優亮さんらが有志の方々と協力してまとめたノウハウを紹介します。

作成者の好意により、どなたにでも活用していただけるようにGNU Free Documentation License (GFDL)日本語での解説)となっています。自由に複製、改変、頒布などが可能です。オリジナルのテキストファイルはここからダウンロード可能です

本文書が多くのITシステム復旧に携わる方々の目に触れるよう転載させていただくことをご了承ください。

「災害にあったITシステムを操作しなければならない人が知るべきこと v0.2」

1.目的

本文書は、震災などの災害発生後に、ITシステムのユーザがシステムの復旧や再起動を検討する場合にチェックするべきことを記しています。

被災したサーバを、再起動するのは本質的に危険なことです。場合によっては人命に関わる二次災害を招いたり、存在したかもしれない障害からの復旧可能性を失う可能性が高いものです。サポートサービスのプロフェッショナルの支援を受けることは必須だと考えてください。

しかしながら、プロフェッショナルの支援を待てずに起動することが要請されるシステムも存在することと思います。そうした状況下で、可能な限り二次災害のリスクを小さくしたり、あるいは「拙速な復旧を断念する」という勇気ある決断をするための助けとなるように本文書は作成されました。

2.この文書の限界と、責任

この文書の初版は、高橋優亮を中心とした有志が作成した文書です。高橋優亮や有志の所属する団体等の公式な見解を示すものではありません。

被災環境におけるITシステムの操作や起動は、火災などの人命に関わる二次災害を引き起こす可能性があります。

被災環境におけるITシステムの操作や起動は、もしかしたら存在したかもしれない、障害からの回復可能性を失うなど、様々なリスクがあります。

一般にユーザによる災害復旧操作は、状況を悪化させることの方が多いものです。この文書はユーザによる自力復旧を推奨するものではありません。むしろ、自力復旧しないことを強く推奨しています。

本アドバイスに従ったとしても、リスクを完全に回避することはできません。可能な限り、サポートサービスのプロフェッショナルにサービスを要請してください。

サポートサービスのプロフェッショナルであっても、リスクを0にすることができません。プロフェッショナル以外の人が作業することはリスクを高める行為であると理解してください。

色々な事情でプロフェッショナルのいない現場でシステム復旧を試みなければならない人たちの支援情報となるように作成された文書ですが、復旧対応は、元来個別のITシステムとその状態毎に対応方針を決定すべきものです。一般論を記載していますが、読者の個別のITシステム環境に合致しなかった場合、皆様のITシステムに取り返しの付かない悪影響や人命に関わる二次災害を引き起こす可能性もあります。

この文書には間違いがなくなるよう努力をしていますが、間違いがないことを保障するものではありません。

この文書を読んだり、書いてあることを実行したりすることによって引き起こされた一切の問題について、この文書の著述に関わった個人や法人、あるいは配布や蓄積、交換にに関わった全ての個人や法人は免責されるものとします。

なにが起こっても誰も一切の責任を負いません。恐縮ではありますが自己責任でのご判断をお願いいたします。繰り返しますが、この文書の内容は「無保証」で読者に提供されています。

3.著作権と再配布

本文書は、GNU Free Documentation License (GFDL)バージョン1.3か、それ以降の任意のバージョンに基づいて、自由に改変と再配布が可能です。ただし、2節の「この文書の限界と、責任」の内容については、その意図を変更するような改変を禁止します。これはGFDLにおいても認められています。

4.著者と謝辞

改変履歴
v0.2 2011.03.13 高橋優亮

v0.2の謝辞
この文書は、2011.03.11に発生した「東北地方太平洋沖地震」の被災者に対して、IT技術者ができることをはないかと、ブログメディア Publickey(http://www.publickey.jp/)編集長の新野淳一氏の示唆に基づき作成されたものです。氏のアイディアがなければ存在しなかった文書です。氏には深く感謝を申し上げます。

v0.21 2011.03.14 新野淳一(本ページ。Webページ化に伴う体裁の変更など)

5.災害にあったITシステムを操作しなければならない人が知るべきこと

特に重要な項目については【重要】の見出しをつけています。

5.1 全てのシステムについて

全てに共通する基本

【重要】自分で復旧しないでください!
被災システムの操作はプロフェッショナルに依頼してください。一般の人が操作すると、多くの場合状況が悪化し、回復不能になるケースが増えます。たとえば衝撃を受けてヘッドクラッシュを起こしたハードディスク装置は、電源投入して回転させると破損が拡大し、データ復旧も難しくなります。

他にも、細かいちりと水分などの影響でショートが発生し機器から火災が発生することもあります。炎上し焼け落ちたシステムの復旧はほとんど不可能です。

目的

そのシステムは本当に「今」復旧することが必要ですか?
「念のため」や「心配だから」または「可能なら」という状況ならば、プロの到着を待ってください。あなたがさわることで、状況が悪化します。二次災害で人命が失われるかも知れないリスクがありえる、という状況の元、本当に「今」復旧することが必要か判断してください。

5.2 サーバシステム(サーバルームやデータセンタのラックシステム)

意義

そのITシステムを利用するユーザや外部システムの復旧予定を知っていますか?
あなたのサーバだけ先に復旧しても、たとえばユーザや外部システムの復旧が数週間先というような状況下だったらどうでしょう?プロを待たずに「今」復旧する必要がありますか?

事前の装備確認

【重要】静電気を放電できるような対策がされた安全靴や、静電気を発生しにくい衣料はありますか?
平常時と異なり、現場にはガスや可燃性の粉塵などが存在する場合があり、静電気が爆発事故の原因になる場合すらあります。最低限、静電気対策ができないなら、復旧に向かうべきではありません。

安全靴、ヘルメット、防護手袋、防塵ゴーグル、懐中電灯、工具などの準備はありますか?
装備が足りなければ、それだけ危険が増します。どれだけ備えても危険は0になりませんが、可能な限り装備を整えてください。

【重要】通信路の確保
被災環境では、通信路の確保は難しいかも知れませんが、可能な限り、外部と連絡がとれるように準備してください。Twitterやmixiだけでも使えれば大違いです。

【重要】同行者の確保
単独行動は避けて、複数名で現場に入ってください。状況を見張る担当と復旧作業を行う担当と、作業を分担して、常に安全を確保するよう努めてください。

通常作業に必要な装備
被災状況であろうがなかろうが、たとえばネットワーク機器やストレージ機器のコマンドラインインターフェースを操作するのに使うノートPCやシリアルや Ethernetのケーブル、各種ジェンダーチェンジャー、データ吸い上げに使用する、予備のストレージ機器などを準備します。これらがないと、結局手も足も出ず、徒労に終わると言う結果になりがちです。

ラックに近づく前に確認すべきこと

【重要】サーバルームやデータセンタの建屋の安全性に問題はありませんか?

【重要】サーバルームやデータセンタに漏電などによる火災のリスクはありませんか?

【重要】天井、床、壁などに、大きな損害や亀裂ははありませんか?
家屋や建屋の危険度の判定については、行政や専門家の指示に従ってください。立入や接近が禁止された場所での作業は論外です。たとえ禁止されていなくとも、建屋や設置場所が危険と思われる場合は、安全を優先して、起動は諦めてください。たとえあなたの命を賭して再起動しても、建屋が壊れたらシステムも一緒に粉々です。

【重要】サーバルームからの緊急退避路を常に意識して行動してください
余震や類焼などで、それまで比較的安全だったところが、急激に危険になる場合があります。常に退避路を2方向以上確認し、常に意識してください。退避路が1方向しかないと想定される場所には最初から入ってはいけません。設置場所が危険な場合は、安全確保を優先して復旧は諦めてください

【重要】あなたは、夢中になると周囲が見えなくなるタイプではありませんか?
どんなに作業に集中していても、状況が変われば、即座に退避する必要があるのが被災地です。ユーザが自社のシステムを復旧しようとすると思い入れが強すぎて、周囲が見えなくなるリスクが高まります。複数名での作業を重ねて推奨します。

空調は機器の動作を保てるレベルで動作していますか?
システムが復旧しても、サーバルームの密度や空調の程度によっては、しばらくすると熱がこもって、熱暴走や故障が発生するような状態になるかもしれません。
適切な空調が得られなければ、長時間システムを動作させることはできません。データのバックアップ採取のみにするなどプランの変更を検討してください。

そもそも電気は来てますか?
電源供給がされていない場所で復旧を検討することはナンセンスです。電源回復を待ってください。

【重要】漏水はありませんか?
周囲を見渡して漏水の可能性を確認してください。漏水があれば漏電のリスクがあります。電源投入をしてはいけません。安全に作業できるようなら、電源ケーブルを外したり、主幹ブレーカーを落とし、火災予防することも検討してください。

【重要】異臭はありませんか?
都市ガスやプロパンガスには特有のにおいがつけてあります。これらのガスには毒性はありませんが、爆発のリスクがあります。即座に、静電気火花を起こさないように細心の注意を払って撤収してください。都市ガスやプロパンガスの以外でも、異臭は、有毒ガスの発生や、火災の前兆を示す場合があります。安全かつ迅速に撤収をしてください。

ラックの前に立ったら

【重要】ラックに変形はありませんか?
変形の程度にもよりますが、ラックが変形するほど大きな衝撃を受けたシステムは火災を引き起こすなどの可能性が高く、起動は危険です。電源ケーブルを抜いて、ブレーカーを落としプロフェッショナルの到着を待ってください。

【重要】切断された電源ケーブルなど、危険なものはありませんか?
感電や傷害のリスクを排除できない場合はシステム起動をしてはいけません。特に直流送電のデータセンタでの感電は致命的な結果になります。「直流送電」と言われて意味の分からない人は、データセンタの復旧に向かうべきではありません。

【重要】現場が粉塵でもうもうとしていたりしませんか?
粉塵爆発のリスクがあります。建材の多くは不燃物ですが、現場で粉塵が可燃物か不燃物かを判定することは不可能です。静電気に注意して、即座に撤退してください。

ラック自身の固定に問題はありませんか?
ラックの固定が外れて、建物に安全に固定することができないような場合、折角システム復旧しても、余震などがあればより状況が悪化する恐れがあります。システム起動より、ラックの固定を優先してください。

LANやファイバーチャネルのケーブルが伸びてしまっていませんか?
阪神淡路大震災の時、多くのシステムがラックが動いてしまうことにより、ケーブルが伸びたり、内部で断線することで通信不良が発生しました。ケーブルが伸びてしまっている場合、無理に復旧しようとせず、予備が確保できてから作業するのが望ましいでしょう。

電源を入れる前に

【重要】筐体に大きな衝撃を受けた跡などはありませんか?
衝撃を受けたことが明らかな場合、まずハードディスクの障害を疑います。故障したハードディスクに電源を投入するとデータ復旧が困難〜不可能になる可能性が高まります。起動しないことをお勧めします。

【重要】筐体内部に粉塵や液体の侵入の形跡はありませんか?
空気中に粉塵がなくとも、機器が粉塵にまみれている場合は、内部配線でトラッキング漏電が発生する恐れがあります。また現在乾燥していても、一度でも濡れたり水没した痕跡のある機器をそのまま電源投入してはいけません。乾燥しても水に溶けていたものが結晶化して導電性の皮膜ができてショートすることがあります。
いずれの場合でも、可能ならば電源ケーブルを抜いてブレーカーを落としておきましょう。

【重要】電源ケーブルやコンセントやプラグに損傷はありませんか?
変形して中途半端にしか刺さらないようなプラグや、強い衝撃を受けて、内部のより線の一部が断線したようなケーブルを使ったりすると、発熱して火災になることがあります。訓練を受けていない一般の人が「ケーブル内部のより線の一部断線」などを判定することは難しいので、ダメージを受けていると思われる場合は電源を入れてはいけません。

機器のラックへの固定は緩んでいませんか?
機器が正しくラックに固定されているか、固定状態を確認してください。緩んでいるようなら、きっちりと固定してください。固定が不十分な状態では、起動後に障害が拡大する可能性が高まります。

【重要】電源投入手順や、起動時の障害確認手順を理解していますか?
システムの起動手順を理解しないまま「電源入れればなんとかなるだろう」と起動すると、大抵望ましくない結果になります。また、起動シーケンスに障害が発生した場合に、対処できるスキルがない場合や、正常に起動したかどうかの判定を行うことができないようなシステムは、最初から起動してはいけません。

【重要】システムの停止手順を理解していますか?
復旧を断念して、システムを停止する場合に、正しい手順を理解していますか?OS以外にもミドルウェアやサービスやデーモンやアプリケーションに対しても、正規のシャットダウン手続きが必要な場合があります。止め方の分からないシステムは起動してはいけません。

【重要】電源投入順序
システム構成によって、正しい手順は異なりますが、多くのケースに該当しそうな手順を紹介します。

0.計画停電が想定される地域では、作業中に停電時間帯に突入しないよう余裕を持って計画を立ててください。

1.電源供給の確認をします
UPS装置がある場合はUPS装置を調べ、UPSやUPSのバッテリーが正常に起動しているかを確認します。 電源供給コネクタ類を一通りテスターであたり、電圧異常などがないかを確認します。電圧異常があったら電源ケーブルを抜いて、起動は諦めてください。

2.まず外部につながるネットワーク機器から
サーバシステムは、ネットワークにつながらないと役に立ちません。ネットワークが障害を起こしているようなら、システム復旧の意義は薄れます。外部に近いほうから順次確認していきます。たとえば、ONU→ボーダールーター→Firewall→DMZ用スイッチ、といった順です。 ネットワーク機器から電源投入するのは、ハードディスクなどの衝撃に弱い部品を使っているケースが少ないため、最初に電源を投入する機器として適切だからです。

しかし、ロードバランサー、ファイヤウォール、L4〜L7スイッチ、SSLアクセラレータといった製品の中にはハードディスク内蔵の機器もあります。このような機器は、他のネットワーク機器の正常起動確認の後にします。

ネットワーク機器が起動したら、外部との接続性を検証します。正常動作する持ち込んだノートPCなどから、pingや tracert(traceroute)、Wiresharkなどを用いて必要なシステムとの接続ができるか、実用的な通信は可能かなどの確認を行います。ネットワーク接続が確立できなければ、データやシステムのバックアップ作業などへプラン変更を検討します。

3.裏LAN用スイッチや、FCストレージ用のスイッチの電源を投入し動作を確認します

4.【重要】ストレージ装置の電源を入れるかどうか考える
ハードディスクの故障は、外観からは分かるとは限りません。多くの場合、クラッシュしていても外観には何の変化もありません。しかし、クラッシュしている状態で電源を入れると、データ復旧の難易度は一気に上がり、取り返しがつきません。データのバックアップが不十分なシステムの場合、この電源投入が運命の分かれ道になる可能性があります。

本当に今電源を入れる必要があるか、今一度ここで考えてください。電源を入れずプロと相談することを、改めて強くお勧めします。

5.決断できたら、ストレージ装置の電源を入れます
注意深く起動音や、ステータスランプを観察してください。異常が見られたら即座に電源を切って、これ以上の作業を諦めて、撤収します。データ復旧サービスを提供している企業と相談してください。

6.最後にサーバ機器の電源を投入します
いきなり起動してよいかどうかは、システム構成によります。必要なら、セーフモードで起動したり、シングルユーザモードや、ROMモニタなどで診断を実行するなど、システムの健全性を確認してください。

また、複数サーバで構成されるシステムでは、サーバ間の起動順序が問題になる場合もあります。たとえば、認証サーバ→アプリケーションサーバ→Webサーバのようなケースや、ある種のクラスタ構成の場合、本番系を全て起動してから、など、サーバ間の起動手順が決まっている場合があります。電源投入順が不明な場合もシステムを起動してはいけません。

無事に稼動/起動していると思っても

異臭や異音はしませんか? 少なくとも30分。できれば数時間以上、状況を注視してください。燃えてからでは手遅れです。

データバックアップやシステムバックアップは無事に存在しますか? してなかった方は、可能ならここで採取しておきます。必要なら本番起動前にシングルユーザモードや/セーフモードで新しいメディアにデータバックアップをしてください。本番稼動前に、各種ログファイルなどを調べ、必要な復旧処理をしましょう

小康状態になっても、運用中に気をつけるべきこと

大きな余震や津波が再び発生した場合のプランはできていますか?

ここまでたどり着いた方は運良く運用可能状態になりました。おめでとうございます。しかし、もう一度システムがダメージを受けた場合、再起不能になるかもしれません。その時にどうするかを計画しておきます。

たとえば、小康状態の間に、バックアップをしっかりとっておいて、小康状態の間はトランザクションやデータベースの更新を禁止し、参照系だけにして、再度の障害に備える、などの方針を決めます。

【重要】突然の停電が再び、何度も起こりえます。
計画停電だけでなく、被災地の電源供給は不安定になりがちです。突然の電源断があった場合にも耐えられる運用プランを検討してください。

UPSのバッテリ残量の確認や、シャットダウン指示が正常に動作するかのテストも実施してください。 運用を継続する場合でも、計画停止があれば何度もシャットダウンが必要になります。シャットダウンを繰り返すことはしばしば障害の原因になります。

データの吸い上げができたら、不要不急のシステムは休止することを基本としてください。 バックアップを活用して、IaaS事業者のサーバで仮復旧するなどの対策も有効です。是非移行を検討ください。

途中で退避するときは

【重要】復旧を断念するなどで、退避する時は、機器の電源をOFFに 安全に退避できる時は、機器の電源をOFFにしたり、電源ケーブルを抜いたり、主幹ブレーカーを落としたりするようにしてください。

また、電源供給が不安定な時はサージやスパイクと呼ばれる異常高電圧が発生しやすく、機器故障や火災の原因になります。また漏電が発生した場合の事故を防ぐためにも、なるべく電源を広範に落としてください。

【重要】ただし、可燃性ガスなどの存在が疑われる時は、これらの操作で起こる電気火花が引火の原因になる可能性がありますので、なにもせずに速やかに撤収してください。

5.3 クライアントシステム(デスクトップやノートPC)について

全般

現場に入るまでの危機管理などは「5.2サーバシステム」編と共通しています。安全を確保して作業してください。

ローカルハードディスクの内容
クライアントシステムでは多くの場合、復旧すべきものは、ローカルハードディスクの内容に限られます。データを救い出すことを中心に検討します。

ノートPC
軽量なノートPCは、現場から本体ごと回収して、安全な場所に運んでから、順に動作確認やデータの取り出しを行いましょう。ユーザの所在が不明でログインのパスワードが不明な場合は、それぞれのOSごとに回復手順があります。ただし、HDD暗号化を実行していると、データの回復が不能の場合もあります。

デスクトップPC
本体ごと安全な場所に運べる場合はノートPCと同様にしてください。 ハードディスクの暗号化をしていない場合なら、本体のサイズや筐体の構造と現場の安全環境と、作業者のPC分解スキルと相談しながら、筐体をあけてハードディスクユニットだけ取り外した方が、安全かつ大量に短時間に運び出せる場合があります。その場合、ハードディスク本体に、どのPCから取り外したのか書いておくと、後のデータ吸い上げ時に役立ちます。

5.4 and more... to be written
posted by 吉澤準特 at 20:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2010年09月28日

米政府にも屈するブラックベリーに将来はあるか?
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以前のエントリーで、サウジアラビア当局の強い圧力に屈して通信内容を開示することを認めたブラックベリーの話をしましたが、ついに米政府も腰を上げたようです。

asahi.com(朝日新聞社):米、ネット傍受強化へ法案 ブラックベリー解読も視野 - 国際

『米政府は、暗号通信を解読したり、元に戻したりして当局に提供できる用意などを通信会社に義務づける。関連法案の成立を来年にも連邦議会に働きかける見通しだ。法案は、高度な暗号化が売り物で米国で広く使われているカナダのスマートフォン「ブラックベリー」の通信傍受も視野に入れており、国外から米国向けにサービスする通信会社も規制する方向。』

日本では通信を傍受することは建前上禁止されていますが、サウジアラビア・アラブ首長国連邦・インド・米国は、積極的なテロリスト検挙のために、あらゆる手段で情報収集できるよう、合法化を進める方針です。

それにしても、暗号化が高度すぎて当局が監視できないために狙い撃ちにされているRIM社のブラックベリー、今まで同社の強みだったはずなのですが、なんとも皮肉なものです。ちなみに、RIM社のCEOは今年の8月に次のような声を上げていました。

『インターネットではあれもこれも暗号化されている。BlackBerryだけの問題ではない。インターネットが問題と言うのなら、インターネットを遮断すべきだ。』
http://japan.cnet.com/news/business/story/0,3800104746,20418063,00.htm

CEOのメッセージはもっともですが、反体制的な活動を抑制したい国々は、これからどんどんブラックベリーへの規制を強めていくでしょう。その結果、ブラックベリーはこれまでのセキュアなアーキテクチャを捨てるという選択をするかもしれませんね。
posted by 吉澤準特 at 16:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2010年09月06日

シスコのスカイプ買収の可能性
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数年前にIBM、HP、Oracleの買収戦争が勃発し、並み居るBIベンダーは買収されてしまった経緯があります。先日、IntelがMacfeeを買収したことは記憶に新しいですが、その流れを受けて、セキュリティベンダーや通信ネットワークベンダーの合従連衡がまた発生しそうな気配です。

コンピューターワールドでは、こんな気になる記事が載っていました。

『Skypeは、VoIPコミュニケーション分野で最も有名なブランドの1つだ。もし、Skypeを買収できれば、Ciscoは自社の戦略上、貴重な技術と知的財産を手に入れることになる。VoIPはユニファイド・コミュニケーションの基盤であり、SkypeはCiscoに、米国Microsoftなどユニファイド・コミュニケーション分野での従来からのライバルや、米国Googleのような新たなライバルと戦うためのツールをもたらすと予想される。 Googleは先ごろ、「Gmail」から「Google Voice」サービスを使って一般電話への音声通話発信ができるサービスをリリースしている。

もっとも、Ciscoは、Skypeを傘下に収めることによる戦略的な優位性だけを念頭に置いているのではないかもしれない。この2週間で米国Intelは、セキュリティ・ベンダーの米国McAfee、ドイツのInfineon Technologiesの無線ソリューション事業を買収する計画を相次いで発表。米国Hewlett-Packard(HP)と米国Dellは、クラウドに利用できる仮想化ストレージを提供する米国3PARを巡って熾烈な買収合戦を繰り広げている。

IT業界は、「新興企業が台頭する段階から、こうした企業が買収され、大手が合従連衡する業界再編へ」というサイクルをたどっているように見える。IT業界では、にわかにM&Aブームが巻き起こりつつあるようだ。そしてCiscoは、魅力的な買収の標的かもしれない。Skype を手に入れれば、買収先としてのCiscoの価値は一段と高まりそうだ。』
http://www.computerworld.jp/topics/voip/189133.html

株を買うなら今のうちかも。

posted by 吉澤準特 at 11:40 | Comment(0) | 注目記事

2010年08月26日

Oracleは「悪の枢軸」、残りの枢軸はどこ?
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AdobeがOracleに対して痛烈な批判をしています。

OracleはOpenSolarisについて、オープンコミュニティを解散に追い込んで自社商用化を目指すような動きをみせており、これに対してAdobeのオープンソース担当が懸念を表面したという状況です。

ITmediaの記事では、このように述べられていました。

『マカリスター氏(Adobeオープンソース担当)はこれらの出来事を、「Oracleは突然、Microsoftが以前演じていた役割に就いた」と批判している。「Oracleは突然、オープンソースを金になる商品と考え始めたようだ」とも。

オープンソースコードからお金をもうけるのはかまわないが、コミュニティーの関与をなくすのは問題だと同氏は主張する。「完ぺきな企業はない。だがこういった最近の動きは、この悪の枢軸が850マイルほど悪い方向に進んだことを示しているようだ」』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1008/25/news088.html

850マイルという表現の意味がよくわかりませんが、それよりもっと気になるのは悪の枢軸(Axis of Evil)という表現です。これは2002年に米国ブッシュ大統領が北朝鮮、イラン、イラクをテロ支援国家として批判したときに使われた言葉で、遡れば、第二次世界大戦の日本、ドイツ、イタリアの枢軸のように、だいたい3つの国や組織を表すときに使われる傾向があります。

とすると、今回のAdobeのコメントにある悪の枢軸は、Oracle以外にどんな会社が当てはまるのでしょうね。マイクロソフトはすでに違うと述べていますから、それ以外で利己主義の強い巨大IT企業が当てはまると思われます。

うーん、保守料のバカ高いSAPと・・・・・それでもやっぱりマイクロソフトですかね?

posted by 吉澤準特 at 07:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2010年07月13日

ゆうちょ銀行でシステム障害発生、原因はストレージ障害
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ゆうちょ銀行で7/12の15時過ぎにシステムトラブルが生じ、ATMから提携先金融機関への振込ができなくなりました。その後、21時までに一部機能を復旧させています。

原因はストレージ障害によるものだと報道されています。Web上の情報では、全銀接続部分のサブシステムが停止している模様で、この部分はNTTデータがメンテナンスをしている旧大和銀行系の勘定系システムに該当すると思われます。

『ゆうちょ銀は日本IBM製メインフレームで動作する旧大和銀行の勘定系システム「NEWTON」を使い、全銀接続用システムを構築中だ。開発はNTTデータが担当している。』
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080206/293193/

単なるストレージ障害であれば、冗長構成のために自動切り替えで業務継続が可能なはずですが、今回、周辺系サブシステムが止まっているところをみると、SANストレージ本体の接続部がまとめて死んでしまっているのかもしれません。

今夜はNTTデータの方、日立の方、IBMの方の一部は徹夜でしょうか。ご愁傷さまです。続報があり次第、情報をアップデートします。

(7/13追記)
7/13 朝8時50分に完全復旧した旨がゆうちょ銀行のウェブサイトでプレスリリースされました。システム障害のニュースでおなじみのITproでは今回のトラブルを以下のように報道しています。

『トラブルがあったのは、この全銀システムとゆうちょ銀の勘定系をつなぐ、全銀接続用システムだ。同システムは、旧大和銀行の勘定系システム
「NEWTON」をベースにNTTデータが構築したもので、日本IBM製のメインフレーム上で動作する。


 ゆうちょ銀はトラブルの原因を「ハードウエアの障害であることは分かったが、詳しい原因は調査中」(ゆうちょ銀広報)としており、障害があったハードウエアが何であるかは公表していない。


 システムトラブルは7月12日午後3時22分ごろに発生し、「ゆうちょ銀から他行への送金」、「他行からゆうちょ銀への送金」、「ゆうちょ銀キャッシュ
カードの他行ATMでの利用」、「他行キャッシュカードのゆうちょ銀ATMでの利用」ができなくなった。


 障害発生後、システムは段階的に復旧した。まず12日午後20時38分に、ゆうちょ銀のキャッシュカードの他行ATMでの利用、他行のキャッシュカード
のゆうちょ銀ATMでの利用が可能になった。13日午前8時30分には、他行からゆうちょ銀への送金が可能になった。同日午前8時50分にゆうちょ銀から
他行への送金ができるようになったことで、システムは完全に復旧した。』
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100713/350216/




今回の原因がストレージのどこにあるかは明確になっていませんが、ストレージ部分が単一障害点になっているシステムは世の中に山のようにあることは想像に難くありません。なにせ、数年前のシステムならストレージの可用性向上に間違いなくスケールアップ型のSANストレージが採用されているからです。DBの並列処理によるストレージのスケールアウト型の冗長構成を採用しているシステムは全体のほんの一握りです。

あなたの関わっているシステムは、ストレージが単一障害点(SPOF)に陥っていませんか?
posted by 吉澤準特 at 04:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2010年07月11日

富士通とマイクロソフトのクラウドコンピューティングに関する業務提携
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富士通とマイクロソフトのクラウドコンピューティングに関する業務提携が結構話題になっています。

『両社はまず、マイクロソフトが開発した企業向けのクラウド専用サービスを、群馬県館林市にある富士通のデータセンターを使って、国内の企業向けに
提供する考えだ。さらに、富士通が今年度中に英国やシンガポールなどに展開するデータセンターなどを使って、海外進出した日本企業などに同様のサービスを
提供することを検討している。両社は今後、ソフトやサービスなどの共同開発も検討する方針だ。

富士通は、マイクロソフトのサービスによってクラウド事業の品ぞろえを増やす狙いがある。一方、マイクロソフトは、富士通の顧客となってきた国内
の大企業に対してサービスを拡大することができる。』
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100710-OYT1T00673.htm


かなり大きな取り組みになるようなので、しばらくは動向を注目していきたいです。




posted by 吉澤準特 at 01:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

2010年07月06日

ゆうパック(日本郵便)とペリカン便(日本通運)にみるシステム統合の難しさ
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日本郵便のゆうパックと日本通運のペリカン便が一緒になって7月1日から新しいゆうパックがスタートしました。これによって取り扱い店舗数は13万5千店、宅配荷物量も倍増したのですが、統合した業務を職員がうまく回せなかったようで、2日〜3日の遅配が多数発生しているとのことです。

『郵便事業会社(JP日本郵便)の宅配便事業「ゆうパック」で、首都圏などで集配作業に遅れが出ていることが3日、分かった。ゆうパックは1日に、日
本通運の「ペリカン便」を事実上吸収して再出発したばかりだが、取り扱う荷物量が増え、混乱が起きているとみられる。


 日本郵便によると、新東京支店(東京都江東区)などの集配拠点で荷物が滞るなどの混乱が起きているという。このため、首都圏を中心に配達の遅れが出てお
り、指定された期日に荷物が届かないトラブルが発生。日本郵便は新東京支店などに応援職員を出して対応しているものの、遅れはまだ解消していない。


 ペリカン便を吸収したことで1日以降、日本郵便が取り扱う宅配便の荷物量は約2倍に増えた。取り扱い店舗数も約13万5千店へとほぼ倍増し、作業に遅れ
が出たとみられる。また、日本郵便は、これまでペリカン便を扱っていた職員がゆうパックのシステム端末に不慣れなことも混乱の原因になっている、としている。


 7月は、お中元の集配など1年でも作業の量が多い繁忙期にあたる。11日の参院選投開票を前に選挙関連の郵便物の取り扱いも多い。この時期に統合に踏み
切ったことが裏目に出たようだ。』
http://www.asahi.com/business/update/0703/TKY201007030170.html





遅配の原因は、これまでペリカン便を扱っていた職員がゆうパックのシステムに不慣れだったため、オペレーションがうまく回らなかったと話ですが、これって事前に業務シミュレーションや訓練の実施が不足していたからに違いないでしょう。おそらく、ゆうパックシステムの統合はIT部門主導で行われていたのではないかと推測しています。

IT側の人間には、業務側の習熟度向上や訓練などをシステム統合のおまけ程度としか考えない人もいます。ですが、本当に重要なのは、そういった習熟度の向上や訓練を重ねることで、現場のメンバーが新環境でも滞りなく業務を推進できるようになっている状態にまでもっていくことです。決してIT部内の自己満足で終わらぬように、新システムの定着スケジュールと具体的な定着方法をしっかり考える必要がありますね。




posted by 吉澤準特 at 02:39 | Comment(1) | TrackBack(0) | 注目記事

2010年06月23日

富山の薬売りのデータベース
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ITベンダーのWebsiteには結構面白いエピソードなどが紹介されているのですが、誰にも気付かれないケースもしばしばあります。そんな不遇なもののひとつが、SAPジャパンの連載コラム「江戸の情報活用〜先達の知恵にBIを学ぶ〜」です。もったいないので紹介します。話のネタにどうぞ。

富山の薬売りのデータベース

『あらかじめ各家庭に薬箱を預けておき、次回訪問時に使った分だけ代金を受け取るという特徴的なビジネスモデルで知られる「富山の薬売り」。
実は彼らは高度な情報活用の使い手でもあったのです。その実態とは?薬商人が全国のお客の家に薬箱をあらかじめ無償で設置する「富山の薬売り」。半年か1年ごとに巡回して減っていた薬の分だけ代金を回収し、
新たな薬を補充していく、という伝統的な薬の設置販売のビジネスモデルです。「先用後利」なんていう言葉も知られていますね。

この富山の薬売り、そもそもは17世紀後半の江戸時代に財政難に苦しんでいた富山藩が、産業奨励のために売薬に力を入れたことから始まったもの。「いつも
必要ではないが、いざというときには直ぐに欲しい」という薬という商品の特性を見事に活かした商法でした。「柳行李(写真)」を担いで遠方まで行商ができ
たのも、商品が軽量で省スペース性に優れていたからです。初期の薬としては胃痛に効用があったとされる反魂丹(はんごんたん)という丸薬が有名です。



彼ら薬商人たちには、情報活用の先駆者といえる面がありました。客先に薬を預けて後で料金を回収する「掛け売り」を行うわけですから、薬商人たちは得意先
の名前や住所、置いていった薬や使われた薬の名前、数量、設置日、回収代金などを綿密に帳簿につけておくことが必要になります。「懸場帳」というその帳簿
を元に、商人たちは次の行商の計画を練りました。顧客一軒一軒の情報を集約したものが、彼ら独自のデータベースとなっていたのです。

江戸時代の富山の薬売りたちはこのデータベースを使って、どの地域ではどの薬がどのくらい必要とされているかといった判断、今でいうマーケティング
リサーチを行っていました。需要量を的確に予測して、品切れを起こさず利益を最大化する、古くなった薬の廃棄ロスを少なくする。こうしたことを実現するの
に、富山の薬商人たちにとって情報活用は不可欠だったのです。まさにその手法はBIの本質そのものです。

ちなみに商人の間では「懸場帳」そのものも高い値段で取引され、商人が引退する際には退職金代わりになったとさえいわれます。いかに富山の薬売りたちが情
報を重要視していたかが分かるエピソードです。

「富山の薬売り」には、BI以外にも、現代のビジネス手法に共通することが多々見受けられます。例えば、薬一式を最初にドンとまとめて販売
するのではなく、顧客が必要な薬を必要なだけ使って、その分だけ料金を払うのは、いわゆる「オンデマンド型」のビジネスモデルと一緒です。また、定期的に
顧客を訪問してきめ細かな対応をすることで長期的な信頼関係を築き上げ、商いを一度きりのものとせずに永続化するという手法は、顧客管理の「CRM」を想
起させます。』


SAP ジャパン - ビジネスインテリジェンスによる成功の鍵がここに。


posted by 吉澤準特 at 12:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 注目記事

特許庁でシステム計画漏らした見返りに200万円以上のわいろ
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NTTデータといえば年間売上が1兆円を超える日本最大のSI企業ですが、NTTデータと特許庁のあいだで、事務処理システムに関わる収賄があったというニュースが報道されています。

asahi.com(朝日新聞社):収賄容疑の審判官、システム計画漏らす 特許庁汚職事件 - 社会
『志摩容疑者は上席審査官などをしていた2005年8月〜09年11月、特許庁が進めていた事務処理システムの効率化に関する情報をNTTデータ側に
漏らした謝礼などとして、沖容疑者から約70回にわたり、タクシー券を受け取るなどして計二百数十万円相当の運賃を負担させた疑いがある。


 志摩容疑者は特許庁が04年から推進していたシステムの効率化計画を担当。計画の進み具合や内容が書かれた内部資料などを、沖容疑者に電子メールで送っ
たり手渡したりしていたという。


 システムの受注は05年度まではNTTデータがほぼ独占していたが、一般競争入札が導入され、06年11月に新しい事務処理システムの「設計」の入札を
実施した結果、別の会社が約99億円で落札した。』



こういったニュース、記者はどうやって情報を得ているのでしょうね。ソースは審査官近辺の人なんでしょうけど。
posted by 吉澤準特 at 11:36 | Comment(4) | TrackBack(0) | 注目記事





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楽天ポイント事件〜利用者...
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ライブドア強制捜査
└ ネットワークベンダー

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