闇リリースという言葉があります。
事前にユーザーと合意していたシステム変更をリリースする際、無断で他の箇所を変更してしまう行為を指し、昔はかなり多くの人が手に染めていたと言われています。
しかし、ITILなどの運用管理フレームワークが一般化し、変更管理やリリース管理が一般化したことでベンダーの意識は大きく変わりました。
無断でシステム変更するなんて、ベンダーにとってはリスク以外のなにものでもありません。ミスを密かに修正してトラブルが起きてしまう可能性を考えれば、正直に変更リクエストを出して謝った方がよほど安全です。
一方で、ミスを隠すためではなく、より一層の改善をしてやろうと勝手にシステム変更してしまう人もいます。実はこちらの方が性質が悪く、善意でやっているものですから何に躊躇することなく闇リリースに手を染めてしまいます。
例えば、データベースの領域を10GB拡張することがユーザーとの話し合いで決まっていたとします。しかし、変更当日の朝になって担当者が試算ミスに気付き、勝手に20GBの拡張に変更したとしましょう。
この行為、たとえトラブルが発生しなかったとしても、後でユーザーに実施結果を報告する際にバレルでしょう。そして、ユーザーは「自分たちが指示した以外のことを勝手にやるベンダー」だと不信を募らせるのです。
万一、パフォーマンス劣化などの不具合が発生しようものなら、不信が募るどころか怒り爆発ですよ。
そんなわけで、闇リリースは「百害あって一利なし」なのですけど、これをやってしまったのが気象庁の地震計を担当しているベンダーさん。
『気象庁が「関東地方で震度5弱程度の揺れがある」とする誤った緊急地震速報を発表した問題で、同庁は25日、地震計のソフトウエアの改修を依頼した明星電気(群馬県伊勢崎市)が、依頼したものとは別のソフトウエアに無断で変更を加えた上、変更内容も誤ったことが原因だったと発表した。
同様の変更は計4台に加えられており、25日夕に改善されるまで、いずれも誤った緊急地震速報を流す可能性があったという。
(中略)
改変点は、これまで小数点以下を切り捨てて処理していた振幅の数値を、四捨五入してより正確な数値に近づけるというものだった。しかし、振幅を表す単位を「マイクロメートル」とすべきところを誤って「ミリメートル」としてしまったため、振幅が実際よりも常に500マイクロメートル大きくなるようになったという。
(中略)
気象庁には25日、100件以上の苦情や問い合わせがあったという。明星電気は「地震計の性能の向上を目指してやったが、本来なら気象庁に提案し、承認されてから変更すべきだった。なぜ無断で変更を加えたのか、現在経緯を調査している」としている。』
(http://www.asahi.com/national/update/0825/TKY200908250384.html)
一般的な企業内のシステムであればここまで話は大きくなりませんでした。失った信頼を取り戻すにはしばらく時間が必要でしょう。
とはいえ、個人攻撃をするのは建設的とは言えません。今回の話は担当者の落ち度として片づけるのではなく、無断変更を見つけられなかった管理体制の問題としてとらえてほしいと思います。
posted by 吉澤準特 at 14:41
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